【連載小説⑬‐1】 春に成る/ミルク
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ミルク(1)
敬から、流果と私に病院へ来るようにと連絡が入った。ちょうどお店の定休日で、連絡をもらってすぐに、マスターの病室へ向かった。
しばらく会っていない間に、更に痩せたマスターが微笑んでくれた姿を見ただけで、涙が溢れてしまいそうになった。敬も流果も私も、終始、平静を装う為に強く握った拳を緩められずにいた。
そろそろ退出しなければならなくなった時に、マスターが私に向かって両手を拡げた。導かれるように、マスターの背中に手を当て