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現在、ボランティアで猫の給食おばさん兼パートタイムでお掃除をやっています。過去にWeb…

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現在、ボランティアで猫の給食おばさん兼パートタイムでお掃除をやっています。過去にWeb ニュースメディア在籍15年、雑誌10年以上の経験。趣味は西洋思想史です。

最近の記事

The Life of Kitten Bucho – 3 Kitten Food

The last time a kitten came to my house was eleven years ago, when my husband rescued Shimao from a bicycle parking lot. Shimao was a weaned kitten, over a month old. Also, at that time we had a large family of two female cats and three mal

    • The Life of Kitten Bucho - 2 Comfortable Cage Life

      For about two weeks after I rescued Bucho, he lived in the carrier bag of our senior cat, Shimao. Shimao is a big cat, weighing 7 kg, so he needs a large carrier bag which size is for a medium-sized dog. It has enough space for a kitten lif

      • The Life of Kitten Bucho- 1 Fight Steps

        Bucho also learned the “Fight steps,'' which seems to be popular among kittens these days. A few days ago, he started doing this to us humans. Around the end of May, Bucho was standing under a speckled sakaki hedge at the corner of the pro

        • 【小説】雄猫ぶーちょの生活 9 手紙

          ぶーちょが手紙を書いている。一度も爪切りをさせてくれない、鋭いナイフのような爪で紙をひっかき、書いている。 「拝啓、目白やヒヨドリ、シジュウカラ、その他小鳥の皆様 春になってたった数回、あなた方をお見掛けしただけですが、最近はいかがお過ごしですか。 もうすぐ山桜桃梅(ゆすらうめ)の実がなります。 梅の実には数に限りがありますので、早く来ないとなくなります。 楽しい梅まつりの後は、私、福千代(ぶーちょの正式名)が歌を歌います。 ぜひ、一度お越しください。 福千代拝」 朝起

        The Life of Kitten Bucho – 3 Kitten Food

          【小説】雄猫ぶーちょの生活8 アクリル嫌い

          ぶーちょは我が家にきてしばらくの間、あまりに小さかったので、先住猫の縞尾のキャリーバッグで生活していた。だが、すぐに外に出たがったので、大き目のケージを購入した。 縞尾のキャリーバッグの敷物は確かアクリル製だった。寒いだろうと、アクリル製のブランケットも敷いていた。ケージに引っ越しして、アクリル製の敷物を敷くと、異常に嫌がった。タオル地の布やコットンのカバーのついたクッションはいいが、いかにも暖かそうなアクリル製のクッションや猫用ベッドを使わない。 縞尾のキャリーバッグで

          【小説】雄猫ぶーちょの生活8 アクリル嫌い

          【小説】雄猫ぶーちょの生活7 バスタブで泳ぐ

          ぶーちょは、水が大好きである。お湯も冷たい水も、流れるのを見たり、手でかき回したりするのが好きである。飼い主の入浴に同行し、浴室で遊ぶのは、一日の一大イベントだ。 ある日、ぶーちょはいつものように、飼い主のお風呂についてやってきた。そして、閉められたバスタブのふたの上に悠然と座り、入浴が始まるのを待っていた。飼い主はぶーちょのために半分だけバスタブのふたを閉めたままにして、そこで見学できるようにしようと、ぶーちょを奥のほうに移動させようとした。 だが、ぶーちょはなぜか場所

          【小説】雄猫ぶーちょの生活7 バスタブで泳ぐ

          【小説】雄猫ぶーちょの生活6 自由の定義

          ぶーちょは、動物病院に行くのも去勢手術にも抵抗しなかった。おとなしく健康診断を受け、血液検査のため、小さな腕から血液も採らせた。 どうしてだろうか。 ぶーちょは、飼い主たちの会話、獣医との会話をすべて理解したのだろうか。 ぶーちょは外に出たがる。出たがるが、飼い主のすきを見て、無理やり外に飛び出すことはしない。 ぶーちょは、飼い主たちのほうから、外に出ていいよ、と言うのを待っているのだろうか。 また、ぶーちょは、夜、男の飼い主の部屋に追いやられるのが気に入らない。お

          【小説】雄猫ぶーちょの生活6 自由の定義

          【小説】雄猫ぶーちょの生活5 カラーよさらば

          二月に入った。もうすぐ十日立つ、カラーが外せる。ぶーちょと飼い主は指折り数えて待った。 待ちに待った十日目の朝、ぶーちょはまた乳母車に乗って動物病院に行った。 診察台に乗ったぶーちょを飼い主は窓越しに見ていた。チェックが終わった。ところが獣医はカラーを外さない。 え、どうして? ぶーちょと飼い主は顔を見合わせた。 ぶーちょを飼い主のもとに連れてきた獣医は、「ちょっとおなかに傷があるので、明日の朝までネッカーを付けておいてください」と言った。獣医は、ぶーちょが必要以上に

          【小説】雄猫ぶーちょの生活5 カラーよさらば

          【小説】雄猫ぶーちょの生活4 カラーとの闘い

          家に着くと、玄関のたたきに止めた乳母車から、まず、ぶーちょの入ったキャリーバッグを取り出した。そして、洗濯ネットにくるまれたぶーちょをキャリーバッグから出した。過剰包装のお菓子のようだ。 この時、ぶーちょを心配して、先住猫の縞尾も玄関に出てきた。大きなエリザベスカラーを付けたぶーちょを洗濯ネットから出すと、その異様な姿に縞尾は逃げ出した。 ぶーちょは黙ったまま、よたよたと歩いていく。邪魔なカラーが柱にぶつかり、ドアにぶつかりして、うまく歩けない。 こんな状況でぶーちょは

          【小説】雄猫ぶーちょの生活4 カラーとの闘い

          【小説】雄猫ぶーちょの生活3 ぶーちょの退院

          手術当日の朝、男の飼い主に動猫用乳母車に乗って物病院に連れて行かれたぶーちょを、女の飼い主は夕方、凍えるように冷たい風の吹く中、迎えに行った。 動物病院の診察台の上で、大きなエリザベスカラーを付けたぶーちょは、神妙な顔でおとなしく最後のチェックを受けていた。獣医はまた最後に、「福千代ちゃんはとてもいい子でしたよ」と言った。そして「傷をなめないようにネッカー(これが正式名称で、エリザベスカラーは製品名だそうだ)をつけましたが、十日後に外しますので、また来てください」と付け加え

          【小説】雄猫ぶーちょの生活3 ぶーちょの退院

          【小説】雄猫ぶーちょの生活2 猫をかぶる猫

          獣医と何回もメールをやり取りした後、健康診断のためと手術本番のため各一回、合計二回ぶーちょは動物病院に通うことになった。だが、手術の詳細な説明を受けるため、飼い主だけはもう一回動物病院にいかなければならなかった。 一月の半ばから末といえば、寒風の吹きすさぶ寒い日が続いていた。ぶーちょは朝、健康診断の時は普通にキャリーバッグに入って動物病院に行った。だが、連れて行った男の飼い主によると、あまりの重さに耐えきれなくなったそうである。外見のかわいらしさとは関係なく、ぶーちょはその

          【小説】雄猫ぶーちょの生活2 猫をかぶる猫

          【小説】雄猫ぶーちょの生活1 発情期

          十二月の末、ついにぶーちょは発情期を迎えた。 猛烈な勢いで走り回り、噛みかつく、ひっかくの暴力をふるうのはいつものことだが、それから、カーテンにスプレーしたのだ。飼い主の顔をうかがうように振り返った後、盛大にやった。それから、女の飼い主のモニターにもやってしまった。カーテンはそのたびに洗濯できたが、パソコンのモニターは洗えない。電源ボタンが壊れてしまったのでそのまま使い続けたが、一月後に真っ暗になり、永久に壊れてしまった。 それから、下痢も続き、ご飯を吐き戻した。最初は病

          【小説】雄猫ぶーちょの生活1 発情期

          【小説】ディアサーチエンジン8 自分で考えて生きる

           電話がなっている。夢の中にいた夏実はなぜか「紀美子からだ」と思い、跳び起きた。心臓が激しく打っている。携帯電話を探そうとしてベッドから降りる時、ラグの端につまづいて転びそうになった。それは机の上にあった。だが、小さな液晶画面は真っ暗だ。表示すると、時刻が出た。朝の六時だった。着信はない。ベッドに戻り、最近いつもこの時間に目が覚める、とくしゃくしゃになった毛布の上に座りこんでぼんやり考えた。なぜこの時間なのだろう、この不安な気持ちはどこから来るのだろう。  「少し体を動かし

          【小説】ディアサーチエンジン8 自分で考えて生きる

          【小説】ディア サーチエンジン 7 吐き気と涙と亘

          その後、何日間かは平穏に過ぎた。夏実は、若い女性向けのファッション通販サイトを扱う記事にとりかかっていた。ビデオ通話で、仕事先の担当者と打ち合わせをした時、池袋にはその実店舗もあるから行ってみたらいい、と言われたので、取材に行ってみた。 サイトの決め文句によると、「オンライン販売以外に全国に実店舗も展開している信頼と実績のある」そのファッション企業は、巨大なガラス張りのビルの大半を占めていた。 広報の担当者は、独楽鼠のようにくるくるよく動く目をした二十台前半の若い女性で、

          【小説】ディア サーチエンジン 7 吐き気と涙と亘

          【小説】ディア サーチエンジン 6 銀座のカトリーヌ・ドヌーブ

          翌朝、夏実は寝坊した。何を着ていくのかまでは考えていなかったので、ばたばたと小さいクローゼットをあさり、手近にあった袖なしのからし色のトックリのセーターに、同色のコットンのパンツをはいて、黒いジャケットをはおり、玄関でローヒールの薄茶の靴を履いていると、彬子が出てきて、「まあ、『昼顔』のカトリーヌ・ドヌーブね」と笑った。「お母さん、そんな古い映画、誰も知らないわよ」と夏実はマスクを着け、ドアを開けて駆けだした。 久々の銀座で夏実は迷ってしまった。コロナウイルスの蔓延で二年以

          【小説】ディア サーチエンジン 6 銀座のカトリーヌ・ドヌーブ

          【小説】ディア サーチエンジン 5 チャーリー・ブラウン登場

           二週間もたつのに、婚活サイトの夏実のプロフィールには、「いいね」が一つついたきりだ。つけた男性のプロフィールを覗いてみると、五十何歳だという男の、整髪料で髪をぴったり頭に張り付けた丸っこい半身の写真があり、経歴欄からは高学歴、高収入を自慢する臭いがぷんぷんした。「母親との同居を望みます。前妻との間に娘が一人います」というコメントがあった。驚いたことにその男のプロフィールには「いいね」が十ほどついていた。  「やっぱし男は稼ぎがいいのが人気で、女は若さかねえ。三十過ぎだと人

          【小説】ディア サーチエンジン 5 チャーリー・ブラウン登場