もがきながらもすがりつくもの。
常に迷い、もがきながら生きている。
SNSに蔓延る有象無象は、綺麗なモノばかりで、完成されたものばかりで。
中途半端が許されないような世界で、わたしの存在価値はなんだと問うことが多くなった。
普通の人のように働くことが難しかった。
ライターとして仕事を増やして伸ばしていくことができなかった。
動画編集では食べていけなかった。
丁寧な暮らしがしたい、痛みから解放されたい、綺麗な身体になりたい……すべてが叶うことがなく、どん底から光を見上げることしかできない。
続けたかった仕事があった。続けられなかった。
夢に近づきたかった。近づけなかった。
つまづきすぎて擦り切れた足では、もう歩くことができない。
もぎ取られた翼では、もう羽ばたくことができない。
でも、なんとか縋り付くことができているものがある。
それはあの時、わたしが"ライターになる"という選択をしたから。
ちょっと書くことが得意なだけのわたしが、正社員という安定した土台から飛び降り、不安定なフリーランスを選んだ理由。
楽しかったから。あの仕事が。
今でも何度でもあの頃に戻れたら、あの仕事を続けられたら、と考える。
一番輝いていた。一番夢を持っていた。一番やりがいがあった。
これがわたしのやりたかったこと。死ぬまでこの仕事を続けていたかった。
でも、それは叶わなかった。
もがいて、あがいて。縋り付いた藁もあっけなく朽ち果てて。
残ったものは、人よりも文字を綴るのが好きだということだった。
それを仕事にするのは、とても難解で、時間を要することだった。
安全と言われた正社員という名の不安定な船に乗る。沈みかけた船に足をかけて、海に飲み込まれかけて、ずっとそれを繰り返して。
安定を望んでいたけれど、わたしには不安定な船がお似合いだったようで。
それならいっそ、自由に泳げる方へ。
彼が背中を押してくれたのもあり、楽しかった、夢であったライターになった。
イバラの道を進んだのは自己責任。そんなことはわかっていても、うまくいかない日々に焦り、何度も沈み、溺死しそうになった。
そんなある日、空から垂れてきた蜘蛛の糸を掴んでみた。
大好きなゲームに近いところでできる仕事。第二の夢に触れそうで、でも結局触れられなくて。
手繰り寄せたはずが遠ざかってしまった夢。心残りだったけれど、疲弊しか残らない場所にいる意味がなくて、また1人で漕ぎ出すケツイをした。
今のわたしは昔と違ったから、自ら抜け出してしまった夢をそっと残しておいていた。
また旅した先がなくなった時に、自分が困らないように残しておいた居場所。
戻った時、やはり自分には物書きが向いていると思った。
一番気を遣わないし、期待もしないし、良くも悪くも機械的に無心でできる仕事。
わたしを信じて仕事をくれる人がいるところ。
大好きな人が背中を押してくれた仕事。
そして、わたしの得意を活かせて、胸を張って、自信をもってできる仕事。
それが、ライターだった。
あの時、あの選択……自由に泳ぐという選択をしたから、わたしはライターになれたのだ。
どんなに転んでも、わたしはライターに戻ってきた。
戻るべきところに、戻ってきたのだった。
今だって指はもつれるし、うまく言葉を奏でられない。
でも、それでも、つたない言葉でも聞いてくれるだれかがいるのであれば。
わたしはまだ、あがいて、書いていたい。
夢を、見ていたいんだ。
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