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「アンネのバラの教会」に行った話

兵庫県・甲陽園に
アンネ・フランクの父、オットー・フランク氏から贈られたバラの咲く教会があります。

小さくて可愛らしいバラ園です。
狭いのでカバンや服を引っ掛けないように注意。
オットー・フランク氏が出版した『アンネの日記』に感銘を受けた園芸家デルフォルヘ氏が、自分の持つもっとも美しい新種のバラを贈り、「アンネの形見」と名付けたそう。アンネ自身もバラが好きだったそうです。

「アンネの形見(Souvenir d'Anne Frank)」と呼ばれる四季咲きのバラ。
蕾のときは赤、開花したら黄・オレンジ、やがてサーモンピンクになり、最後はまた赤色に…と変色していくおもしろい花。
アンネの多彩な才能や感受性の豊かさをイメージさせます。

小さな庭で本当に多彩。晴れていたのでとても輝かしい色彩で見れました。

アンネのバラの育て方 のページによると
開花シーズンは5月(花が大ぶり)と10〜11月(小ぶりだけど長く楽しめる)頃らしい。
2024年は5月1日〜4日のゴールデンウィーク期間に
アンネのバラ開花展示会」があり、
普段は予約制の「資料館」を見学できるようになっていました。

この時期は礼拝堂が展示室になっており、
写真や文章だけでなく、実際にアンネが使っていたスプーンなどの形見や、たまたま彼女が映り込んでいた動画も見ることができました。
隠れ家の模型があったり、部屋の狭さ当時のアンネの身長(私と同じ148cm)を体感できる工夫がされていました。
独特な形の礼拝堂は、アンネたちが過ごしたアムステルダムの隠れ家の屋根裏を表しているそうです。

押し花にした花びらと、ドライフラワー。
朽ちると濃い赤になるのか…と思っていたら、最終的に紫色っぽくなりました。
ステンドグラスのバラを彷彿とさせる…?

ロクレールのステンドグラス(作・三浦啓子)

「悲しみのアンネ」 このステンドグラスにはユダヤ人の差別のマークに用いられた「ダビデの星」の中にアンネのバラが描かれています。実際の花は朱色をおぼた濃いクリーム色ですが、ステンドグラスはアンネをイメージして薄い紫です。紫は高貴な人の衣装の色...

Posted by アンネのバラの教会 on Tuesday, June 17, 2014

ロクレールとは、三浦先生が開発・確立した「ロック(岩)」と「クリア(輝いた)」を組み合わせた造語で、「輝く光の岩」を意味しています。

株式会社Jiku Art Creation

ステンドグラスも印象的でした。斜めから見るとすごく立体的。
分厚いガラスの塊をハンマーで叩きまくってできた、波紋のような質感。
すごくゴツゴツしていて、近くで見るとただ美しいだけでない迫力があります。

パッと目に入って「雨か涙を表現しているのかな」と思ったステンドグラス「ホロコーストと泣き壁」。エルサレムの「嘆きの壁」から来ているそう。
触ってみると、ハンマーを振り下ろす鬼気迫る姿を幻視してしまいました。
「ホロコースト」はナチスからユダヤ人への迫害・虐殺のことですが、展示では「ギリシャ語で"全てを焼き尽くす"という意味」だとも説明されていました。そもそもは古代ユダヤ教で神へ捧げる「丸焼きの供物」「犠牲」のことだと今回知って、ユダヤ教(ユダヤ人)にとって重要な宗教用語がユダヤ人虐殺の代名詞のように使われているのはひどい侮辱だな…と思いました。
ナチスがユダヤ人を識別するために強制した胸章「ダビデの星」も、そもそもはユダヤ人にとって大切なシンボルなのに。
ナチスの迫害の内容を知ると、「人の尊厳を踏み躙る」「相手を同じ人間とは思わせないようにする」ものすごく効果的な方法を取り続けているなぁと…
そして、権力者に差別・迫害を許すと、その対象範囲がどんどん広がっていくよなぁとあらためて思いました。

2階の資料室から見下ろしたバラ園。
小さな部屋なので、なんだか自分も隠れ家から外を眺めているような心地になりました。
(資料室は撮影NGですがこれは許可をいただいて撮りました)


バラを一輪いただきました。サーモンピンクの花盛りで、花びらの先が少し朽ち始めている。
けれど房咲きなので、周りに赤い蕾がみっつ。
私に園芸の才能があれば、接木して増やすこともできたかもしれませんが。


そしてこちらが5/6からアマプラで見放題開始だそうです
 ↓

アンネ・フランクと旅する日記

すごくいいアニメーションなので吹き替え版も作って欲しい〜
テーマ性はもちろん、純粋にアニメーションのクオリティがめちゃくちゃ高い!!

この映画がきっかけで「アンネのバラの教会」を知って、いつか行きたいと思っていたのでした。2年越しに叶った。


私が訪れたタイミングでたまたま小さいお子さん連れがいらっしゃり、とてもわかりやすいガイドがされていました。これ幸いと便乗して聞かせてもらったり。
(もちろん大人からの質問にも丁寧に答えていただけました)
アンネの漫画をぎゅっと抱えて訪れる子もけっこういらっしゃるそうで。

↑角川まんが版には表紙に「アンネのバラ」が描かれています。
こういうアンネの漫画の監修はだいたいこちらの教会にゆかりのある方がやっていらっしゃるそうです。
(私が昔に読んだのは小学館で1996年に刊行されたものでした。たぶんそこにもバラの教会のことが載っていたのでしょうが、幼すぎて覚えていなかった…)

4分で振り返るアンネ・フランク(日本語字幕付き)

アンネ関連の書籍(杉原千畝も…)がいろいろとありましたが、
その中で私の目を引いたのはアンネの書いた童話『子ぐまブラリーのぼうけん』

おもしろかったです。
日記もおもしろいんですが、アンネ、まじでめちゃくちゃ文才があります。
映画『アンネ・フランクと旅する日記』の部屋にもテディベアがいるけど、私物のぬいぐるみがモデルだったりするのかな。

検索してたらこんな絵本も。
アンネの父オットー氏と同じ名前のテディベア…


アンネの隠れ家

広島のホロコースト記念館にも「アンネのバラ園」があり、再現された「アンネの部屋」や日記のレプリカもあるらしい。

↓3DCG再現された隠れ家に入れる

↑現代の技術すごい。
カモフラージュの本棚を動かして、隠れ家に入ります。
英語だけど、現地で見学となると人がいっぱいでじっくり見れないだろうし、案外CGのほうがわかりやすいかもしれない。
しかし10代前半の女の子が親戚ですらないおじさんとこんな狭い部屋でこんなぎゅうぎゅうにベッド近づけて眠るの嫌すぎるよな…
実際の家はオランダのアムステルダムに今でも保存されています。


まずは知ることから。




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