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なにかを足すならポジティブな気持ちが理由じゃないと

「このピアノに◯◯を取り付けたいんですが、これってどうですかね? 」

そんな相談を受けることがあります。

いわゆる改造にあたるようなオプションの後付け品はピアノにはそんなに多くはないですが、代表的なものだと「ピアノの消音装置」

昔の消音装置は今よりだいぶメカメカしい

他には、取り付けるとアップライトピアノがグランドピアノのタッチに近づくものだったり、真ん中の弱音ペダルの効き具合をグレードアップする製品だったり。どれも大掛かりな改造で、数十万円かかる高額な商品です。

もちろんそれぞれメリットとデメリットがあるのでじっくり考える必要があります。でもほとんどの場合、取り付けたい理由などくわしく聞いた結果「やめたほうが良いと思います」と答えることになります。

「足りない」から「つける」

これはなにも楽器は素の状態であるべきとか、新しいものに手を出さないほうが安心と言う考えなわけではなく(むしろ僕自身はギターなどは、なにかしら改造しないと気が済まないくらいです)、ネガティブな感情からの改造は後で後悔してしまうからです。

ピアノにオプションの取り付けを考えるときって、足りない何かや欠点を補うためにしかたなくというケースが大半です。本当はそのまま行きたいけど「あんまり音出せないからなあ」とか「アップライトだと限界があるからなあ」とか。

改造はピアノの性格を大きく変えてしまう

そのマインドでおこなった改造は思ってたものと違ったり、せっかく大金をかけたのにデメリットばかり気になる残念な結果になることが多いです。

何かが足りないと感じることと、だから何かを足すことって、実は相性良くないと思うんですよね。ラーメンにチャーシューが足りないからと言う理由でトッピングを足すよりも、もっと美味しく食べるために追加したい。

特にピアノの場合のこういった改造は金銭的なことだけでなく、音やタッチががらっと変わってしまったり、メンテナンス性が一気に悪くなったり、良くも悪くも元々のピアノにあったものが失われてしまう部分が必ずあります。そうすると、便利にはなったけど前のほうがこのピアノが好きだったと言う悲しい結果に…

そうなってしまうようであれば、足りないと感じるラーメンは、そのままシンプルなことを楽しんだ方が幸せになれると思うんです。

メリットデメリットより気持ちが大事

そうならないために、やはり大きな手を加える場合には、

「これをつけたらもっと良くなりそう」

「普通はついていない機能をつけたらおもしろいじゃん」

「人柱になるのがワクワクする」

そういうポジティブな気持ちからであるべきだと思うんです。足すことでそのピアノがもっと好きになれそうかどうか、それが目安になるかもしれません。

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