マガジンのカバー画像

球体関節人形が泣く夜は

30
書いた詩や歌など。これから、ポエマーな自分も認めていきます。noteに歌や詩をかいたらこちらに追加していきます。 ゆー。
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

猫だけが待つ

猫だけが待つ

歩く   ひたすら歩いて帰るのは誰も私を待たないおうちに帰るためだけ

その家には帰りを待つ人はいない
私の帰りを待つのは  猫だけ

ああぁおおおぅん  にぃいやあああぁおおおぅん

青い睫毛のお人形の帰りを待つのは金色の猫が一匹

魔王がささやく  おまえにはこの猫と私がついているから

猫は魔王になつきはしない
古びたびろおどのドレスにまとわりつく猫の長いしっぽ

ああぁおおおぅん  にぃい

もっとみる
人形の家

人形の家

黄昏時  人形は 逢魔が時に帰る

誰も私を知らなくていい 
愛さなくていい だから愛されなくていい  長く青い睫毛のお人形

人形は家路につく  
コツコツと歩いてゼンマイのネジが止まるのを待つ

誰かネジを巻いてください

ブーツのかかとがコツコツリズムを刻む

駅のホームに人形はいつもひとりぼっち  青い睫毛の人形がコツコツ歩いて帰る

まだ綺麗ですか
まだかわいいですか

逢魔が時にさらわ

もっとみる
星のない街

星のない街

雨の舗道を歩く

スクランブル交差点  赤に変わる  クラクションが鳴る  慌てる  転ぶ  膝を擦りむく  駅に向かって歩いてく

最終電車はもうない  始発を待つしかない

繁華街へと振り返る 一人で行く勇気なんかないくせに

真夜中サングラスを外す  涙がこぼれる   明るい夜空に瞬く星が見えない   この街には星がない

お父さん、迎えに来てよとべそをかいている

一人きり夜を渡る   あ

もっとみる
愛していると言ってくれ

愛していると言ってくれ

帰りたくない  帰れない

さみしくても 悲しくてもそれを話してはいけないんだ          つらくて血を流しても知られてしまってはいけないんだ

帰りたくない  帰るおうちがない

どうして 女に生まれたんだろう

夜の帷の中  眠らない街
働いている人々の姿の美しさと笑顔に情けない自分を比較する

あなたは言った
   
   貴女は貴女らしくしていていいんだ   

だけど   違った

もっとみる