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人からの「物語」を手放し、自分の「物語」を生きるために

様々な人を見ていると、周りで起こるどんなできごとも、自分以外のものに力を引き渡す材料にしてしまう人と、そうでない人というのがいます。

この違いは、ただの考え方の癖からくるもの。なので、気づいたら修正していくことができる。

例えば「あの人は私の知らない情報を知っている」という事実らしきものがあったとして、それをニュートラルに捉えるか、自分の『物語』に我田引水して「だからあの人のほうがすごい」とか「やっぱり私はだめだ」と思っちゃうのか。

この『物語(=、思考の癖、信念体系)』というのが曲者で、大体において、人は自分のそのとき持っている『物語』に沿って、起こるできごとを解釈していきます。

シンプルな例を挙げてみます。

例えば、「コップの水をこぼした」というできごとがあったとします。物理的には、「コップの水がコップからこぼれて落ちた」というできごとは、良いも悪いもないニュートラルなものです。落ちた瞬間に「片づけがめんどい」と大半の人は感じると思いますけど、片づけておしまいの人と、そうでない人がいて、それは持っている物語の違いによる。

例えばこのコップの水をこぼしたのが、「自分は何をやってもうまくいかない」という物語を強固に持っている人だとします。

その人は、コップの水をこぼした瞬間、「水がこぼれた」というただの事実に「あーやっちゃった、私ってほんとだめだなー=水をこぼした自分は『やっぱり』だめだ」という解釈を行います。

「水がこぼれた」というただのできごとも、その人にとっては「自分は何をやってもうまくいかない」という物語を補強するものになるわけです。

また、コップの水をこぼしたのが「世界は私に対して意地悪だ」という物語を持っている人だとします。

その人は、コップの水をこぼした瞬間に、「水がこぼれた」というただの事実に「もー、何で水がこぼれるんだろう!=またしても世界が自分をイラつかせる」という解釈を行います。ときには「私ってやっぱり不運、かわいそう」とも解釈するかもしれません。

「水がこぼれた」というただのできごとも、その人にとっては「私は世界から虐げられている、私は不運でかわいそう」という物語を補強するものになるわけです。

何が正解ということはないですが、「水がこぼれた」という事実に様々な物語をくっつけて解釈するのは人の心であり、その物語は十人十色、ということです。

その物語の心理的負荷が高ければ高いほど、日々見えないストレスを感じながら生きることになります。

「自分のがんばりは足りていない」「自分には価値がない」「自分には幸せになる資格がない」「自分はどうせ何をやってもダメだ」「自分のやることには意味がない」などなど。これらの物語はどう考えても心理的負荷が高いですよね。

でも、そういう物語をうっすら抱えて生きていることは案外多いのでは?

できごとを受けとめるときの解釈は、それまでに培ってきた物語パターンによって瞬間的に行われることが多いです。そして、人はわりとこのパターン自体を疑うという習慣がないことが多い。でも、気がついたらその都度修正していくことができるものです。

自己卑下の強い人は、自分の『物語』にやたら自信がある人とも言えるでしょう。「自分はすごくない、全然ダメ、いつでも自分が悪い、自分なんてどうせ何もできない」という『物語(信念)』の補強に、起こるできごとや他者からの言葉をすべて使っている。なのである意味すごいです。才能がないとできないです

そういう人の場合、現実のできごとは全部「自分すごくない物語」をより強固にするための解釈に使われる。すごいですよね。心の中の「自分すごくないマシーン」を全力で動かすために全てのエネルギー使ってる感じ。

そう考えると、なぜそこまでしてその「物語」を補強する必要があった/あるのか?に興味が出てくるのではないでしょうか。

何でその物語を補強する必要があった/あるのかと考えてみると、小さいころのささいなできごとが決定打になっていたり、幾つかのできごとの積み重ねで成り立っていたりすることが腑に落ちたりします。

大体、今持っている物語は、人(大半が親)からの一言をきっかけにできていたり、周囲の大人(大半が親)が持っていたものをそのまま引き継いでいたり、周囲や社会が形成している物語をそのまま内面化していたり、というケースが多いですね。

そこまで気がつくことができると、その物語がそもそも必要だったのか、これからも必要なのか、ということも考えられるようになります。

また、あなた自身の物語ってどんなものなんだろう?ということも、考えていけるようになります。そして、一回この構造に気がつくと、もう人からの物語を取り込まなくて済むようになります。

自分の物語と他人の物語を腑分けすること、その視点を知っておくこと。これは、人生にとってとても有用なことだと思います。

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