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ペテルブルクに留学してた人が宙組「アナスタシア」を見た感想

ロシアの誘惑には勝てなかった。アナスタシア見てきました。初生観劇です!初生観劇は大好きな朝美さんがいる雪組にするつもりだったけど「ロシア」「ペテルブルク」のワードを無視することはできませんでした。宝塚大劇場は駅からほぼまっすぐ歩けば到着という優しい道順。あの周りの建物も劇場と同じ色合いとデザインで統一感があってディズニーランドみたいだった。やっぱりアクセスの良さは大事だからペテルブルクも早くマリインスキー劇場の近くに地下鉄の駅造ってください!雰囲気は超絶いい感じなんで!



ミュージカルは私の想像以上にロシアでした。背景は映像使っててすごい。ネヴァ川…私も散歩したことあるし留学中ネヴァ川を見なかった日はなかったと言っても過言ではない。2階席だったからステージの上のほうは見えなかったけど「なんとなくあの辺りかな」みたいな感じで自分の知ってる場所がたくさん出てきて嬉しかった。ホームシックで泣きそうになったけど頑張って耐えました。やっぱりペテルブルクにいた時のほうが体調も良かったな…

アニメのミュージカル化ということだけど、元ネタ「アナスタシア生存」都市伝説に決着がついたのはここ10年くらい。なんかロシアは昔から誰々生存伝説とかそういうの多い。

アナスタシアの子供の頃に祖母のマリア皇太后と話す場面から始まる。アナスタシアはおばあちゃんっ子だった。私もおばあちゃんっ子だからちょっとおばあちゃんに会いたくなっちゃった…家族と踊る場面の振付がマズルカ風で感動。マズルカは元はポーランドの民族舞踊であり、ロシアの宮廷舞踊。ワガノワバレエ学校のカリキュラムにも入ってる。アニメの幻想的な絵が3次元で表現されてる。すごい。

革命後のロシア(ソ連)、レニングラード。革命による動乱で人々は貧しい暮らし。ディミトリとヴラドはソ連を脱出するため詐欺で日銭を稼ぐ。パリに住むマリア皇太后が孫のアナスタシアを探している噂を知った2人は報奨金目当てに記憶喪失の掃除婦 アーニャをアナスタシアに仕立て上げる計画を思いつく。アーニャにプリンセス教育する真風さんディミトリと桜木さんヴラドの掛け合いがおもしろい。君ならできるソング楽しいね。アーニャは王侯貴族しか知らないようなプライベートなことを知っていたり元貴族のヴラドとフランス語で会話したり教わってもいないお辞儀をしたりするのでディミトリとヴラドはアーニャは本物のアナスタシアと思い始める。ボリシェヴィキのグレヴはアナスタシア生存の噂を聞いて捜査を始めた。グレヴは道端で見たアーニャに一目惚れ。ディミトリたちのことでボリシェヴィキに呼び出されておびえるアーニャにジョークを言うグレヴ。芹香さんがめっちゃおもしろいのはBSで見たオーシャンズ11で知ってたけど今回も面白かった。ほっぺたを両手で押さえてタコみたいな顔してた。2階席からだとちょっとわかんないけど多分そんな感じ。てかグレヴってそんなキャラなん笑。芹香さんグレヴは本当はめっちゃひょうきんでネアカなんだけどロシア革命とお父さんのあれこれで暗くなった設定ありそう。アニメ版でアーニャたちを追うのはゾンビのラスプーチンだけどミュージカル版はグレヴ。グレヴの職場の場面ではいつも背景にレーニン像があって、芹香さんグレヴも時々同じポーズしてたりする。グレヴめっちゃ「同志」言っててすごくソ連を感じる。あとグレヴの歌な。ネヴァ川とか革命に感情はいらないとか歌詞が…私の心を刺激してくる。多分「グレヴ」っていう名前の出処はニコライ二世の主治医で家族と共に殺されたエフゲニー・ボトキンの息子でイラストレーターのグレヴ・ボトキンだと思う。

町中でチンピラに絡まれて戦うディミトリとアーニャ。アーニャ「こてんぱんにしてやる!」
ディミトリ「どこで覚えたんだい?」
この場面の広場はネフスキー通に面したエカテリニンスキー広場かな?そこにあるエカテリーナ二世の像っぽいのが背景に見えた気がする。
ここ超面白かった。アーニャめっちゃ強いやん笑。アーニャは病院を出てからオデッサとペルミにいて、そこから歩いてペテルブルクにやって来た。マジかよwwアーニャめっちゃ健脚!ここら辺ってアーニャの逞しさがわかる場面だけどロシアの地理を知ってる私からするととんでもない距離なのわかるから笑いどころになってしまう。ちなみにオデッサ~ペルミは徒歩で21日、ペルミ~ペテルブルクは15日かかる(Googleマップ情報)。今だとオデッサペルミ間は電車で2日。星風さんの声はちょっと低めで聞きやすかった。私は高い声より少し低めのアルトの声が好きなんです。

それぞれの過去を話しながらペテルブルクを散歩するアーニャとディミトリ。あー私の心の故郷 ペテルブルク!これの場面ってどこら辺なんだろう。フィンランド湾が見えるとか言ってたからエルミタージュのすぐそばの宮殿橋の辺りかな。私アーニャの子守り歌Once upon a Decemberがとても好きなんです。アーニャは少ない給料をディミトリに渡してお金を貯めるがまだまだ足りない。アーニャはずっと隠し持っていたダイヤモンドをディミトリに「あなたを信じてる」と言って渡す。これはアナスタシアたちが殺された時、下着に宝石が縫い付けられてたから防弾ベストみたいになってたという話が元だと思う。
ダイヤモンドを売って出国許可証を手に入れた3人。ヴラドは元奥さんでマリア皇太后の召使いをしているリリーに会いに、ディミトリはマリア皇太后に本物のアナスタシア アーニャを連れていくためにパリへ向かう。駅の歌の場面、みんなソ連は嫌と思いつつロシアが好き。電車のセットがキラキラしてなくてソ連っぽい。ちょっとペテルブルク地下鉄の古い車両に似てる。ペテルブルクの地下鉄の昔からある青線と赤線は車両が古かった。電車にはディミトリとアーニャを追ってボリシェヴィキも乗車していた。車内でとある貴族殺されたことを知った3人は電車を降りて歩いてパリへ。

2幕
パリの手前の森を見て「ロシアみたい!」と言ってるヴラド笑。「せやな、黄金の秋やな」と思う私。マリア皇太后に会うには侍女のリリーのアポ必須。リリーの元恋人だったヴラドはパリのロシア人コミュニティ「ネヴァ・クラブ」へ。この時代の西ヨーロッパのロシア人コミュニティは革命で亡命したロシア人貴族やソ連の文壇を追われた作家の受け皿にもなった。最近受けた授業と時代がもろかぶり。1幕の歌にある「家に詰め込まれて~」の歌詞はソ連の住宅 コムナルカを指してる。当時は土地は山ほどあっても住居は配給制でバストイレキッチンが共同のアパートに数世帯集まって生活してた。「ネヴァ・クラブ」のリリーの歌が良かった。めっちゃ「ロシア!」って叫んでて、私も叫びたかった。リリーはマリア皇太后の前では有能な侍女、元恋人のヴラドの前ではチャーミング。登場人物のなかではリリーが一番好き。ヴラドとリリーの秘密の合図とかめっちゃ面白かったな。2幕はヴラドのはっちゃけが増して、隙あらばリリーにちょっかい出してる笑。ヴラドは「ファントム」のアラン・ショレから毒気を抜いた感じの胡散臭いけどおもしろいおじさんキャラ。既婚者のリリーが好きでダイヤモンドの腕時計はもっと好きとか笑。てかさ、ヴラドって多分元はヴラジーミルだと思うわ。ヴラジーミル・ポポフ。ポポフも結構聞く名字。グレヴ・ヴァガノフはあのワガノワと同じ名字。ロシアの名字は男性形と女性形があって、例えばプーチン大統領の奥さんや娘さんの名字は女性形のプーチナになる。だから、アーニャがアナスタシアのフルネームを名乗るときに名字だけそのままロマノフなのはちょっと違和感あった。本当はアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァだけどややこしくなるからロマノフでいい。主要な登場人物みんな面白くて、私のなかでは宙組はお笑いのイメージになってきた笑。マリア皇太后が「白鳥の湖」を見にオペラ座に来ると知ったディミトリはアーニャを着飾らせて一緒に劇場へ。バレエの場面は、王子とロットバルトがめっちゃ上手くかった。セットが小さかったけどそれでもしっかり身体使っててきれいだった。ロットバルト役の優希しおんさんは「宝塚のユーリ・スメカロフ」です。ロットバルトはたいていベテランの男性バレエダンサーが踊る役だから「貫禄」みたいなものが必要なんだけどそれが出てた。バレエの場面のあとにカーテンコールあって、お芝居続くのに思いっきり拍手してしまった。オデット役の潤花さんは私9月に雪組のライビュで見たんだけど、その時のほうがダンスは良かったと思う。バレエじゃなかったけど。もしかしてバレエ苦手なのかな…あとは異動したばっかりで慣れてない感じ?それとも私の期待値が高すぎた?でも「バレエはバレエ」「宝塚は宝塚」って分けて考えてる。花組のダンオリのフラメンコパートみたいにその道のプロがいるジャンルのダンスを宝塚でやることもあるけどプロ並のレベルは求めてない。プロが見たかったらプロの舞台を見ればいい。アナスタシアはまだ公演続くし宙組でも頑張ってください。
ついにマリア皇太后と対面するアーニャ。仲良しだった孫に生きていてほしい、生きているかもしれないと思ってはいるけどこれまでたくさん現れた偽アナスタシアのせいで信じきれないマリア皇太后。アニメだと、マリア皇太后からもらったオルゴールの鍵をアーニャが肌身離さず持っててそれが本物のアナスタシアである証拠だったけどミュージカル版は鍵の描写はなし。なんで鍵の描写はカットになったんだろう。ミュージカル版のアーニャ=アナスタシアの証拠は、本人たちしか知り得ないことを知ってるとかマリア皇太后の「ナナ」という愛称とか。ディミトリが露天商から買ったオルゴールの開け方はアナスタシアとマリア皇太后しか知らなかった。アーニャが本物のアナスタシアと確信したマリア皇太后はディミトリに報奨金を渡そうとするけどディミトリはそれを拒否する。ディミトリは悪いことをしてはいるけど根はすごく思いやりのある人。初めは金目当てだったけどアーニャが本物のアナスタシアと思ってからは家族の元に送り届けることが目的に変わっていった感じ。
アーニャを追ってグレヴもパリへ来た。自分の職務遂行とソ連のためにアーニャに拳銃を向けるけど恋する気持ちには勝てなかった。それでも互いを認め合っていく。グレヴはアーニャを好きな気持ちと革命のあいだでずっと葛藤してたと思う。グレヴは一応悪役だけど憎めないというか、少し応援したくなる登場人物。
思い出話に花を咲かせるアナスタシアとマリア皇太后。なんかいいな。マリア皇太后はアニメからそっくりそのまま出てきたような威厳と優しさ。マリア皇太后とヴラドは、アナスタシアとディミトリが互いに好きあっていることを見抜いていた。最後はアレクサンドル三世橋で記念撮影。ヴラドとリリーがずっとラブラブ笑。この2人は個人的MVPです。アナスタシアとマリア皇太后は橋を散歩できたのかな?
終始明るいミュージカルでした!アーニャは本当の自分を見つけ出して、誰も死なずにハッピーエンド。「アナスタシア生存伝説」を元に「こうだったらいいな」が詰まったファンタジー。
アドリブと桜木さんヴラドのおかげで暗くなりすぎずはっちゃけすぎずの絶妙なバランスだったと思う。宙組はアドリブがめっちゃおもしろい組で私のなかではもうお笑い担当のイメージです笑。リピートしたい気持ちは山々だけど金欠なので、もし円盤が出たらそれを買おうかなと思います!宝塚ナイズされたキラキラしたペテルブルクが見られて良かったです。


最後に私が撮ったペテルブルクの写真投げときます。
1枚目 血の上の救世主教会
2枚目 年末年始のネフスキー通り
3枚目 エルミタージュ美術館の中庭
4枚目 聖イサク聖堂
5枚目 夜のエルミタージュと宮殿広場
6枚目 エカテリーナ宮殿の広間


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