22aho22

すべてはノンフィクション

22aho22

すべてはノンフィクション

最近の記事

33 老兵の背中を見ない

恩師を「老害」と感じるようになってしまい、そんなことを誰かに言えるはずもなく、悩みに悩んで始めたnote。 この恩師も最近は連絡をよこさなくなり、共通の知人に「若い人は忙しい。みんな冷たくなって寂しい」とこぼしていたらしい。自分もその一人かと思うと胸が痛くなる。 しかしもう連絡は取りたくない。先生が悪いのではない。多分どういう接し方をされても、こちらの受け取り方が悪いから関係は悪化する一方だろう。 今までなんでも受け入れてきた先生からの頼みを断ろうと決めたとき、もう先生の葬

    • 32 専任教員はポスドクに愚痴言うな

      後輩から相談された。「定年退職した教授から重いメールが来る」と。 メールの内容は「働いていないと生きている意味を感じられない」「自分は生死の狭間にいる」などで、「死」というワードが出てきたので後輩はうろたえてしまったそうだ。 後輩が「これまで長く働いてこられたのですから、少しお休みになっては」と返すと、「私はこの生活を何十年もしてきたんだ。それが自然なんだ。働きたいんだ」と反論されたそうだ。 よくそういうことが言えるなと思う。 任期付きポスドクの後輩に。 私も院生の頃

      • 31 大学の講義は長すぎる

        小、中、高校の先生方のnoteを読みあさった結果、今日の講義はいつもより良くできた気がする。 とはいえ学生の反応はわからない。しきりに頷いてくれても内容が全く伝わっていなかったり、つまらなさそうに見えても思索にふけるがゆえの真顔だったりする。 大人向けの講演ではフロアがよく笑ってくれるので話しやすいが、社交辞令である。 真の評価は知ることができないが、それでも自分なりにベストを尽くしたと思える日を増やしていきたいものだ。 講義時間は、短い大学で90分、長いと100分、11

        • 30 もう無理かもしれない

          現在勤めている大学に違和感があるのは、教員が学生を招いた飲み会の幹事をすること。学部も大学院も。 自分のゼミの学生となら、それも仕事の一部だと思うので頑張る。 しかし学科単位や研究科単位で、所属教員と学生を招いた飲み会をたびたび開かなければならない。それもフォーマルな店ではなく普通の居酒屋で。 特に疑問なのは、新入生のための親睦会を開き、教員の日程を合わせ、学生の出欠を取り、ケータリングを頼み、ゲームや出し物をすること。 すごい底辺大学みたいに見えるが、入試上は一応難関大学

        33 老兵の背中を見ない

        マガジン

        • 大学教員のしょぼい愚痴
          19本
        • 大学教員の退職
          4本
        • 公募戦士
          3本

        記事

          29 教育困難大学の思い出

          前回「老いて学生への受容度が上がった」と書いたが、間違っていた。単に大学を異動したおかげで教員にとって扱いやすい学生に囲まれるようになっただけなのかもしれない。 かつて勤めていた教育困難校にも尊敬すべき学生はいたが、悩まされ、驚かされることの方が多かった。 ・志望大学は通学距離で決める 「家から近いからこの大学にした」という学生が多かった。偏差値や学費は理由にならない。 ・基本的に学校は嫌な場所 学校は自分を落ちこぼれさせた場所。教師は敵。教室でやる気がありそうにしている

          29 教育困難大学の思い出

          28 学生がかわいい?

          大学に勤めて間もない頃は、教員と学生のミスマッチが起きやすい。教員のタイプをよく知らずにゼミや授業を履修されてしまうので、お互いに期待が外れてうまくいかないことが多いように思う。 在籍期間が長くなると、「あいつはこういう教員だ」という評価が学生の間で共有され、自分に合った学生が集まってくれるようになる。 その成果なのか、今年度はかなり居心地がよくなった。 さらに不思議なことに、学生がなにを話していても面白いという謎の境地に至った。もちろん困らされることもあるが、基本的には自

          28 学生がかわいい?

          27 研究者とうつ病

          20年ぶりくらいにしっかり休んだ。最低限の仕事だけして、研究に関係ない本を読んだり、好きなだけ寝たり、休むことに専念した。原稿の締切はあるが、後からでも間に合うと考えて手をつけなかった。 そして一週間。死にたいと思う気持ちはなくなった。 仕事の依頼を断り続けたおかげでこの時間ができた。こんなに安心して過ごせたのは10代以来だと思う。 研究者を志したときから、publish or perish (出版か死か)と教え込まれ、いつも身の丈以上の仕事を抱え、頼まれたことはなんでも

          27 研究者とうつ病

          26  勤務校を愛す

          職場の悪口しか言っていなかった自分だが、ある教授の最終講義を聞いて己を省みた。 「ここはよくわからない大学だった」 「この学部で自分は外様だった」 「まあ別にそれでいいんだけど」 こうはなりたくない。 大学行政に責任を負う中枢にはいられず、周辺においてもなんの役割も果たせなかったからこそ、こういう言葉が出てくる。 「この大学にいられてよかった。雇ってもらえてよかった」 「最初はジャングルかと思ったが最高の学部になった」 そう言って去りたいではないか。 自分の所属を愛し

          26  勤務校を愛す

          25 口頭試問でださい教員

          卒論、修論、博論の口頭試問で、ださいと思う教員がいる。 ・学生に対する質問に自分が答えてしまう。 あなたに質問していない。指導教授として学生をかばったつもりなのだろうが、実際には発言の機会を奪っている。 ・学生の論文を読んでいないことを誤魔化して乗り切ろうとしている。 忙しくて読めないのはわかる。学生のやっつけ仕事に向き合う気がしないのもわかる。しかし、その場でそれなりの質問をして誤魔化すだけの力がないなら、ざっと「見る」だけでもしたらどうか。 ・手ぶらで来て、学生の論

          25 口頭試問でださい教員

          24 選択定年

          とある名誉教授が早期退職について書いた文章があり、もう何度も読んでいる。 この先生は、早稲田大学の教授として本来であれば70歳まで勤められるところを、66歳に早めて退職されたそうだ。退職後に周囲から「全然変わらず元気そうだから仕事を続けたら」と勧められても、年寄りは若い人たちの邪魔をすべきではないと書いている。本当にすばらしい心掛けだと思う。ほかにも参考になることが多々書かれており、自分も真似したい。 もちろんこのサイトを見る時というのは定年退職した先生がいつまでたっても

          24 選択定年

          23 誰にも話を聞いてもらえなくなる日まで

          定年退職した教授が大学に現れた。 最初は皆、わっと湧いて「先生、先生」と迎え入れるが、近況報告が終わると話すこともなくなってくる。気がつくとポツンとされていた。 自分もいずれそうなるのだろう。 話をしても誰も耳を傾けなくなるし、腫れもの扱いで批判もされない。 今、卒論の指導が詰まっている。学生がひっきりなしに研究室を訪れる。疲れる。でも、いずれは誰も来なくなる。 授業もそうだ。自分の話を聞きに教室に人が集まってくる。こちらは長々と好きなことを話した挙句、金までもらえる。

          23 誰にも話を聞いてもらえなくなる日まで

          22 大学教員の労働条件

          これまで専任教員としてどのように条件を通知されてきたか。 追記 この記事が一番読まれているが、誰もが知りたい情報を書いていないという自覚があった。思い切って年収の目安も加筆する。 ある大手私大 任期付きポスドクだが一応書いておく。着任前に郵送された労働条件通知書に給与の目安、勤務日、業務内容、任期が書かれていた。 実態 途中で退職したため詳細不明。 名もなき私大 着任前に届いた労働条件通知書に一年目の年収の目安、勤務日が書かれていた。休暇についても記載あり。着任前の説明会

          22 大学教員の労働条件

          21 大学を移った理由

          せっかく自分に合った大学に勤めていたのにどうして辞めてしまったのだろうか。大学を移ってからずっと考えてきた終わりのない問に、最近になって答えが見えた気がする。 給与が安すぎた。 大学の公募には年収の目安が載っていればマシな方で、基本的に就職するまで正確な金額はわからない。それでも買い手市場ゆえ、求職者に条件を問う余地はない。 また研究者の間には俗っぽいことにガタガタ言わずに研究できる環境だけを望むべしという規範もあるように思う。 要するにこの業界で給与の額は問題にならない

          21 大学を移った理由

          20 なにをしてるんや自分

          超尊敬している先生に学会の部会を立ち上げて発表しようと言われた。断ってしまった。 超尊敬している先生に講演を頼まれた。断ってしまった。 自分の名前を思い出していただけるだけで嬉しいし、こんなチャンスもう無いかもしれないのに大バカ野郎だ。なんでこうなるんや。でもどうしてもやりたいと思えなかった。いつもみたいに無理して引き受けて無理して無理して当日こなすことが考えられなかった。もう日常を生き延びる以上のことができない。 今抱えてる締切は一つだけ。どうしてもやりたい、やれると思

          20 なにをしてるんや自分

          19 辞めた先生になにを言われても

          SNSで教員論を発信している教員が実はすでに退職しているとわかると「あーあ」と思ってしまう。 たしかに続けられないくらいの辛い思いをした人だからこそ退職に至り、わざわざネットで教員論を書きもするのだろう。自然なことだ。 しかし、なにを書かれてもあなたはもう当事者ではない、もうここから出たのではないかと思ってしまう。 辞めた先生に励まされてもなんとも思わない。10年担任やったとか言われても、でも辞めたんだろと思ってしまう。管理職の辛さを知らないうちに。 私はこうやって人を

          19 辞めた先生になにを言われても

          18 ぬるま湯温室大学院

          新しい職場の大学院で院生がほとんど専門的な指導を受けていないことに驚く。それでは論文を書けるはずがない。 異動するたび、所属大学の入試上の偏差値は上昇している。しかし各大学の上位一割は本当によくできるという意味で同じだし、下位一割の勉強の出来なさも変わらない。 旧帝大の院生でも問題意識がはっきりしない学生もいるし、無名私大でも出来がよすぎて学会で驚かれる学生もいる。 だから大学の偏差値が上がったから院生のレベルも上がるということはない。見通しが甘かった。 私自身はぬるいゆ

          18 ぬるま湯温室大学院