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わらびの個性

タラの芽の旬が終盤を迎えている。今出ているのは2番芽以降か、取り忘れて伸びすぎた1番芽だ。よほど標高が高くて気温が低いところでなければ食べ頃のタラの芽は残っていない。

今の旬は山うど、こごみ、わらびだろう。
5月に入って何回か、わらびを採りに行っているが、その中で気づいたことがある。

わらびの成長はとても早いので、群生しているところでは毎日行っても採りきれない。今の時期はまだ出始めなので、伸びきって葉が開いてしまっているものは少ない。ちょうどよい頃合いのものがたくさん採れるのだ。

しかし、何カ所で採っているうちに、わらびの茎の太さに大きな差があることに気づいた。根本に近いところで直径1cm近いもあるものはかなり太い部類に入るが、もちろんそんなものは滅多に出くわさない。ほとんどが5mm前後だ。

このわらびの太さは一体どこで変わるのだろうか。

要因はいくつかあると思うが一番は土壌だろう。生育の適地は、日当たりがよく、排水性に優れた肥沃な酸性土壌(pH5.0~5.5)とネットにある。だいだい、下に枯草などがある日当たりのよい斜面に自生していることが多い。

長い根茎が分岐しながら地下を横に這い、所々で新芽を出して葉が開き、成長すると0.5 - 1メートル (m) くらいの背丈になる。葉は冬には枯れ、根茎が残って春の芽生えに備える。新芽は先が握りこぶしのように曲がった形で出て、褐色を帯びた細かい毛で覆われ、やがてほどけるように葉が開いて羽状複葉になる。葉は3回羽状複葉で深く裂け、葉身は三角状に広がり、大きなものでは長さ1 mほどになる。小葉にはつやがなく、全体に黄緑色で、やや厚い革質で硬い。裂片は先が丸い長楕円形になる。葉は生長すると、裏に胞子をつける。
(以上、Wikipediaより)

わらびはその茎の色によって青わらび、赤わらび、紫わらび、黒わらびなどはあるらしいが、それらの種類ごとにそんな顕著は太さの違いは見受けられない。

今回採っていて感じたのは、わらびも人間のように、個々の親の遺伝子を引き継ぐのではないかということだ。太いわらびが生えている場所は、同じ太さのわらびが群生していることが多い。一点は同じ地下茎から生えているということ、もう一点は同じ親から生まれているものであるからではないか。

今日行ったところのわらびは、大きさはほどよいのだが、ポキッと折ってしまうには申し訳ないほど細いものが多かった。少し太いなと思うものはだいたい同じ場所に固まっていて、同じ親の遺伝子をもらっているか、同じ地下茎から伸びているものなのだろう。もちろん、その場所自体があまり肥沃な土壌でないということもあるとは思う。

専門家ではないのであくまで想像でしかないが、わらびにも個性があるということなのだろう。これからは「こんな細いわらび」と言われたら、わらびもわらびなりに一所懸命生きているんだよ、と言ってあげよう。

山の恵みであるわらびの命をいただき、私も今日を生かしてもらっているのだ。



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