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映画的瞬間

どういうきっかけで人を好きになることが多いですか、と聞かれて、言い淀んだ。尋ねてきた相手は、恋愛対象として意識することと尊敬心を持つことがごく近い感情で、何かに懸命な姿にぐっと来るのだと言った。

私は、自らの過去を回想しても、そんな真っ当な回答できそうもなかった。
会社のデスクの引き出しをめちゃくちゃそっと閉めるところとか、ボリュームを落とした話し声とか、言葉の選び方とか、匂いとか、会話の距離感とか、そういうところを好きになって、いつも恋愛を始めてきた。意識するきっかけは、「うつくしい」という感覚に近い。映画的に恋している気がする。彼がいる場面を情景としてうつくしいと思ったら、好きになっている気がする。スクリーンを隔てたような距離感で、その人の姿を見ている。

だから私は、アプリ作法に普通に則っていてはいつまで経っても恋ができない。ルールをぶっ壊さなければ。

今年は、もっと短歌やりたい。心が翳っていなくても詠めるようになりたい。登山も続けたい。集いたい。山仲間を作りたい。あとは、30歳になるまでに、noteを本にまとめたい。去年から一年の抱負なんていらないなと思うようになって、目標を立てることをやめた。今やりたいと思ったことができていればそれで十二分に幸せだなと思う。

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