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ココロの眼‐はじめに

ワタシが二十歳の時、今から二十九年前。
 自分はいったい何がしたいのだろうか?
 よくある使い古された自問を投げかけてみても、明快な自答なんかが出てくるわけもない生活を送っていた時です。
 明快なんかじゃありませんでした。
 ふんわりと、ぽんやりとです。
 ワタシの頭の中に映し出されたのは白衣を着ている自分でした。

 そこから数年間、
 想像通りの白衣を着て、お客様の習慣によって硬くなったり、バランスが悪くなってたりしている筋肉をワタシの自分の手指を使って刺激して、他愛もなければ見識もない会話を付け足したりしながら、数十分で数千円の料金をいただくということと、お客様からの「気持ち良かったよ。」の言葉をいただくことが、長時間だったり休みを削ってのシフトでも、なんとかしがみついてこれた原動力でした。

 その後、その会社の成長という変化に伴って白衣は脱ぎました。
 代わりにスーツを着るようになりました。
 スーツより白衣が似合ってる気はしました。
 そして、なんでもやりました。
 やりたくないこともやりました。

 いつしか、その会社の社長という役割もやりました。
 そういう業界の社長さんたちが集まる協会の理事という役割もさせてもらいました。
 すべては縁という以外にありません。
 縁という運はワタシに役割を与え、それに従っているうちに縁はさらに広がっていきました。

 着ているものも、
 役割も、
 周りの仲間も、
 年齢と共に髪の毛の量も、、
 いろいろ変わりました。
 そして、これからも
 どんどん変わるでしょう。

 でも、
 すべては縁からだったな。
 縁が運を呼んでくれたよな。
 縁とか運ってセンチとかグラムとかじゃ測れないもんな。
 だからこそ、
 そういう目に見えないものって、
 大事なんだろうな。

 いろいろは変わるけど、
 それってのは変わらなくて、
 変えてはならないんじゃないか。
 そんなふうに思うようになりました。

 ワタシが何かの縁でこの世に生に生まれて、何かの縁で携わった四十九年分の二十九年。
 そこで起きた奇跡の事実は、この物語を書かせる縁をワタシに与えてくれました。

 ご縁のあった総ての方々がステキな運に包まれますように。
 ココロより感謝の気持ちを込めて。

ワタナベ シンイチ

【目次】
はじめに
第一章 母
第二章 父
第三章 上司
第四章 セラピスト
第五章 伊藤さん
第六章 息子
おわりに 

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