さくらももこのエッセイと日常のあり方

さくらももこのエッセイってほんとおもしろい。
大爆笑するわけではないけど、クスリと笑っちゃう。


ふと、こういう面白いエッセイってどうやって書けるんだろうと考えてみた。
結果、

・1 文才
・2 日常でおもしろいことが起こる

かなと思った。


悲しい結果だ。文才は才能だし、日常の面白さは運に左右される。どうしようもない。でも、さくらももこも本当にそうなの?

文才は間違いない。けど日常が本当に面白いかな?


さくらももこは、「ちびまる子ちゃん」を書いていた人。ここの説明はいいでしょう。
ほのぼのコメディアニメ「ちびまる子ちゃん」は、日常のよくありそうな出来事や一場面を切り取り、個性的なキャラとおもしおかしいやりとりを繰り広げながら話が進んでいく。誇張はしてるだろうし、もしかしたら作り話もあるかもしれないけど、基本日常でありそうなお話。
個性的なクラスメイトもアニメ表現としてキャラを特化させてるだけであって、クラスに一人ぐらいはいたレベル。金持ちも、変わり者も、胃腸が弱い子も、隅っこでニヤニヤしてる子も、おとなしい眼鏡の子も、頭がいい子も、一人はクラスにいた。
家族構成も、じいさんばあさん父母姉と一般的。母が口うるさいのも、父がだらしないのも、姉がどこかツンケンしてるのも、じいさんが孫を可愛がるのも、あるある。

つまり、さくらももこは何も特別で珍しい環境の人生を送ってきたわけではないってことだ。日常がいつも面白おかしいことで溢れている数奇な運命を背負った人ではないわけだ。

じゃあ、よくある日常の風景からあのおもしろいお話はどうやって出来上がってるんだ?

そこで3つ目の理由が浮かんだ。

・3 日常の取り込み方がおもしろい


日常の取り込み方に違いがあるんじゃないのかな。日々の出来事に大きな違いがないのなら捉え方に違いがある。つまり、自分の中への取り込み方が違うんだ。
おそらくさくらももこは、「ちびまる子ちゃん」というただの日常漫画をコメディへと制作していく中で、日々の出来事を興味深く観察していたはず。何か面白いことが起こらないかなあ、と偶然に期待するんじゃなく、日々の出来事を自分に取り込むように過ごす。
そうして心に浮かんだ自分の感情をキャッチする。あ、今イライラしたな。あ、今面白いと思ったな。ていう風に。
キャッチしたら今度はその理由を考える。なんでイライラしたのか。なんで面白いと思ったのか。そうやって自分に尋ねて、自分の感性と出来事を混ぜ合わせていく。
こういう取り込みを常にしていたんじゃないのかなあ、と思う。だから、何気ない日常の風景が過ぎゆくもので終わらず、面白い部分をたくさん引っ張り出せたんじゃないかな。もちろん、面白いと感じるセンスみたいなものが素晴らしいんだけども。
この作業は小さい頃からの癖なのかな。それとも制作が始まってから習慣づいたのかな。そこまではわからない。


あれ?待てよ?
この、日常を自分と混ぜ合わせる感覚・・・なんかわかるぞ。
noteをほぼ毎日更新するようになってから自分にも現れるようになってきてる気がする。


先日、NHKで「坂道テレビ」という特番が放送された。乃木坂46・欅坂46・日向坂46の各坂道グループの魅力に迫り、グループの垣根を超えて交流し合う番組だった。その中のコーナーの1つに、各グループのキャプテン対談があった。

今までの僕ならおもしろいなあ、キャプテン大変だなあ、こんなこと考えてるんだあ、てか可愛いなあ、で終わってた。
しかし、書くようになった今、無意識のうちに自分と混ぜ合わせていることに気づいた。過去にサークル長をやっていた時に気づいたリーダーシップの考えと混ぜ合わせ、理想的なリーダーシップ像について自分の感覚と言葉で取り出そうとしていた。

今書いてるこの文章だってそうだ。
普段から書いていなかったら、さくらももこのエッセイおもしろいなあで終わってブックオフに直行だ。けれども今の僕は、ふとこの面白さが何故なのか気になったし、日常を自分の中に取り入れて考える感覚が芽生えつつあることにも気づいた。

この感覚が身につき始めただけでも書いてきてよかったと信じている。いたずらに日常を過ごすよりは遥かにいい。
ただ、この感覚がさくらももこの面白さにつながっているのかは本当のところはわからない。でもそうだったらいいなあ。だってもし本当にそうだとしたら、僕もいつか面白いエッセイや人の心に留まる文章が書けるようになるかもしれないってことだから、

そう思うと、また書く気力が湧いてきた。やっぱり書くの好きみたい。日常の風景が少し変わって見えた気がする。

最後にどうでもいい話だけど、「さくらももこ」にするか、「さくらももこさん」とさん付けするか、「さくらももこ氏」にするか悩んだ。呼び捨ては失礼で、さん付けするほど親しんでおらず、氏は使うのにソワソワする。難しい立ち位置。


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