見出し画像

飲み会

むかしむかし、まだ仕事していた頃のある冬の日だった。

「今日、仕事終わり飲み会あるからよろしくね」

同僚の子から言われた。何がよろしくなのか。
昔からわたしは、会社の飲み会が嫌い。
お酒は好きだけど、会社の飲み会が大嫌い。
男性には申し訳ないが、お酒を飲んで解決する悩みなんてないし。
年寄りの自慢話も聞きたくないし。
毎回、しょうがなく行っていた。今回もそうだった。

仕事が終わり、同僚の子たちと場所に向かっているがいつも店じゃない。
会社の飲み会は、飲み放題がある焼き鳥屋と決まっているが
ワインの樽が天井まであるおしゃれなお店だった。
違和感を感じつつ、奥に進むと同僚が4人の男性が座るテーブルに向かっている。

「お待たせしてすみませんでした」
「全然、ぼくたちも今来たところだよ」

これがお前のやり方か…仕組まれた。
一応、会社の人たちだけど合コンじゃないか。
しかもモテないわたしを誘うあたり、同僚の子はかなりの策士で本気と見た。
わたしは、長年の経験を踏まえて「添え物理論」と呼んでいる。
可愛い子がブスな友達を連れて街を歩いているなどなど
自分を引き立たせるために友達を添え物として利用していることを言う。
圧倒的な顔面の力量の差がある双子コーデなんて1番タチが悪い。
競馬で言うとこの斤量差を設けるべきである。
キレイな人やモデルには、100kgぐらいの超トップハンデを背負わせるべきだ。
というわたしの僻みは置いといてはじめましての人もいるので自己紹介が始まった。

A「はじめまして!今日はよろしく!」
A・・・営業部に所属するAは、成績が良く昇進間近らしい。
    良血のノーザンファーム生産の将来期待されている馬かな。
    

B「はじめまして!よろしくお願いします」
B・・・企画部での実績が評価され、営業部に移動し結果を出している人らしい。
     芝もダートも走ったクリンチャーみたいな感じかな。

C「はじめまして!」
C・・・なんかスポーツをやっていたらしく180cmですごいでかい。
    大型馬。キタサンブラックや園田のグラシーナかな。

D「はじめましてー!今日は彼女探しに来ましたよー!」
D・・・チャカついてる。折り合い面に不安あり。営業部所属、あとは情報なし。

細江純子「注目はAとBですね。芦毛の2頭は、馬体にもはりがあって前走の疲れも見えません」
みんなのkeibaならこんな感じなんだろうなー。情報は同僚の子から。
おしゃれ細グラスに入ったビールを飲み、味わからないサラダを食べて
皿の中心からちょいずらしで焼いた肉を盛り、
酸っぱいソースを肉というより皿にピュッピュッとかけた料理を食べた。

ジョッキで出せ!黒霧のロックはないのか!もつ煮はどこだ!!
わたしは飽きていた。不毛な会話を2時間我慢し、店を出た。
みんなは別の店に行くらしい、わたしが帰ろうとするとCに声をかけられる。

「もう帰っちゃうの?」
「はい・・・」
「明日休みだけどよかったら会わない?」
「ごめんなさい。明日大事な用事があるので…」

わたしは、逃げるように帰った。
明日は、有馬記念だった。どうしてもWINSで紙馬券で買いたかった。
わたしは、リスグラシュー本命で単勝に5万賭けて30万くらい買った。
そのかわりにもう会社で飲み会に誘われることはなかったし、
それ以降、男性から誘われることもなかった。

トータル勝ったってことでいいですよね・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?