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内なる管理者を育てるー土星の話

失敗と時間軸の関係

ここ最近、失敗と体感時間の関係について考えていた。

「失敗」って、そう感じる瞬間はすごいショックだけど、実はちょっと長期で考えると大した失敗ではないことがほとんどだったりする。

例えば、1か月でなく、もう少し長めに、半年くらいとかそれくらいに期間を延ばして考えてみる。1か月やってみて「うまくいかない」と思うことは、確かにそこでやめたら「うまくいかなかった=失敗」となるのかも。

でも、半年続けたら全然別の発見があったり。時間のものさしを伸ばすだけで失敗の見方が変わることって結構あるのかもな、と思います。

(人間関係の「失敗」は取り返しがつかないケースもあるけどね…けどそこから何を学ぶかはやはり大事で「どうせだめだ」を学習してしまうのはもったいないなと思います。諦めたらそこで試合終了(©スラムダンク)ですから…)

なので「変わりたいな」とか、「○○を達成したいな」とか「○○を身につけたいな」と思ったときは、自分の成長を他ならぬ自分自身が長い目で見守る気持ちが大事なのだな、と思います。

何か、自分に対する時間軸が長く設定できないのって、情報が沢山手に入る世の中になったことに伴う”伝記コンプレックス”みたいなのもあるのかもしれないなと思う。偉人の伝記とかって、出生から何かを成し遂げるまでが数時間で読めてしまいますよね。けど、実際は成し遂げるのに一生かかってるからね。ご本人は一生かけてやられたことを、読む側は数時間で分かった気になれてしまう。

成功している人のインタビューしかり。我々が数分で読めることはご本人は何年もかけてやっておられることが多々なわけで。

情報を得るのにかかった時間(読んで追体験し、「ほほう」と理解する時間)が実際の人生よりはるかに短い伝記やインタビューをそのまま自分に対するまなざしに適用すると、自分で自分のことを待てる時間がどうしても短くなってしまう。

なので、自分のことに関しては特に体感時間を長めに持つことが大事なのではないか、などと思ったりしていました。

土星=内なる管理者

この「自分のことを長い目で見て、育てていく」というのは、占星術的に見ると、土星的な質と関係します。

土星は内なる管理者を表す天体です。

この世に生まれ、保護者に育ててもらっている間は、保護者が自分の土星的な質を引き受けてくれている。でも、成長し、大人になって自分で自分の生活を管理していくターンが来た後は、いかに自らの土星的な質と仲良くなり、育むかが大事になってくる。

小さいころ、保護者に「管理されている」感覚に抵抗を覚え、大人になってから自分の好きに過ごす解放感を味わう、というのは多くの人に経験があることだと思います。

しかし、「管理されない」ことにこだわり、自分で自分を維持・管理することを放棄し、そのとき過ごしたいように過ごしているだけの生活だと、結局自分の本当に望むあり方にたどり着けなかったりする。

自由を謳歌しているつもりだけど、家が散らかりすぎていて安息できなかったり、むちゃくちゃな生活で体調を崩したり、あるいはお金がうまく回らず生活が苦しくなったり。

それは「管理されている子ども」から「自由な子ども」に変わっただけだから。

その場限りの満足や充実感ではなく、長く続く満足・充実感を味わいたい。あるいは思い描く理想をかたちにしていきたいなら、ある程度自分の内面に自らの管理者的な役割が必要になってくる。

子どもと大人の違いは、「自分で自分の心身・生活をいい状態に整え、維持・管理していけるか」なのでしょうね。
(今自分で書きながらむっちゃグサグサ自分に刺さってます)

自分が自分の管理者となる過程では、育ててもらった親のやり方の模倣も大事だし、逆に模倣せず自分なりのやり方を見つけるのも大事。自分の親を客観視しながら、どんなふうに影響を受けてきたのかひも解く作業も必要となってくるでしょう。

土星のサインが表すコンプレックスとは

土星は、内なる管理者であるだけでなく、コンプレックスや苦手意識も表します。それは取りも直さず、育てることで自我の成熟、大人への変容が起こるポイントだと言えるでしょう。

土星のつかさどるコンプレックスや苦手意識に取り組むことは、自らの内面的な管理者を育てることにもつながるはずです。

ホロスコープで土星のあるサインやハウスのテーマについては「〜がすごい苦手」とか、逆に「〜せねばならない」と感じやすい。気持ち的な出どころは一緒で、欠けていると感じる/ゆえに埋め合わせしようと強迫的に無理するという感じ。

ごく一例ですが

牡羊座:個性を出すのが苦手/個性を確立せねば…
牡牛座:ものの所有が苦手/多く所有せねば…
双子座:情報収集が苦手/情報収集せねば…
蟹座:仲間を作るのが苦手/仲間を大事にせねば…
獅子座:目立つの苦手/目立たねば…
乙女座:ルーティン化が苦手/ルーティン化せねば…
天秤座:客観的に見るの苦手/客観的に見ねば…
蠍座:集中するの苦手/一点集中せねば…
射手座:境界超えるの苦手/境界超えねば…
山羊座:リーダーシップ苦手/リーダーシップ取らねば…
水瓶座:変わったことしたくない/変わったことをせねば…
魚座:受容するのが苦手/受容せねば…

みたいな感じですかね。

ーちなみに、あなたの土星はどこから?
私は乙女座から!
乙女座土星との歩み寄りと内面化が今の私のテーマでございます。

…私は生活にルーティンを持ち込み構造化することがひじょーに苦手、というか嫌悪感すら抱いておりまして…しかしタイムスケジュールなき家事育児はただのカオスでして…むちゃくちゃ嫌いだけどまさにそれこそが私の生活に必要なことなのだ、と最近になってやっと(齢40にしてやっと!)観念した次第にございます。

土星=自分の基準がやたら高い部分。だからコンプレックスに

話を戻します。
土星コンプレックスを解消するにはどうすればよいのだろう。鍵は、そのテーマについて「苦手」「すごい嫌」「どうにかしないと」と感じている自分の気持ちを「そう感じるのだね」と受けとめ、眺めるところから始まるのでしょうね。

そのテーマに関して自分のOKラインの基準がすごく高い場合も往々にしてありそうです。

先にも言いましたが、土星は自らの「内なる管理者」の側面を象徴する天体です。幼少期は内面に生命維持や安全保護をつかさどる管理者の機能はない。なので保護者に管理者権限を一旦委託するわけですが、成長するに従い自らが自らの管理者となる機能を内面に育てていく必要がある。

でも、内面化する過程では、自らの管理者的側面は「幼少の自分から見た親」が基準となるので、現状の自分よりも基準がどうしても高くなる。基準が自分の現状に即していなくていつまでもたどり着けない感じがする、自分には到底うまくやるのが無理な感じがする。それが苦手/せねばの所以では、と思います。

土星って、子どものころ親を見上げていたその視点や距離感がずっと固定されちゃうポイントなのかもですね。自分が大人になっても、そのポイントでは子ども/親の距離感、敵わない感じ、足りてない感じ、苦手意識/強迫観念が固定されやすい=コンプレックス化しやすい。

具体的には、土星のあるサインやハウスのつかさどるテーマにそのような感覚を抱きやすくなります。土星とアスペクトする天体も関係してくるでしょう。

シンプルに親御さんに常々言われてきたこと(例:「片付けなさい」「お前は片付けが下手だ」)が内面化され、コンプレックスや苦手意識となっていることもありますよね。

土星のテーマは自分でじっくり育てていくポイント

自らの土星的な質を育て、子どもの視点から大人の視点へと少しずつ変化させることで、自我の成熟、大人への変容が起こる。苦手な部分は、それだけ気になる部分ということでもある。時間をかけてつきあえば自分のしっかりとした持ち味になる可能性も大いにあるのですよね。そう言った意味で、土星は「苦手」「コンプレックス」だけで片づけてしまうのはもったいない、本当に味わい深い天体だと思います。

ただ、土星があるサインやハウスのテーマは、一気呵成で解決とかブレイクスルーが訪れるものではない。短期集中で100%の力を出してパパッと解決!とはいかない感じ。

短期集中で過剰にがんばりすぎて、飽きが来て「やーめた」とするのではなく、続けられるくらいのいい塩梅でそのテーマとじっくり付き合い続けていく。土星の質を身につけるためには、時間を味方にするのも大事な気がします。

時間も土星が象意です。何だかんだ言っても、続けていれば、何かしらのかたちになっていく。これは時間のもたらす魔法のような作用。長い時間をかけて少しずつできあがるクリスタルのように。それを信じることが大事なのではないかと思います。冒頭の「失敗と体感時間の関係」にもつながる話。

あと、土星の質は土星的なやり方でないと身につきづらいのですよね。
土星的な質を身につけるためには、気分に左右されすぎない(=not月)。達成したと思いすぎない(=not太陽)。策を弄しすぎない(=not水星)。安きに流れない(=not金星)。情熱を燃やしすぎない(=not火星)。自分を甘やかしすぎない(=not木星)。奇をてらわない(=not天王星)。幻想を見ない(=not海王星)。耐えられずにぶち壊そうとしない(=not冥王星)。

あくまで土星的に、淡々と、続く温度で継続していく。日々に一喜一憂しない、自分に過剰に期待して過剰に失望しない。自分を律しつつ、パパッとカタをつけたいところを、ぐっとこらえ、継続的に根気強くつきあう。そのための構造化、システム化は大いに有効。

「時間」も「忍耐」や「継続」も「構造」も土星的な質です。土星の質は土星的なやり方でないと味方にしづらいというのもいとおかし。

まとめ

土星のサイン、ハウスのテーマは
コンプレックス化しやすい=敵わない感じ、足りてない感じ、苦手意識/強迫観念が固定されやすい部分。

対策は
・自分の抱く苦手意識/強迫観念を「そうかそうか」と受けとめ
・「ほどほどでええんやで」とよしよししながら
・淡々と、ロングスパンで取り組む

べしですね^^

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