【ONE PIECE1101話雑感】慈悲の心と自由の答え

※ご注意※ ONE PIECE1101話(ジャンプ2024年2号)までのネタバレを含みます。


ドラゴンとくまの親の愛、ニカ、解放、コニーをはじめとするソルベ王国の人々の優しさ、アルファの性格の悪さ等、過去の話ともつながっていき色々な方面へ思いをはせることになった1101話でした。
ここではそのうちの慈悲の心、自由の答えについて思ったことを書き留めておきます。


慈悲深き許し尽くす人々

ONE PIECEの物語にはしばしば支配や搾取、虐殺など、ものすごくひどい目に遭わされた人々が登場します。そのたびにその原因である人間を「こんなひどいことするやつは絶対に許せない」という気持ちにさせられます。
しかし作中にはそんな目に遭ったにも関わらず恨み憎しみにとらわれず許る人も描かれます。

ナミ

自分の育ての親を目の前で殺し、自分を奴隷のように拉致し働かせ、村の人々を長年支配して苦しめてきたアーロン一味の一員であるはっちゃんを許し、アーロンが東の海へ向かった原因を結果的に作ることになったジンベエを恨まず、その姿勢はとても男前でした。

オトヒメとしらほし

魚人を魚類と分類し差別し、人魚や魚人を多数奴隷にしてきた天竜人が魚人島に漂着し、高圧的な態度で接してきたことに対し、魚人島民が怒り殺意を向けたがこれをオトヒメは身を挺してかばい、この怒りを次世代に引き継がせまいとし、手当をし地上まで同行し天竜人の心を入れ替えることに成功しました。
また、後日魚人島の反乱分子によって銃撃されたオトヒメは娘しらほしに犯人を憎むなと言い残し、しらほしは母の仇である犯人を知ってしまっても母の死後何年も言いつけを守り犯人が自供するまで事実を一人で抱え続けたのでした。

マザーカルメル

海軍と一芝居打ったという「天が和解を求めています」
リンリンが巨人族の村を破壊し長老を殺した際の「どうかお慈悲を!!」
その言葉にまったく心はなかったのでしょうか。
世界政府に子供を売りさばく悪役として描かれていますが、親からも見放されるような厄介者の子供たちを引き取り、ほかにスタッフも居なさそうなのでおそらくワンオペで面倒を見ています。50年…!
その間いくら陰でお金を得ていようとも特に豪遊している素振りも見られませんでした。
子供はいつか大人になり自分の力で生きていかなくてはなりません、奴隷として売りさばくならともかく、サイファーポールや海軍になれるなら社会的地位もありますので就職先として申し分ないのではないでしょうか。
自分はワルのつもりでいても、私の目にはどうにも慈善家にしか見えません。

バーソロミュー・くま

そして、今回の1101話までの数話にわたって続いていたバーソロミュー・くまの過去。教会の神父の子であり信仰心にも篤そうです。
幼くして一家で奴隷にされ母を亡くし目の前で父を殺されるという地獄を味わっていても、同じ奴隷の人たちを助けるべくゴッドバレーでは囮になることを志願し、悪魔の実を食べてからはたくさんの人を助け、また助けられなかった人のために祈りをささげるのでした。
奴隷から逃げ出せてからは手に入れた能力で人々の体の痛みを取り、それを人知れず自分で引き受けたり、ドラゴンの記事を読んで自分も誰かを助けるために命を使いたい、と決意します。
不幸にしたくないと結婚を断った最愛の人ジニーを天竜人に攫われ、孕まされた挙句死病に罹ったら放り出されて行きついた先でくまが受け取った最愛の人ジニーと憎き天竜人の間にできた子を自分が育てると決意し、本当のお父さんでもなかなかないくらいのレベルで溺愛するのでした。
そしてその愛娘ボニーにもジニーと同じ病気の徴候が現れると病気を治すために力を尽くし、ついに自分の体、自我までも差し出し交換条件としてボニーの治療をしてもらう約束を取り付けると涙を流して感謝するのでした。

ONE PIECEの世界では、この世界と同様に人の心が生み出したあらゆる苦悩が描かれます。
それと同時に上記のような慈悲深さや許し、または過去の因縁を乗り越えて協力する場面も頻繁に描かれます。

自由の答え

物語の最終盤でおそらくロジャー海賊団同様に”ラフテル”に上陸し世界の全てを知ることになるのでしょうが、その時ルフィたちは何かを問われそうです。

レイリーがこう言っていました。

ゆっくりと世界を見渡してその後に導き出す答えが我々と同じとも限らない…!!

ONE PIECE 52巻

裏を返せばロジャー海賊団は歴史の全てを知って何かしらの答えを導き出した、ということになります。しかし何かしらの理由で早すぎたため次世代へ託した。そのための大海賊時代。

ロジャーはこう言っていますね。

これらは止めることのできないものだ
”受け継がれる意志”
”人の夢”
”時代のうねり”
---------人が「自由」の答えを求める限り
それらは決して-----止まらない

ONE PIECE 12巻

”「自由」の答え”って日本語的な意味でどういうことなんだろう?

自由とはなんだ?思いのままにみんなが生きたら争いが起きて生きにくい、じゃあ真の自由とは?

みたいな問いかけなんでしょうか。

ロジャーが処刑された広場にいたドラゴンはこう言っています。

世界は我々の答えを待っている…!!!!

ONE PIECE 12巻

単なる勧善懲悪じゃないONE PIECEの物語、超悪い天竜人をぶっ飛ばしてすっきりして終了!なんてこともないんでしょうから、何かしらの答えを問われた時、慈悲の心の要素も重要になってくるような気がします。

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