壱橋零菜

*連載小説「春に成る」、毎週土曜日更新予定* 物語、詩などの創作を掲載したり、ハーバリ…

壱橋零菜

*連載小説「春に成る」、毎週土曜日更新予定* 物語、詩などの創作を掲載したり、ハーバリウムやアート作品などのハンドメイド商品を展示・販売をしています。 つくり出すものは、周りの方々から教えていただいたこと、支えてもらった言葉、感謝の気持ちなどを含めて表現しています。

マガジン

  • 【小説】春に成る

    * 毎週土曜更新予定 * 絵・詩で表現した物語の小説版です。どれかだけでも、全部繋げて見ていただいても構いませんので、楽しんでいただけたら幸いです。

  • 作品展示

    ハーバリウムやアート作品など、つくったものを掲載していきます。【作品販売】と記載しているものは、販売中のものになります。(申し訳ありませんが、購入のタイミングによって、販売が終了してしまっている場合もあります)

  • ***precious to me***

    かけがえのない経験・体験、大切な繋がりなど、私にとっての宝物置き場です。

  • 絵で読む物語

    絵と詩で物語を表現しています。 そこからイメージした見てくださった貴方だけの物語。 文章での物語も別で掲載していきますが、それぞれ楽しんでいただけたら幸いです。

  • 【ご案内】

    ようこそ、お立ち寄りくださいました! こちらのnoteの説明などをさせていただきます。

最近の記事

【連載小説⑬‐1】 春に成る/ミルク

※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ ミルク(1) 敬から、流果と私に病院へ来るようにと連絡が入った。ちょうどお店の定休日で、連絡をもらってすぐに、マスターの病室へ向かった。 しばらく会っていない間に、更に痩せたマスターが微笑んでくれた姿を見ただけで、涙が溢れてしまいそうになった。敬も流果も私も、終始、平静を装う為に強く握った拳を緩められずにいた。 そろそろ退出しなければならなくなった時に、マスターが私に向かって両手を拡げた。導かれるように、マスターの背中に手を当て

    • 【作品販売・詩】 『まちまちハート』

      花びらがヒラヒラと 時間の経過を知らせ どんどん素直になれなくなっていく 綺麗な形で、つるんとしたまま届けられていたのに 花びらがハラハラと 溢れてく気持ちみたいに だんだん良いんだって思えてくる 同じじゃなくても、今のありのまま届けよう、届けたい *************** あっという間に6月ですね。 ギリギリになってしまいますが、父の日にも贈れるギフトです。 感謝を届けるギフトなので、男女問わず大切な方へ贈っていただけるものをつくりました。大小2つあり、

      • 【小説】 雨に成る

        春は嫌い 仄かな桜色の日常が散ったから 僕とそっくりな男が帰って来なくなって 家の中がジメジメしていった あの人の中で僕は消えて 帰ってこないアイツになる 青と赤の悲鳴と痕が咲いて もう一人のボクが生まれた 明るいうちは僕 暗くなったらボク 半分ずつ耐えてきたのに 外に出された僕らの色は雨に溶けた 突然降り注ぐ光、ポカポカした手 「お父さん」を見る、あなたに 初めて打ち明ける「二人」 あなたは望む「一人」に戻ること 散らした落ち葉と僕らを呼ぶ声 足音と声が途切れ、振り

        • 【連載小説⑫‐2】 春に成る/エスプレッソ・マティーニ

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ エスプレッソ・マティーニ(2) 「え、この後ですか?」 「はい、三人でマスターの為に、お酒作ったんです。飲んでいただけませんか?」 この時、マスターは、少し痩せて、座っている事が多くなった。長い時間は難しいと思った私達は、バーの開店前の一時間で飲んでもらおうと決めた。 今まで学んできた事、それだけじゃなく、マスターと過ごした時間を思い出しながら、私の気持ちを込めた。 エスプレッソを受け取り、敬がシェイクし始める。初めて見るで

        【連載小説⑬‐1】 春に成る/ミルク

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        • 【小説】春に成る
          36本
        • 作品展示
          8本
        • ***precious to me***
          2本
        • 絵で読む物語
          22本
        • 【ご案内】
          1本

        記事

          【作品展示・詩】リンク

          今回ご紹介させていただくのは、感謝の気持ちを形にして、知り合いの方へプレゼントしたものです。 作品に詩を添えて、ご紹介させていただきます。 お時間ある時に、見ていただけたら幸いです(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) 【リンク】 忘れないでいて アレもコレも必要だってこと 忘れないでいて 全てが繋がってるってこと 忘れないでいて 一番大切なものが何かを ※どんな方へ、どんな思いで贈ったかはコチラ ※見出し画像のフルサイズはコチラ

          【作品展示・詩】リンク

          【連載小説⑫‐1】 春に成る/エスプレッソ・マティーニ

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ 第四章  他 エスプレッソ・マティーニ(1) 「うん、普通かな」 「ふ、普通……」 「そりゃ、いきなりマスターみたいな味にはならないんじゃない?」 翌日、マスターに教えてもらいながら淹れた珈琲を飲んだ流果は、笑いながら素直な感想を言ってくれた。少し項垂れる姿を見て、マスターも微笑む。 少し荒々しくベルが鳴った。鳴らした本人は、言葉を失っている私達を無視して、流果の横にドカっと座った。 「もう、体調大丈夫なの? 相当飲んで

          【連載小説⑫‐1】 春に成る/エスプレッソ・マティーニ

          本日は母の日💐 そして、フォロワーの風の歌のナウシカさんのお誕生日です🎂おめでとうございます✨ 皆さん、良い一日をお過ごしください🍀

          本日は母の日💐 そして、フォロワーの風の歌のナウシカさんのお誕生日です🎂おめでとうございます✨ 皆さん、良い一日をお過ごしください🍀

          【連載小説⑪‐4】 春に成る/サンドイッチ

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ サンドイッチ(4) 床に無造作に散らばっていたものを片付けて、飛び散ったものを拭きながら、流果が戻って来たらなんて言ったら良いのか考えていた。雑巾で撫ぜるけど、残るワイン跡。 『流果、さっきのはね、そういうのじゃないの。ホント、気にしないで!』 そういうのじゃない……って言い切れる? 敬も流果も好きだけど……どういう好きなんだろう。そういうのだとも言い切れない。お酒の香りのせいか、ふわふわと、宙に浮いているみたい。いつか流果が言

          【連載小説⑪‐4】 春に成る/サンドイッチ

          【作品展示】母の日

          5月12日は母の日ということで、母にプレゼントをつくりました。 オイルは入れないので、ハーバリウムではないのですが、ドライフラワーとペイントした竹炭を瓶に入れてます。 表面は、『母』としての感謝を伝える花束のイメージ。 ピンクの花が大小あるので『親子』っぽく。 家族を癒すイメージを大切にしたくて、華々しくなりすぎない花束に。 竹炭は『十二日足』という、朝日をイメージした家紋をベースにしつつ、お花っぽくしてペイント。 これからも、笑顔に照らされ続ける楽しい日々を過ごせる

          【作品展示】母の日

          【連載小説⑪‐3】 春に成る/サンドイッチ

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ サンドイッチ(3) プルと、鳴った辺りで、音が消えた。 「ハル!」 「流果、ごめんね、心配かけて。珈琲、ありがとう」 「ううん、何か……したくて」 「今夜、時間作れる? 流果と敬に話したい事があるんだけど」 「うん、僕は良いけど……敬は、難しいと思う。夜、店にはいるみたいだけど、何回声掛けても反応ないし……」 「敬にも、毎日声掛けてくれてたんだね。本当にありがとう、お店にいるなら、大丈夫。『ベル』で待ち合わせしよう」

          【連載小説⑪‐3】 春に成る/サンドイッチ

          【作品販売・詩】 『くるり』 ハーバリウム(アートコースター付き)

          『くるり』繋いでいく、空と大地のハーバリウムを販売しています。 作品についてのイメージ、説明をさせていただきます。 ※簡単な説明で大丈夫な方はコチラ くるり、世界が変わった ボロボロと流れる グッと噛みしめる ピリピリと走る ぐらぐらと揺れる ポツンと佇む 白く、空虚に染まる くるり、空に伸ばす手 渦巻き、治まらない熱 思い出す、遠い日々 くるり、風の行先 彼方に、きっと貴方がいる 離れても、響き合う くるり、繋がっていく スルスルと流れる

          【作品販売・詩】 『くるり』 ハーバリウム(アートコースター付き)

          【連載小説⑪‐2】 春に成る/サンドイッチ

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ サンドイッチ(2) 「姉ちゃん、今日も休んだの?」 「そうなの、ご飯もほとんど食べないし。ほんと、どうしちゃったのかしら。那津、アンタ何か知ってる?」 「いや……」 あれから、どのくらい時間が経ったのか、そんなことはどうでも良かった。どうしてマスターが? 代われるものなら代わりたい。マスターがいなくなる? 嫌、嫌、嫌、そんなの無理。いなくなってしまうなら、もう私は踏ん張れない。私も消えてなくなりたい。 浮かぶのは、悲しそうな

          【連載小説⑪‐2】 春に成る/サンドイッチ

          【連載小説⑪‐1】 春に成る/サンドイッチ

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ サンドイッチ(1) 「なんかね、今日、敬が変なんだよね」 こっそり話し掛けると流果も小声で返す。 「変? 何かあった?」 「何してても上の空っていうか……さり気なく聞いてみたんだけど、話してもらえなかったんだよね。だから、流果になら話してくれるかなって」 「うーん、分からないけど、僕からも聞いてみるね」 店内には、まだお客さんは流果だけ。空気を変えるように、パチンと手を叩いた。 「敬、流果、前に言ってた軽食の試作品、作っ

          【連載小説⑪‐1】 春に成る/サンドイッチ

          【作品展示・詩】 優しい夜

          今回ご紹介させていただくのも、前回のように感謝の気持ちを形にして、知り合いの方へプレゼントしたものです。 作品に詩を添えて、ご紹介させていただきます。 お時間ある時に、見ていただけたら幸いです(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) 【優しい夜】 夜が来る 疲れた、寂しい、怖い 後ろ向きに進む 夜が来た 温か、穏やか、緩む 見上げて立ち止まる 朝が来る 眠たい、始まる、待って くるまって、抵抗 朝が来た 新たに、始まる、今日 止まれたから、前へ 始まる前の不安に寄り添う 始まってから

          【作品展示・詩】 優しい夜

          【連載小説⑩‐4】 春に成る/ビーフシチュー

          ※先に絵と詩をご覧いただく場合はコチラ ビーフシチュー(4) いつもは、様子を窺っている音楽が、今日は主役であるかのように流れていた。隣でずっと黙ったままの流果を、気にしながらも、結局何もできなかった私が、なんて言って良いか分からず、むしろ女の私が入って来て嫌だったかもと思いながら、この状況でさっきの質問をする勇気もなく、敬が手当てしてくれた手の包帯を見つめていた。 「何もできねぇくせに間に入るな! ああいう時は人を呼べ!」 怒りながら、手当てする手は優しい。この言葉

          【連載小説⑩‐4】 春に成る/ビーフシチュー

          【作品展示・詩】試練

          以前、ハーバリウムを販売させて頂き、素敵な繋がりから、たくさん学ばせていただきました。 今も販売準備中ですが、今回ご紹介させていただくのは、感謝の気持ちを形にして、知り合いの方へプレゼントしたものです。 作品に詩を添えて、ご紹介させていただきます。今後も販売したものも、贈ったものも、noteに残していこうと思います。 お時間ある時に、見ていただけたら幸いです(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) 【試練】 それは必然 重なった時、聞いた音、見えたもの そんな偶然 重なった時、思い

          【作品展示・詩】試練