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アカデミー賞授賞式で露呈したアジア人差別に対して海外在住の私が思うこと

3月11日アメリカで映画業界最高の栄誉といわれるアカデミー賞の授賞式が行われた。
会場には世界的に名だたる役者、監督など映画関係者が集結。各部門の受賞者へのトロフィー授与、受賞者からのスピーチが行われる中、助演男優賞受賞者発表の際に事件は起こった。

前年度受賞者である中国系ベトナム人キー・ホイ・クァンから今年の受賞者としてロバート・ダウニー・Jr.(以下RDJ)の名前が読み上げられ、RDJは壇上に上がる。キー・ホイがトロフィーを贈呈するがRDJは彼に目もくれずに取りそのまま白人俳優と熱い握手を交わす⋯⋯。

このキー・ホイへの無視行為がアジア人差別だと現在アジア人を中心に炎上真っ只中である。



件の動画を見て胸が痛くなった。
なぜなら身に覚えがありすぎたからだ。

アメリカに限らず、このアジア人透明化問題はドイツでも出くわす。
私が挨拶をしても返事がない。学校でプリントが回されても私だけスルーされる。

声が小さかったのかな、クラスメートと仲良く出来てないしな、と自分の中でそう処理していたのだが、今回の件でSNS上では“自分も無視されたことがある“という意見が在外邦人を筆頭に飛び交っているのを見て、あれはアジア人差別だったのかと認識した。


しかし西洋人である彼らからしたら差別をしているつもりは微塵もない。それは正しいのだろう。だってアジア人はそもそも眼中にないのだから。

なのでこの件も彼らは大事として捉えていない。
ニュースを見るとそれは明らかで、RDJのことを日本語で検索したら件の問題行動の記事が上位に出てくるが、英語で調べるとトップに上がるのは彼の受賞を伝える記事ばかりである。

ドイツ人旦那に例の動画を見せたら「興奮しすぎて忘れちゃったんじゃない?」と案の定軽く捉えた反応だった。


彼らは黒人に対して気を使うがその対象にアジア人は含まれていない。
「自分はレイシストじゃない」と言うが無意識に差別行為をしていることに気がついていない。


RDJが演じるトニースタークが好きで、アベンジャーズシリーズを何回も観ていたのに、今回のことはとても残念だった。

息子がもっと大きくなったら一緒にアベンジャーズを観て楽しみたいなとひそかに期待していた。息子の性格からしておそらく夢中になる。


しかし今回の行動によりその夢は消えた。
息子が興奮してテレビ画面に食いつくその横で(この正義のヒーロー役の人は、君のルーツの一つでもあるアジア人をぞんざいに扱う人だよ)と私は思うのであろう。



悲しいことだらけになるが、唯一の小さな救いといえば、上記の意見をインスタに載せたらそれを見たドイツ人上司から翌日「僕には響いたよ」と言われたこと。
一人でも多くの人がアジア人差別に対する意識を持ってくれることを切に願う。

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