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AIとDXの関係

DX (Digital Transformation)、日本では2018年にDXレポートが登場して一気に業界へ浸透しました。そして2022年末にChatGPT3が登場して以来、DXへの関心からAIへの関心へ世の中が映る中、あえてDXに関心を持たないといけないですよ。という話を今回はします。

生成AIは万能?

 多くの人の捉え方としては、賢者的な立ち位置にまできたAI、そんな図式が成り立ちそうですが、一方、なんでもできるは、何もできない。という言葉があるように汎用的なものは使い方が見出せなければ何もできないと一緒。という話もあります。

 現状のAIはまさにそんなものに見えます。

 実際、AIについての講演依頼が去年から増加しており、「そもそも今のAIってどういうものなの?」という基礎的なお話からしています。
 メディアでの取り上げられ方も「仕事が全てAIに置き換わる」なんてキャッチーなものも多く、うちの現場にポンっと入れれば、劇的に変わるものなのか?という期待をされているようにも思えます。

 しかし、現状のAIについては、ポンと入れで何かが変わるものではありません。

 このAIの流れと同じものがしばらく前にありました。それが「DX」です。

DXを入れたら効率化や経営改善が進む?

 「うちの会社、どんなDXを入れたら良くなるのか教えてください」

 そんな質問を良く受けていた2019年当初、現状のAIでも同じような質問が多くあります。DXもそうですが、ポンっと入れて何かが変わるようなものが存在するのであれば、一気に世界が変わっています。でも、登場から6年経過してもDXによって日本企業が劇的に変化している訳ではありません。同様にAIも1年経過しましたが劇的に日本企業が変化した訳ではありません。

 「なら、AIもDXもやらなくて良いのか?」

 そういう短絡的なお話ではありません。

 DXもAIも企業を劇的に変えるための起爆剤になり得ます。
 ただ、何も考えずにポンっと入れたところで何も起きないのです。

「現場をどう変えたい?」が最初

 企業を変えたい。そのためにDXを進める。会社にDXを導入して良い方向に変えて行きたい。そういう想いを持つ人も多いでしょう。しかしながら、AIもDXも会社を大きく変化することができる「万能薬」ではありません。
 何かを変えるためには変える場所を特定し、変え方を考える必要があります。

 薬もそうですが、風邪をひいたのに湿布では治療ができません。また、その風邪にも種類がありますからそれぞれに効く薬が必要になります。
 いわばDXやAIは薬の総称です。その中のどの分類のどういった薬を病気に対し適用するのか。を見極めなければそもそも効果は出ないのです。

 つまりは、「現場」を特定し「どう変えたいのか?」を先に考えるのです。
 その変えたいことに対し、どういったAIやDXをあてこむのか。を考えなければなりません。

 最近DX人材育成。というキーワードが自治体や企業の中でもよく出てきます。
 私の人材育成の講演などさせて頂きますが、DX人材はデジタルの知識が豊富で構築できる開発力を持っている人。というよりは、病気を見極め、薬を調合する薬剤師に症例を伝える役割に近いです。医者にとってはカルテのような存在でしょうが、そこに「変えたいこと」が書き出せる人材がDX人材としては必要不可欠です。
 つまり、医者でも薬剤師でもなく、「物事を把握し分解し伝える能力」が必要です。

 その人材が最適なAIやDXを充てがうことで初めて効果が生まれます。

AIはブームで終わらない

 今回の生成AIはAIブームの一つで終わりません。前のAIブームも終わっていたし・・・と思っている方も多いでしょうが、社会の中にしっかり浸透され、AIだという認識をわざわざ持っていないだけです。
 顔認証ゲート、車のナンバー読み取り機、文字読み取り・・・すでに社会に浸透し、当たり前になっているからこそAIだと言わなくなっています。
 現状の生成AIも今はショーケース状態のため、わざわざAIと言っていますが、数年後にはAIという文字がとれ、周囲に普通にある存在へと変化していきます。

 DXもAIもいずれば当たり前のことになっていきます。

 では、その時まで待っていればうちの現場に合う専用のDXやAIが生まれるのでは?と考えてしまいがちですが、そもそも仕事の現場は汎用的なことを行なっている訳ではなく、それぞれの会社や現場でやっていることが異なります。

 早期にDX人材を早めに作ってDXやAI導入を進めればそれだけ企業の競争力や価値が高まりますが、そのうち・・・と考えている場合は、いつまで経っても自分の現場に合うDXやAIが登場せず、導入することができなくなります。

 DXもAIもブームではありません。
 時代の流れがこれらデジタルを生み出し、それらを使うことがこれからの時代には普通のことになってきているのです。

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