出稼ぎ 少年伐採夫の記録 野添憲治著を読む

本の返却期限を更新するために図書館に行った。sfを借りたかったがなかったので郷土資料を借りてみる。そこで目についたのがこの本。
著者は秋田の新制中学を卒業してから北海道で林業に従事してから、長野や奈良を転々としている。それから秋田に定住したらしい。全体をめくって見ただけなので細部はまだわからない。

飯場と呼ばれるところでの生活や林業に従事している様子の描写がほとんどだ。木の切り方で、例えばのこを木に切りかける角度によって木の倒れ方が変わり、場合によっては労働災害につながることが書かれてあった。
給与の不払いの描写もあった。それで団結して会社の専務に言う様子だったりがかかれていた。ハローワークと現在言われているところに言っても社長に払ってもらえと言われて追い返されたりした話もあった。

そういう話を聞くと昔は良かったとは言えない。どこからどこまでの昔が良かったかはわからないが、今のほうが労働行政の担当者はよく仕事をしていると思うし、健康保険は使えるし、教育水準は上がって話が通じないということは減っていると思う。確かにいい面はあったのだろうが、現在のほうが明らかに生きやすいのではないか?

読んでいて疑問に思ったのが、なぜ貧しいのに子供を産ませるのかというところ。労働力として必要なら雇えばいいのに。規模が小さければ企業化して管理の主体と範囲を決めればいいし、必要な人がどれくらいかを把握する努力をすればいいのではないのか?なぜ貧困の再生産のようなことをしなければならない?
今でもこの本で書かれていた出稼ぎのようなことはあるのだろうが、インターネットがあるぶんマシになっている気はする。生活保護もあるし。2拠点生活の1形態として見ると面白いかもしれない。すべての人がそういう生活形態になったらどうなるんだろう?
例えば日本株式会社から仕事を割り振られて、好きなだけ仕事をしてもいいし、しなくてもいい。RPGゲームのギルドのような労働環境。透明性もあるし、賃金の不払いも起こり得ない。



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