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ひなあいに感化されたので過去の自分へ手紙を書く

小学校の自分へ

やっほー!

あなたは今、1年後に転校を控えていますね。でも、その事実を頭ではわかっているものの、本当に引っ越すのか、本当にみんなと会えなくなるのか、全然実感がわかないですよね。誰にも言わず、その年のあらゆる行事を「これが最後なんだよなあ」とふわふわと思いながら日々を過ごしていることでしょう。

実感が湧いてくるのはしばらく後、転校することを伝える書類を先生に提出してからです。その日から毎日のように転校の話題が出ます。違うクラスの子がわざわざ教室に来てまで聞かれます。同じようなことを何度も聞かれ、答えるのが面倒になるとは思いますが、いずれ会話がリアルになってきます。

「お別れ会しなきゃね」
「引越しの日決まったら会いに行くから教えて」
「最後に一緒にあれしよう」

みんなの言動が変わってきたことを感じる頃にようやく「ここからいなくなる」「みんなと会えなくなる」実感が湧いてきます。過ごしてきた時間を振り返るようになります。するともう一つ新たな感情が湧き上がってきます。


なんと、好きな子ができます。


誰だと思いますか?思い当たる人はいますか?クラスを見渡してもわからないですよね。それもそのはず。好きになる子は、他のクラスにいます。元気で運動神経が良くてよく男子に混ざって遊び、ショートカットで背が高くてよく笑い、クリスマスパーティに呼ばれ、帰りの方向が同じでよく一緒に帰り、一緒に帰ってる時に上級生にからかわれ、好きだと言われて「きっしょw」と言い返して──もうわかりますよね。そう、その子です。

びっくりですよね。まさかあいつを、と思いますよね。そんなわけないと笑い返しますよね。そりゃそうですよね。しかも違うクラスになって疎遠になってますもんね。

でもね、好きになるんです。もう会えなくなる、帰り道や廊下で見かけることがなくなる……それに気づいて、好きになります。

あっちは自分が転校することを知っているのかな。誰かから聞いたかな。もし知ってたらどう思ったんだろう。最後に話がしたいな、せめて転校することを伝えたい──そう思っていても偶然見かけるたびにドキッとしてしまい、疎遠になっていることも相まって声の掛け方がわからず、結局何一つ話せず少し落ち込む。その繰り返し。でもね、そんなあなたに未来の自分から伝えたいことがあります。

最後の日、絶好の機会が1度だけ訪れます。

在校生として卒業式の準備をしている時。担任の先生と一緒に廊下を掃除しているところへ、あの子が友達と一緒にやってきます。どうやら友達の方が先生に用事があったようで、先生と友達が話し込みます。あの子が手持ち無沙汰になったその時に、ふと目が合います。
そこで互いに目を合わせたまま数秒の時が流れます。まるでそこに2人しかいないような、時の流れが止まったような、不思議な時間が訪れます。神様の気まぐれないたずらです。


そこで勇気を出して声をかけてください。

「久しぶり」
「俺、転校するから」
「じゃあね」

これだけでいいので、話しかけてください。

そこで話しかけれないと、しばらく後悔します。何度も思い出しては「なんであの時一歩を踏み出さなかったんだ」と後悔します。実はあなたには、転校先でも、中学生になってからも、ちょっとだけ辛いことが起こります。でも、もしあなたが神様の気まぐれに対して勇気を出していれば、あまり辛く感じずに済むかもしれません。きっとその一歩が支えになってくれると思います。

ちょっとだけ未来の話をすると、みんなスマホやSNSを使うようになります。まだ聞き馴染みがないかもしれませんね。頭の片隅に覚えておくといいでしょう。気まぐれな神様に対抗する手段とだけ伝えておきます。

それでは、長くなりましたがここで終わります。いつだって、未来は味方ですよ。お元気で!

未来の自分より





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