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アメリカ、NY株式最高値記録の中

原油暴落か急騰か、サウジアラビアをめぐり交錯する<真逆の2大リスク>

2023/12/16(土) 11:02配信 JPpress
 原油市場で弱気ムードが強まっている。12月12日には一時、6月以来の安値を付けた。OPECプラスが打ち出した自主減産の実効性に疑問符が付いているほか、米中の需要低迷が重荷だ。

 だが、原油市場最大のリスクはサウジアラビアにある。価格低迷で財政難に陥り、自主減産を放棄して増産に転じるとの見立てが急浮上。一方、親イラン武装組織フーシ派が原油施設を攻撃する懸念も拭えない。

画 ビジネスシャーナル

ビジネスシャーナル

暴落か、急騰か、真逆の方向にある2つのリスクをどう読み解くか。原油市場の先行きが混沌としている。(JBpress)

 (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

原油市場は12月に入り、弱気ムードが支配的になっている。

 米WTI原油先物価格は12日、前日比3.8%安の1バレル=68.61ドルで取引を終えた。一時、68.22ドルと6月下旬以来の安値を付けた。

 原油価格は前月末から12日時点までに10%近く下落した。「世界の原油市場の需給が緩んでいる」との見方が強まっている。

 OPECプラス(OPEC=石油輸出国機構とロシアなどの大産油国で構成)は11月30日、2024年1月から日量220万バレルの自主減産を行うことを発表したが、市場から「実効性に疑問がある」との声が広がったために、逆に価格の下押し材料になってしまった。

 「OPECプラス以外の産油国の生産が堅調だ」との見方も広まっている。世界最大の原油生産国である米国は日量1310万バレルと過去最高水準だ。

 米国最大の産油地域であるパーミアン盆地では大型の企業買収が相次いでいる。米エクソンモービルが600億ドルでパイオニア・ナチュラル・リソーシズを、シェブロンが530億ドルでヘスを、オキシデンタルが120億ドルでクラウンロックをそれぞれ買収した。大手石油企業が独立系を傘下に置いたことで、同地域の原油生産量が今後、着実に増加することが見込まれている。

ベネズエラ産原油が市場を撹乱

 米国政府が制裁を緩和したことで、ベネズエラ産原油がアジアを中心に世界の原油市場に流れ込んできていることも撹乱(かくらん)要因だ。
米制裁緩和でベネズエラ産燃料油が突如流入、アジア市場揺るがす恐れ(12月13日付、ブルームバーグ)

 これに対し、需要サイドの好材料も少ない。「米国と中国の原油需要が弱含む」との見方が織り込まれており、プラス材料は「米国政府が戦略石油備蓄(SPR)用に最大600万バレルの原油を購入する」との決定ぐらいしか思い浮かばない。

 供給過剰が懸念される中、市場関係者から「OPECプラスは自主減産を来年第2四半期以降も続けるべきだ」との主張が強まっている。最も厳しい見方を示しているのは米コンサルテイング企業ラピタン・エナジー・グループだ。ラピタンは最新のレポートで「原油価格の暴落を防ぐため、少なくとも今後数年間はOPECプラスが団結し、警戒を怠ることなく、効果的に供給管理を続ける必要がある」との見方を示している。

:OPECプラス、原油暴落回避で5年は慎重な供給管理必要-ラピダン(12月13日付、ブルームバーグ)

 市場関係者の見方に対し、産油国側は反発している。

 OPECが13日に発表した月報で「今年の世界の原油需要は前年比日量246万バレル増、来年の需要は日量225万バレル増となる」との見通しをそれぞれ据え置いた。最近の原油価格の下落については「原油需要の伸びを巡る誇張された懸念によってあおられ、市場心理にマイナスの影響を与えた」として、「投機筋が価格の押し下げに大きく影響した」と非難した。

 OPECは相変わらず強気の見方を崩していないが、「金利の高止まりが経済活動を圧迫し、原油需要が鈍化する」との流れが顕在化するのはこれからだろう。OPEC、特にサウジアラビアが一人気を吐いている感が強いが、この「やせ我慢」はいつまで続くのだろうか。

2024年、サウジが自主減産を放棄する? 

 サウジアラビアの第3四半期の国内総生産(GDP)は前年に比べて大幅なマイナスとなっている。原油生産量を日量900万バレルに抑えていることが主な要因であり、財政収支も赤字に転落している。減産を実施しても原油価格が上がらなければ、経済は悪化するばかりで元も子もない。

 モルガン・スタンレーは12日に発表した「新興国市場を揺るがしかねない9つのサプライズ予想」の第7位に「サウジアラビアがすべての供給削減を撤回する」ことを挙げた。減産によって同国の「ビジョン2030」計画への支出能力に影響が出始めており、政府に増産圧力がかかる可能性があるというのがその理由だ。サウジアラビア政府は12月に入り、脱石油経済化を目指すビジョン2030計画が当初の予定よりも遅れていることを初めて認めた。
:Saudi Arabia Admits for First Time to Delays in Some Vision 2030 Projects(12月7日付、OILPRICE)

 ビジョン2030の目玉は総工費5000億ドル(約75兆円)に上る未来都市「NEOM」の建設だ。この莫大(ばくだい)な資金を捻出するためには高油価が不可欠の条件だが、それが無理なら増産をしてでも資金を確保するしかない。

 だが、サウジアラビアが増産にかじを切れば、原油価格が暴落する可能性が高い。窮地に追い込まれつつあるサウジアラビアの方針転換が、今後の世界の原油市場にとって最大の波乱要素なのかもしれない。

■ 忍び寄るフーシ派の脅威

 もう一つの波乱要素は地政学リスクだ。

 筆者は10月中旬からイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対して警戒していたが、日を追うごとにフーシ派の脅威は高まるばかりだ。フーシ派は12日、紅海南部のバブエルマンデブ海峡を航行中のノルウェー船籍のタンカーをミサイル攻撃した。その後もフーシ派による攻撃が続いており、イスラエル海軍は同日、紅海に艦船を派遣したことを明らかにした。

 米国はイスラエルに対して自制を求めているようだが、イスラエルとフーシ派との間で戦闘が開始されるリスクが高まっていると言わざるを得ない。
 *4:Fight for Gaza’s Khan Younis Puts Israel, U.S. on Collision Course

(12月7日付、ZeroHedge)

 原油市場は今のところこの事態に反応していないが、中東全域で紛争が広がる展開となれば、原油価格は一気に高騰してしまう可能性もある。
藤 和彦 記事引用


一方で、

「ゼレンスキー大統領」、米国のウクライナ軍事支援の財源が年内で枯渇する恐れがあることについて「米国はわれわれを見殺しにしない」と述べ、支援が続く、との見通しを示した。=19日、キーウ(AP=共同)

(■それを担保するべきメディアニュース報道もなければ、近隣国助っ人発言もない。唯一、救いはイスラエル2次停戦の兆し程度で、それも可能性は極めて低い。
その二案がいつものように一蹴された場合、世界秩序(中東リスク)は一気にカオスに向かうことは明らかだ。筆者)


Forbes

2023年12月19日記事

アマテラス」粒子

ケタ外れな超高エネルギー宇宙線の「アマテラス粒子」、新物理理論の可能性を示すJamie Carter | Contributor (forbes.com) 2023.11.28
宇宙空間から地球に降ってきた、極めて高いエネルギーを持つ1個の粒子の観測に成功したとする研究結果が発表された。この粒子は、それが何なのかや、どこからやって来たのかも、これまでの研究では明らかになっていない。
今回と同等のエネルギーを持つ「超高エネルギー宇宙線」は、今までに1991年に1回しか観測されていない。 以下省略



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