二丁目小町

嘘ばかり書いています

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  • 2404入院

  • 笑いにくい笑い話

    人によっては面白い事象でも、人によっては面白くなかったり、笑うことをためらわれたり、笑ってはいけないと思ったり、目をそらしたりしたくなる事象がある。 でもさ、笑って欲しいのよ。哀れまれるより笑われた方がましな気がする

  • 上方落語若手噺家グランプリ2021 感想

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匙の行方

~喜劇の劇団の団員さんたちが、いろいろある20年間くらいの物語~(35,000文字くらい 小説) 遅刻の訳 佐飛町は郊外の盆地にあり、東南から北西にかけて緩やかに佐飛川が流れている。千年前のやんごとなき人たちが多くの詩歌に読むほど、風光明媚な風景があった。近代には、川の両岸は田んぼとなり、近年にはあっという間に田んぼが住宅地になった。  そんな佐飛町のほぼ真ん中に、佐飛パラダイスはある。当初は入浴できるだけの施設だったが、レストランと劇場を併設し、だだっ広い駐車場があり、格

    • 超短:悪夢

      子どもの頃からよく悪夢を見るが、最近は辛い悪夢を見てしまう。今朝は、自分が高校生に戻り、なんだか随分優秀な学校で、勉強がついていけない。必死で教科書を読み、ノートを取り、参考書を探し、問題集を解く。それでもどうにもついていけない。まわりの人たちは優秀で、聞くこともできない。朝起きるととても辛い気持ちで、後悔でいっぱいなのだ。学生時代もっと勉強しておけば良かったと思ってしまう。自分の娘に、学生時代は勉強しておけよといつも言ってしまうが、そうしなかった自分の後悔が、娘への言葉と悪

      • 超短:おじいちゃんの入院の日

        齢90を超えて元気だったはずのおじいちゃんに、病気が見つかり、病院通いやそれの付き添いなどでバタバタしてきた。頑固で人の言うことなど全く聞かないおじいちゃんを、通院させるだけでヘトヘトになる。息子である父は70近く、孫である僕も40歳を超えている。おばあちゃんも嫁である母も、もう関わりになりたくないというのが本音かも知れない。おじいちゃんの世話をするということ、特に病院に連れて行ったり、入院を承諾させたりする事が、あまりにもストレスなのだ。入院する日の朝、おじいちゃんはごね始

        • 超短:育親の秘訣

          この度は、お誕生おめでとうございます。これから親御さんに育児されるわけですが、その中で楽しく気持ちの良いこともありますが、困難に直面したり、親御さんにも問題が起きる場合があります。多くの親御さんは育児の仕方を医療者からや書物、インターネットで過多とも言えるほど情報を得すぎています。育児される側も変化せざるをえなくなってきたことは、否めません。物心が付くまで、数年の間、いかに親御さんに育てられるか、否、親御さんを育てていくかが、あなたの人生を大きく左右します。あなたの成長以上に

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          超短:迎え星

          まもなくペルセウス座流星群の極大の日がくる。ちょうどお盆の迎え火の日のあたりに、毎年。 太郎が中学生の頃、天文部の小林さんに恋していて、流星群を見たいとペルセウス座を一生懸命一晩寝ずに眺めていた。小林さんと同じ流れ星を見たいという、いじらしい恋心からだった。 夏休みが終わった頃、太郎が小林さんに、一晩ペルセウス座を見ていたが流れ星が見られなかったと報告したら、バカね、ペルセウス座流星群はペルセウス座以外でも飛んでいるよ、むしろほとんどペルセウス座以外よ、と言われた。 祖父の初

          超短:迎え星

          超短:斬られた桜

          立派な桜の木のあるこの家、困ったものだ。その家の主人は数年前から老人施設に入り、家には全く帰ってきていない。お子さんもいたはずだが、どこにいるかしらない。自治会長として近所の人たちに半ば朽ち果てたその家が倒れてきたり放火でもされたら困るからどうにかしろと言われた。市役所に行ったり、老人ホームを探したりして、やっとお子さんに連絡がつき、お父さんが認知症であることを聞いた。家は片付けますと言われ、そこから半年後、春の日に満開の桜の木を解体業者が斬った。朽ちかけた家は無くなればいい

          超短:斬られた桜

          超短:宇宙の真理

           家族が仲よく、お父さんお母さんを中心に子どもたちが回っている感じなのが、良い家庭なのだよと、おばあちゃんが言う。 「ゆきちゃん、家族も、電子も、お星様も、中心を回っているモノなのよ。それが宇宙の真理なのよ」 おばあちゃんは、私が天文部に入っているからそう言ったのかも知れない。  最近、惑星も恒星も銀河でさえ、なにかを回っているだけの動きをしていないものもある事を知った。  そういや、うちも両親を中心に回っていなくて、お兄ちゃんは勝手に家を出てミュージシャンを目指しているし、

          超短:宇宙の真理

          小児病棟の廊下の窓にだけ、クマやウサギの可愛いイラストのシールが離れている。きょうだいの日に合わせたおもしろ手作りポスターがあった。きょうだいランキングで、ライト兄弟、おそ松兄弟、まるこ兄弟とかかいてあった。こまどり姉妹とかぴんから兄弟はなかった

          病院の入院病棟は、ユニットごとに科が違う 多分、外来とだいたい符合していると思うが、 そうじゃない人もいる。 例えば、うちは外来は小児科にかかっているが、 手術の執刀医は心臓血管外科になる。 病院の中で、年齢で振り分けられているのは 小児科だけかも知れない。 うちは心臓病だが、 まわりのお子さんを見ていると がん系の病気が多いようだ。 具体的に病名について話すことはないし、 挨拶もあまりしない関係だからはっきりは分からない。 髪の毛がほとんど無いお子さんがいたり、 汚物処理

          小児病棟の廊下の窓にだけ、クマやウサギの可愛いイラストのシールが離れている。きょうだいの日に合わせたおもしろ手作りポスターがあった。きょうだいランキングで、ライト兄弟、おそ松兄弟、まるこ兄弟とかかいてあった。こまどり姉妹とかぴんから兄弟はなかった

          超短:摂食指導

           いろいろな事情がある事があるが、彼の場合は嚥下がうまくできていないことが、摂食指導をする理由だった。  太郎君は15歳。これまで嚥下のことを問題にはしてこなかったようだ。健常な人生しか送っていない親には、ちょっと想像が付かなかったかも知れない。ただ刻み食、とろみ食を与えていれば良いと思っていたかも知れない。  全身の麻痺があり、あらゆる生活に介護が必要だ。食事と排泄の世話は、本当に大変だったろう。  今回、肺炎になってしまった。誤嚥で気管に少しだけだが食べ物や飲み物が行って

          超短:摂食指導

          超短:インフォームドコンセント

           心臓病で入院している向井さんは、手術後順調に回復し、私たち医師が想像していた以上に元気だった。80歳台でこの回復は見事なモノだ。  しかし、口うるさい。四人部屋で大声を出して看護師などコメディカルにも、医師にも他の患者さんにも説教をしてくる。  素通りするには看護師が気の毒で、ドアの開いた病室をノックし手に消毒液を塗り込みながら声を掛けた。 「どうしましたか?」  向井さんが怒濤のように隣のおとなしい患者さんに、手術に成功して元気になりつつある自信から、自分の若い頃は根性で

          超短:インフォームドコンセント

          凜なんて字、凜々しい以外で見たことなかったのに、最近の子どもの名前には多用されすぎ。病室の名札に連発されている。しかもどう読むのか分からない。そんな良い意味なのか?にすいってなんだか好きじゃないんだよな、名張弁でにすいは不細工

          外来診察を受けたので、 娘の活動を再開しようかと思う。 通所は月曜からとして、 日曜はダンスサークルがある。 顔だけ出そうと思った途端、 また下痢。 ケーキを食べさせたのが良くなかったのか。 もう下剤は飲ませていないのに。 入院しているときは 一回しか便が出なかったのに、 帰宅したら、順調どころか下痢。 お腹が痛そうではないので、 様子を見る。

          凜なんて字、凜々しい以外で見たことなかったのに、最近の子どもの名前には多用されすぎ。病室の名札に連発されている。しかもどう読むのか分からない。そんな良い意味なのか?にすいってなんだか好きじゃないんだよな、名張弁でにすいは不細工

          ツナおにぎりのこと。多分それが人間的な魅力とか、モテるかどうかとかに関係あると思う。夫はモテない、仕事できない奴

          意図したわけではないが、 実験をしてしまった。 入院中、病室を離れるのが難しく、 本当は看護師さんに頼めばコンビニくらいは いけるのだけど、 病室を全く出なかった。 同様の理由で、お風呂も2週間入らなかった。 (きったね~) 娘の食事は、 もちろん病院から提供されるが、 私のはない。 家からゼリー飲料を持ち込んでいた。 魚肉ソーセージ、カップ麺。 コレで乗り切ることにした。 がしかし、 今回はウーバー息子、出前館夫がいる。 夫、次男、三男に夫々私の食事を頼んだ。 次男に

          ツナおにぎりのこと。多分それが人間的な魅力とか、モテるかどうかとかに関係あると思う。夫はモテない、仕事できない奴

          子どもたちが小さい頃、食事はただただたくさん作れば良かったのだけど、奴らもみんなもうアラサー。5人前の寿司が食べきれず、鶏の唐揚げもケーキもとなるともう・・・年取ったね息子達も

          今日は待ちに待った?退院パーティ。 注文しておいた、ケーキ、お花が次々に配達され、 私はお赤飯と鶏の唐揚げを準備した。 次男がお寿司を持って到着。 三男は部屋から出てこない、寝ているようだ。 結局、次男と娘と私で退院パーティ。 娘はお寿司はあまり欲しくなかったようで、 ケーキは食べた。 色々あったなぁと、 次男と話した。 息子達が子どもだった頃にも、 同様のことがあったのだよと 彼らはあまり覚えていないようだ。 帰省中に入院したり、あれは本当に大変だった。 からのおもし

          子どもたちが小さい頃、食事はただただたくさん作れば良かったのだけど、奴らもみんなもうアラサー。5人前の寿司が食べきれず、鶏の唐揚げもケーキもとなるともう・・・年取ったね息子達も

          レントゲンはややこしい。予約表には「X線」、通路の案内には「放射線」、受付には「レントゲン」とある。レントゲン先生がXと未知数を意味する文字を当てたことが、解にたどり着きにくくしているのかも知れない

          退院から1週間 大下痢などもあったが、 ほぼ元気に過ごしてきた。 しかし散歩すると座り込むことも多い。 退院後の外来、どうやっていこうかと悩むところだが、 タクシーで行くほどのことも無いし、 いつもの自転車は流石に怖い 地下鉄で行くことにした。 ラッシュではない時間なので そんなに体力を使うこともないだろう。 思えば東京に居た頃はそうではなく、 大ラッシュアワーの南部線に 夜も明けきる前に乗って小田急に乗り換えて、 通っていたなぁ・・・ 順調に病院到着。 機械で受付をしたら

          レントゲンはややこしい。予約表には「X線」、通路の案内には「放射線」、受付には「レントゲン」とある。レントゲン先生がXと未知数を意味する文字を当てたことが、解にたどり着きにくくしているのかも知れない

          超短:なくなるから

          うちの数軒隣にあるラーメン屋というか今風に言うと街中華というやつ。子どもの頃からあったが、うちが外食をあまりしないことと、酒を飲む人が多そうなので一度しか入ったことがなかった。あの時は、まだコンビニがない頃で、夜8時を過ぎて夕食を食べるにはそこに行くしか無かったからだった。 その店が閉店すると、テレビでも言っていた。店主は戦前からここに住んでおり、先代から引き継いでいたらしい。街の大切な店が閉店するとか、あの味が好きだったとか、色んな人が言っている。数軒隣であっても私にはそん

          超短:なくなるから

          超短:歩く練習

          捻挫だと思ってほっておいたら、益々足首が痛くなり、腫れてきて、整形外科を受診したときには、1ヶ月間安静にしなくてはいけないと言われてしまった。感染もしてしまっていて、痛くて居られないわけで、入院しないといけないというのは仕方ないと思った。仕事を長く休むことが心配だ。入院した翌日、患部を切開した。じんじんと痛み、足を布団の上に出して寝ていたら、PTという職種の人がベッドにやってきて、肩を貸すから歩けという。こんなに痛いのに歩くなんて。病棟からリハビリ室まで、ゆっくり足を引きづる

          超短:歩く練習