毒されたスイカ
スイカゲームというゲームにハマりすぎている。
プレイ時間150時間
箱の中に
同じフルーツ同士をくっつけて
より大きなフルーツに育てていく
最終的にスイカを作るパズルゲームだ。
僕はこのゲームの影響で
大きくタイムロストしている。
スイッチの電源をつけるとすぐプレイ出来てしまうのがこのゲームの魔力だ。
さあ、寝ようかな、と思いベッドに入り、
ちょっとだけゲームをやろう、
と思ったらもうおしまいだ。
手からスイッチが離れない。
僕は愚かな人間だ。
夜が深け、皆が寝静まる闇の中で
一人スイカを作っている。
箱の中のフルーツをくっつけていく音が、
静音な室内に響いている。
この世界にはスイカゲームに夢中になっている
自分だけが存在しているかのようだ。
「もう少しでスイカが完成するな」と、自分に言い聞かせながら、フルーツを組み合わせていく。
一つ、また一つとフルーツがくっつき、
柿と柿でリンゴ
リンゴとリンゴで梨、、
とより大きなフルーツとなっていく。
その過程が、なぜか心地よく感じられる。
しかし、スイカゲームに夢中になるあまり、
現実の時間が過ぎていくことに気づかない。
スイッチの電源を切ることができず、
ただただゲームに没頭する
「もう少しでスイカが完成する」という言葉が、頭の中でリフレインする。
それが唯一の目標となり、
他のことには興味を持てなくなってしまった。
翌朝ある会議の決定事項もまだ終わっていない。
しかしそれよりもスイカを作ることの方が自分の中で優先順位が高いようだ。
ある日の深夜、妻が心配そうな表情で、
スイッチのコントローラーを
僕の手から取り上げた。
「もうやめなよ。
夜、寝ている途中で起きるとスイカゲームをやっている旦那がいるの割と怖いよ」
妻の言葉が心に響いた。
自分がどれほどの時間をこのゲームに費やしているのか、改めて気づかされる。
スイカゲームの魔力に取り込まれていた自分は、本当に愚かな人間だった。
妻との会話を通じて、
自分が大切にしてきたものを見失っていたことに気づく。
スイカゲームは楽しいが、それだけに時間を費やしすぎることは、
自分の成長や仕事の進捗に悪影響を与えることがあるのだと。
僕は次の日、
スイッチの電源を切り、スイカゲームから離れる決断をする。
妻と一緒に外に出て、
スーパーに買い物に行くことにした。
買い物をしていると青果コーナーの前で
自分の足が止まった。
色とりどりのフルーツをみながら
両手に一つずつリンゴを手にする。
僕はそのリンゴをコツンと
くっつけ始めた。
梨にならないのはなぜだろう。
、、、毒されてしまった代償は大きい。
完
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?