雪組 「ハリウッドゴシップ」 感想

見ようと思ってたらアマプラでレンタルできるようになってたから見ました。
花組の「アウグストゥス」と演出の先生が同じだと知ってびっくり。両方見た個人的な感想としてはハリウッドゴシップのほうが面白かったし、テーマが明確だったと思う。ハリウッドっていうか、「エンタメの世界の光と闇」というテーマは一貫してる。1幕はハリウッドの光/成功、2幕は闇/転落みたいな。
彩風さんはじめほとんどの出演者が舞台のお芝居なのに潤花さんだけが映画/テレビのお芝居だからエステラがスカウトされたウエイターで演技の勉強は一切してないことがわかる。でも下手ではないしセリフ回しが自然でよかった。潤花さんはダンスの人って言われがちだけど実はお芝居の人なのでは?国と時代がワンスと同じだから潤花さんが時々キャロルに見える…エステラのモデルってイングリッド・バーグマンかな?あの時代のスウェーデン人のハリウッド女優ってバーグマンしかいないと思う。バーグマンは本名で活動してたけどハリウッドデビューするときに芸名にする話もあったみたい。バーグマンの出演作「カサブランカ」「誰がために鐘は鳴る」は宝塚で舞台になってるし「追想」はハリウッド版アナスタシア。
彩風さんが似合う役、魅力的に見せられる人物のタイプはコンラッドみたいな普通の人かマックスみたいなヤバい系っていうか現実にいたら嫌な人間だと思う(いい加減ワンスを忘れろ)。主演俳優のダンス吹き替えの場面見てるとき、ナタリー・ポートマン主演の「ブラック・スワン」でポートマンのバレエの吹き替えをやったバレエダンサーと映画の制作側のギャラ問題思い出した。FFでも思ったけど彩風さんあのスパニッシュの衣装似合うな。コンラッドがいつエステラを好きになったのかイマイチわからなかったけど「口説くのが下手」な彩風さんはなんかかっこいい。冴羽獠も同じ感じ。アマンダにプロデュースされてインタビューの練習するところが面白かった。多分あれってジェンヌさんなら普段からやってることだと思う。「芸名の自分を演じる」のとほとんど同じ。アマンダのプロデュースでスター街道まっしぐらでだんだん自己中になっていくコンラッド。一旦踏みとどまって自分が求めてたものとかを見つめ直せたけどそれができなかったのがジェリーなのかな…ヨハネの衣装着た彩風さんがアラビアのロレンスぽかった。映画は長いから見たことないけど多分似合う。でも歴史を知るとアラビアのロレンスもあんまりいい話ではない。
彩凪さん怪演。闇を抱えたハリウッドスター ジェリー役。ずーっと嫌な感じ。偽オーディションとか脚本に文句言ったり撮影に遅刻したりスターっていうよりお騒がせ系俳優。2幕の映画の撮影と現実がごちゃ混ぜになってる(コカインのせい)場面はめっちゃ怖かった。怪演でした。
エステラの職場のカフェ?ダイナー?いいですね。おかみさんのセリフはアドリブ?居眠りしててご飯のお皿にダイブしてしまう太ったおじさんは真那さん、編み物をしてるおばあちゃんは羽織さん。真那さんは映画撮影の場面では監督役、羽織さんはゴシップ記者役。野々花さんの演じるゴシップ記者、ほんのりシティーハンターの葉子風味。
悪徳プロデューサー役の夏美ようさんは雪組によく出演してるから半分雪組生みたいな感じ。アマンダの「観客は美しい嘘しか見たくない。現実なんか誰も見たくない」ってセリフがエンタメの世界を一言で表現してて印象に残った。ジェリーにコカインを売っていたエキストラ役の煌羽さんはいい人、普通の人に見せかけた悪い人の役が上手い。
評価は割れてるっぽいけど私はすごく好きな作品でした。コメディ場面よりシリアスな展開が多めの人間ドラマっぽい作品だからポスターのデザインがなんであんななのかよくわからん。なんで彩風さんは潤花さんにビンタされてる(ように見える)のかますます謎が深まるな…ポスターだけ見たらハリウッドが舞台のドタバタラブコメかなって思う。少なくとも私はそう思った。逆ポスター詐欺かな。彩風さんはまたこの時代が舞台の作品を大劇場でやってほしい。彩風さんは20世紀とスーツが最高。ジャンルはラブコメでもシリアスでもなんでも。





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