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Summer Blend 開発の裏側 【Collection Note Vol.4-1】

301の拠点である、カフェバーとクリエイティブオフィスが融合したスペース「No.(ナンバー)」は、これまでカフェバーで提供してきたメニューを刷新します。
「/RE DESIGNING THE BASICS(リ デザイニング ザ ベーシックス = ベーシックなものを見つめ直し、独自の視点を提案していく)」をコンセプトに、シェフやデザイナーなど業界を超えたコラボレーションで新たなプロジェクトチームを立ち上げ、共に開発したメニューを発表していくメニューシリーズ『No. COLLECTION』がスタート。
本マガジンでは、「SUMMER COLLECTION 2021」のメニューブックに掲載されている内容を順次公開していきます。


“個性的なフルーティーさに振り切るのではなく、
その良さを感じられるようにしながらも、コーヒーらしい「ボディ感」と「甘み」を引き出す”


―シングルオリジンのコーヒーが主流となっている今、あえてブレンドコーヒーとやろうとした理由は何でしょうか?


シングルオリジンは「サードウェーブ」という言葉とセットで世界的に流行したこともあって、これまでコーヒーへの関心が薄かった多くの人たちにコーヒーとの新たな接点を生み出してきたと思います。しかし一方で、トレンドとして力を持ちすぎたが故に、現代的なコーヒー=シングルオリジンという、単純化されたイメージが図式として成り立ってしまっているのが現状ではないでしょうか。

もちろんシングルオリジンを押し出す店がやっているように、コーヒーに興味を持ってもらった人にその先に産地や豆が持つ物語をより深く知ってもらえる受け皿をつくるのは大切なことですし、No.でもそうしたアプローチにも取り組んではいきます。

ただ、コレクションを通して、日常をアップデートしていくという視点により本質的に向き合おうとしたとき、ブレンドコーヒーという、喫茶店文化も含めて日本では昔から多くの人に馴染みのあるドリンクを改めて見直し、現代的な形で再提案してみる、というアイディアがNo.らしいのではないかと考えるようになりました。


―あえてトレンドを無視したものに力を入れていくということですか?

トレンドというものをもう少し深く掘り下げるならば「時代の気分」と「伝わりやすさ」に分解できると思います。シングルオリジンで言えば、「時代の気分」は重たくて苦い味からライトでナチュラルな味へのシフト、「伝わりやすさ」は、大手チェーンによる大量生産・大量消費ではなくクラフトマンシップやインディペンデントという文脈としての伝わり方、といったところでしょうか。

これを転換・応用して考えてみます。これまでのブレンドは「苦くて、個性が薄い」というイメージでしたが、いい意味でそれを裏切るような、多くの人が思い描く「コーヒーらしさ」を感じられるボディ感をある程度出し、かつコーヒー豆が持つ味わいの個性をしっかり引き出すことで、「時代の気分」を捉えた味わいにすることができる。焙煎度合いを抑えめにすることでそれを実現していますが、その絶妙なバランス点を探ることが今回の技術的な挑戦点だったと思います。

「伝わりやすさ」では、「モダンなブレンドコーヒー」という提案を、デザインや言葉の力でしっかりと伝えていく。それはクリエイティブチームが一緒になって取り組んでいるこのコレクションだからこそできることです。その成果は、完成したビジュアルだったり、コピーだったり、この冊子だったりします。



―味の表現に対するアプローチを、もう少し具体的におしえてください。

まず、飲んだ人にシンプルにその味を感じてもらえるように、2種類の豆のブレンドというシンプルな組み合わせにしています。また先ほどの話とも重なりますが、「飲みやすさ」を大切にしたかったので、個性的なフルーティーさに振り切るのではなく、その良さを感じられるようにしながらも、コーヒーらしい「ボディ感」と「甘み」を引き出すことを意識しています。

また、夏という季節性も考慮し、苦味よりもさっぱりした印象の中で味を感じてもらえるように調整しています。暑い時期はアイスで飲むシーンも増えてくると思うので、アイスでもさっぱりライトな味わいとして楽しんでもらえるような仕上がりになることも意識しました。


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記事の全文が載ったメニューブック

「No. SUMMER COLLECTION 2021 CONCEPT BOOK」は

No. の Stores から購入いただけます。

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