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<質問箱への回答>身近な人が陰謀論にハマったら

質問箱にこんなご質問をいただきました。

ご質問

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こんな感じで回答しました。

回答

なるほどー、悩ましいですね。。。 超個人的な意見ですが、今の日本は社会的に年配の人(60前後以上の方ですかね)が陰謀論、すなわち「日本すごい」「〇〇は悪い」みたいな言説にハマりやすい構造があるのでは…と思っています。

陰謀論にハマりやすい社会的な構造

今の60代以上の方って、世代的には日本が経済的に豊かになっていく過程に参加した人たちですよね。バブルがはじける前までは、日本はとりあえず経済的には非常にうまくいっていた。

でもそれと引き換えに、70年、80年代に大人になった人たちは、男性ならば残業長時間労働当たり前、休日は「家族サービス」、あるいは労働の疲労を回復すべくひたすら寝る毎日。女性は家庭で家事育児という24時間勤務に邁進。という感じで、1日の大半を経済活動に捧げ、それ以外で家庭の時間や趣味の時間を確保するのがやっとという日々を何十年も続ける状況にあり、相当意識しないと仕事と家庭(とあと趣味)以外のことに時間を取るのが難しかったのでは。

一方で政治的なことには関わるのを避けてきた人が多い印象です。それは、彼らが若かったころに学生運動をリアルタイムで見ている世代だからではないかと考えます。学生運動の激化と破綻って、その後の人々の政治に対する態度に何気に大きな影響を与えているのでは。

実際学生運動のころとか終わったばかりのころには、就職の際にも政治的な運動をしているかどうか会社のほうから調べられたらしいですし、政治の話はタブーっぽくなって、「政治のことには我関せずでいこう、納税しているのだから国民としての義務は十分果たしている」と考える人たちが増えたのではと思います。

そんなわけで、今の60代以上の人は物理的にも精神的にも政治のことに関心を持ちづらかったのではと思うのです(もちろんそうではない人もたくさんいると思うんですけど、そういう人も結構いるのではと思います)。 

そんな感じで元々「国を良くするには」というテーマを考えることなく過ごしてきて、ましてや「国を良くするには中の仕組み(=政治とか)を変える必要がある」という発想を持ちづらいベースがあるところに、
最近の日本が衰退しつつある雰囲気を感じたとき、
今後の日本が心配、子どもたちが幸せに暮らしていけるかも心配→自分たちにできることは一所懸命やってきたはずなのに国はよくなっていない
→何かが日本を陥れようとしているのでは?!
→陰謀論にハマる
となるのは自然といえば自然な流れかも、と思います。

もちろん「日本まずいな」と思ったときには、陰謀論にハマる人とそうでなく政治に関心を持って流れを是正しようとする人に分かれるのだと思うのですが、世代的に「ノンポリ」が標準な世代は、政治に批判的な視点を持つよりは陰謀論に走ってしまうのかもしれないですね。

また、これまで政治的なことに関心を持たなかったうしろめたさを無意識にカバーしようとして、自分のことも国のことも責めずに現状の原因を見つけようとすると、必然的に国外にその原因を求めてしまうのかもしれません。なので、ここ数年で陰謀論にハマった人は、それが政治への関心の第一歩である可能性もある気がします。 

身内が陰謀論にハマったとき

構造の話はさておき、自分を育ててくれた親がそういう陰謀論にハマるのを見るのは辛いものがありますよね。お母様が陰謀論を訂正しようとすると反発してこられるのは、日本にために何か自分ができることをしようとした結果、今は陰謀論の主張に行きついているからなのかもと思います。 

とりあえずお伝えしたいのは、子であるあなたが親と違う意見を持っているというのは確かな成長の証です。だからどうか、絶望し続けないでくださいね。 

対処法、悩ましいですよね…「お母さん、心配しなくて大丈夫だよ。日本は大丈夫、若い人たちで何とかするから安心して」って言って安心してもらえたら簡単なんですけど。そういうわけにもいかなさそうですよね。だって日本のことを心配したいし構いたいし口を出したいから(つまり好きだから)陰謀論にハマっているわけなので。

ちなみに私の身近な人が陰謀論にハマってしまったときには、わりと「へー、そっち行っちゃうんだ」「これが世代の違いかなー」とか思ってしまいますね(冷たい)。やっぱり育ってきた社会の状況によって人の考え方ってかなり影響を受けるんじゃないかと思うんです。

なので、陰謀論的な話をし始めたら「まあそういう世代だしな」とか「親も年を取ったんだな」って割り切っちゃうかも。けど陰謀論的な話をしてこられて「それは違うな」と思ったら多分「違うと思う」って自分の意見を返すと思います。あと悪口的なこと言ったら「またそんな言って~」とけん制していったりとか。でも、その奥にある「子どもが心配」「この国の行く末が心配」っていう気持ちは汲み取っていきたいなと思います。 

ご質問者さんが、お母様が言ってくる陰謀論にも染まらず「それは違う」とご自身の考えを持てているのは素晴らしいことだと思います。しっかりとご自分の意見を持っている大人に育ったからこそ、お母様の意見の是非も分かるし、お母様の考えがある種幼稚に見える部分もありますよね。それがあなたの価値観を揺さぶることも理解できます。

でも、もう精神的に自立した今、お母様の思想信条をあなた自身の存在価値に干渉させることもない、と私は思います。絶望し続けず、今まで与えてもらったものに感謝して、そっと関係の境界線を引き直すのもありかなと思います。

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