2019.6.20

敢えて形容するならば、恋とでもしておけばそれで貴方は満足するのか。酔っていたのでしょう。酔いの醒めた今、咀嚼し切った美しき日々を、嫌に疼く頭を抱えて吐き出している。それを眺めている。獣のような音をたてて、そうですね、直喩するにはあまりにもそれそのものである音をたてて、吐き出している。片腕で抱えられると思われていたのなら、心外だ。例え両手両足を切り落とされたとして、それでも尚喰らい付いて離さない信念があなたには足りなかった。幻を見ていたのでしょうか。どこにもいない私を支配しようと心無い言葉を力任せに投げつけたところで、そこにあるのはあなたと誰かの新しい毎日、ただそれだけだというのに。逃げていくばかりです。必死になればなる程、消えていくばかりです。永遠、を潰したあなたに擦り寄る都合の良い思い出など、ある筈もないというのに、未だ信じているのですか。幾星霜駆け抜けたとて、数多ある行く末の何処を探そうとわたしはもう微塵のカタチも残さないでしょう。残念です。とても残念です。油の輪を浮かべたまま浚え切らず、未来永劫揺蕩うばかりのわたしを、捕まえることすら敵わないでしょう。その女の背を抱いて、後ろ髪に首を括られ死ねば良い。それがあなたの幸せ。これからの幸せ。


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夜を喫む 吸うた数だけ星が落ち、街は焼け崩れる 爛れたアスファルトに 鍵盤 トリルショット 踏切 規則正しく撃つ度 刻まれた我々の愛しき日々は轢死する

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