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何清漣★エネルギーをめぐる世界の再編成中国は相対的に優位に 2022年9月26日

ここ数ヶ月来、西側諸国は中国がロシアを支持するのかどうかに気を奪われ、中・露が今よりもいっそうエネルギー政策で協力するということは、世界のエネルギー市場に甚大な影響を与えるという事実を完全に忘れてしまっています。

欧州の工業がエネルギー不足による価格高騰によって次々に閉鎖、倒産に見舞われているという事実をみれば、世界は市場の再分割の時代を迎えており、それは最終的には政治的陣営の再編成に影響を及ぼすことをみとめなければなりません。

★エネルギー不足で危機に瀕する「ポスト工業社会」

中・露両国のエネルギー分野での協力は、「石油パイプラインの新設で、欧州向けの天然ガスを中国に送ろうというのか」と西側メディアを驚かせました。これは別に大げさなことではなく、欧州はまさにいま、エネルギー危機によって「ポスト工業社会」化が危機にあるのです。

9月19日、ニューヨーク・タイムズ紙は「深刻なエネルギー問題が欧州工業を暗黒に向かわせる」("Severe" energy bill forces Europe's factories into darkness”)として惨憺たる状況を報道しています。

その記事では、欧州非鉄金属工業会(Eurometaux)がエネルギーの高騰によって欧州のアルミ・亜鉛の生産がすでに半分停止していることや、紙や肥料などのメーカーもすでに窮状に備えて引き締めにかかっているという。

こうした天然ガスと電力に依存する原料は、車のドアや段ボール箱などになります。

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミッタルはドイツの高炉を休止し、世界的なアルミニウム製品メーカーであるアルコアはノルウェーの製錬所の生産を3分の1に減らし、オランダでは世界最大の亜鉛メーカーであるナイアスターが生産を停止しています。

トイレットペーパーの生産さえおぼつきません。デュッセルドルフに本社を置くドイツで有名なトイレットペーパーのハクレ社は破産を申請しました。

ウクライナ戦争ぼっぱつ以後、中国やインドなどがロシアから購入した天然ガスは、たしかにロシアがこれまで欧州向けに供給してきたものです。

9月15日、ロシアのテレビ局「ロシア1」のインタビューにエネルギー大臣のアレクサンダー・ノバクは2024年に着工予定の「シベリア2」は「ノルドストリーム2」の代替えになるのか、と聞かれ「そうなるだろう」と答えました。

ノバク氏はまた2022年のEU向けのガス輸出量を「約500億立米削減する」と述べ、同時に中国東北部への「シベリア1」、ロシアの天然ガス会社ガスプロムを大幅に増やすとしました、現在の数字は200億立米です。

ヨーロッパは石油を中東諸国に大きく依存しており、中東は古くから「ヨーロッパの灯」と呼ばれています。 ドイツが長年サポートしてきた「ノルドストリーム2」は米国にとっては目障りなものでしたが、この2月のロシアのウクライナ侵攻によって打ち切られました。

そこで供給を確保するために欧州は全世界にガスの供給元を探しはじめ、アフリカが最大の目標となりました。しかし、アフリカは遠く、目先の渇きを癒すのはむずかしいのです。

★アフリカはEUの天然ガスを供給できるか?

ドイツのエンジニアリング企業のロックスレスによると、アフリカは過去10年間、ヨーロッパにガスを輸出しているが、年間平均輸出量はヨーロッパのガス輸入総量の18%にしかならず、ロシアのガスのシェア62%と比べるとまだ大きな隔たりがあります。

アフリカは膨大なガス埋蔵量があるにもかかわらず、長年「ハイリスク」地域とされ、プロジェクトの進展は遅々として進まなかったのです。

例えばアルジェリアでは、ガーディアン紙によると、アルジェリア国営石油ガス会社は2015年から2019年の間にガスに220億米ドルしか投資しておらず、申請した31の石油・ガスプロジェクトのうち開発許可を得たのはわずか4件に過ぎないとのことです。

ロックスレスのレポートは、高い開発コスト、資金調達の困難さ、現地の政治的不安定さが、アフリカでのガス開発を妨げている主な要因だと指摘しています。また、アフリカの多くの国では、パイプラインやLNG基地などの関連インフラが整備されていません。

仮にEUの計画通りに事が運んだとしても、輸送問題の解決を待つ間、エネルギー不足による「ポスト工業化社会」への妨げになります。

8月31日の時点で、ドイツのロベルト・ハーベック経済大臣は、産業界はここ数ヶ月、石油などの代替燃料への切り替え、プロセス効率の改善、生産の削減などにより、ガスの消費量を減らす努力をしてきたが、それでも一部の企業は「完全に停止している」「これは関連業界が再編されているのではなく、まさに破裂、それも構造的に、巨大な圧力の下で破裂している」と述べています。

クレディ・スイスのグローバル短期金利戦略アナリストのゾルタン・ポッサール氏は現在、欧州は過度の金融レバレッジによる「ミンスキー・モーメント(債務支払のために売却する必要に迫られ、マーケットで価格下落スパイラルと深刻な貨幣需要が生じる瞬間)」を迎えている、と指摘しました。

サプライチェーンの観点から見ると、欧州は現在、過剰な営業レバレッジに晒されており、ドイツの場合、経済の付加価値2兆ドルがロシアのガス200億ドルの使用に依存しており、これは1000億ドルに値するものである。これは100倍のレバレッジ、つまりリーマン・ショックの時よりもはるかに危険度が高いとしています。

★中・露のエネルギー協力:グローバル化の二元化

中国は2003年に石油の純輸入国になって以来、エネルギー安全保障はずっと経済の安全におけるトップの位置ずけで、対米関係が悪化してからは一層、顕著になりました。

BPのデータによると、ロシアの石油ガスと石炭の埋蔵量は2020年末時点で世界最大級。天然ガスの確認埋蔵量は世界全体の20%でトップ、石炭の確認埋蔵量はアメリカに次いで世界第2位で約15%、石油の確認埋蔵量は世界第6位で6.2%です。

生産量では、ロシアは石油ガスで世界第2位、石炭で世界第6位の生産量を誇っています。天然ガスで世界第1位、石油で第2位、石炭で第3位の輸出国であり、中国がエネルギー安定供給源として注目するのは当然です。

中国は世界シェア26%を超える世界最大のエネルギー消費国であり、全体の外部依存度は2000年の5.71%から2020年には18.07%へと急激に上昇しています。石油と天然ガスの対外依存度はそれぞれ70%と40%を超えています。

21世紀初頭、中国は中東の石油やガスへの依存度を高めていたが、その後、中東には制御不能な軍事・安全保障上のリスクがあることに気づき、中国は「同じカゴに卵を入れる」危険を避ける為、世界中のエネルギー源に目を向けるようになりました。

2004年の中国・カザフスタンパイプラインの建設以降、中国は近隣諸国と協力して、中国・中央アジア石油・ガスパイプライン、中国・ロシアパイプライン、「シベリアパワー」パイプライン、中国・ミャンマー石油・ガスパイプラインなどを建設してきました。

今、中国は海上、北東(中国-ロシア石油・ガスパイプラインを指す)、北西(中国-中央アジア石油・ガスパイプラインを指す)、南西(中国-ミャンマー石油・ガスパイプラインを指す)方向の4つの戦略的エネルギー回廊を形成して

★今回の突然の世界エネルギー危機の背後で何が?

2014年から始まった中国のエネルギー安全保障の方向転換は、実に中国に有利に働きました。

2014年、中国への原油の主要輸出国は、順にサウジアラビア、アンゴラ、ロシア連邦、オマーン、イラク、イランの6カ国で、輸入全体の68パーセントでした。対中天然ガス輸出国上位4カ国は、順にカタール、オーストラリア、インドネシア、マレーシアです。

2021年になると、中国は合計5億1,298万トンの原油を輸入し、サウジアラビアがトップ(同年の中国の原油輸入総量の17%)。次いで、ロシア(15.5%)となっています。 第3位はイラク(11.1%)です。4位:オマーン(8.7%)ですが、この4カ国はみな米国と友好的な国ではありません。

天然ガスの供給国も大きく変化しており、2022年1〜5月のデータでは、中国のガス輸入のうち、ロシアからのシェアが大幅に増加し、米国からのシェアが大幅に減少しています。トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、ロシア、ミャンマーが主な輸入相手国です。この中でもロシアの対中パイプラインによるガス供給は増加傾向にあります。

ロシア・ウクライナ戦争までは、グローバル化・グレートリセット(グローバル化バージョン2.0)は、米欧西側同盟が中心で、それ以外の国は政治的にも経済的にも基本的に米欧を中心に回っており、中国は政治的に強いとは言えず、一極をなしているとはいえませんでした。

しかし、ロシア・ウクライナ戦争はまだ終わっていないが、世界の多極化の流れはすでにはっきりしています。この多極化の基本は、エネルギーを中心とした世界経済の再編と市場の細分化です。エネルギー供給という点だけをとってみても、ヨーロッパは非常に不安定な状況に置かれ、「ポスト工業化社会」は危うくなっています。一方、中国は長年の努力の結果、相対的に安定した立場にたっています。

世界围绕能源供给重新组合

26 September 2022

西方各国数月来关注中国是否支持俄罗斯,完全忘记关注中俄进一步深化的能源合作,对世界能源市场的重组产生的深远影响。结合欧洲工业因能源短缺价格高昂不停关闭破产这一事实,必须承认世界进入市场重新分割时期,这种市场分割最后必对政治阵营的重组产生影响。

欧洲因能源短缺经历去工业化的至暗时刻

中俄两国的能源合作已经让西方媒体惊呼:《另开油管 俄罗斯将给欧洲的天然气输送到中国去》[1]。这一惊呼并非小题大作,而是欧洲此刻正在经历能源危机引发的严重的去工业化。

9月19日,《纽约时报》在《“严重”的能源法案迫使欧洲的工厂陷入黑暗》一文中述及这一惨况,其中引述欧洲有色金属行业协会(Eurometaux)称,由于能源账单暴涨,欧洲一半的铝和锌生产已经停摆,诸如纸张、肥料和其他产品的制造商已宣布勒紧裤腰带过日子。这些原材料依赖天然气和电力,可转化为汽车车门、纸箱等产品。安赛乐米塔尔(Arcelor Mittal)是欧洲最大的钢铁制造商,该公司在德国的高炉正处于闲置状态;全球铝制品生产商美国铝业公司(Alcoa),已将其挪威冶炼厂的产量削减三分之一;在荷兰,全球最大锌生产商Nyrstar也暂停生产。就连厕纸生产,也未能幸免。在德国,最大的卫生纸制造商之一Hakle也宣布,由于“历史性的能源危机”,该公司已陷入破产的境地。[2]

俄乌战争开始之后,中国、印度等国购买的俄罗斯天然气,确实是俄罗斯原来供给欧洲各国的那部分。9月15日,俄罗斯能源部长诺瓦克(Alexander Novak)接受俄罗斯电视台 Rossiya-1访问时,被问到俄国会否以通往亚洲的西伯利亚之力2号(Force Siberia 2,2024年动工)取代通往欧洲的北溪2号(Nord Stream 2)天然气管线时,他直接回答“会这样做”。诺瓦克还表示,俄罗斯2022年对欧盟的天然气出口“会减少约500亿立方公尺”,与此同时,通往中国东北的西伯利亚之力1号(Force Siberia 1),俄罗斯天然气工业公司(Gazprom)如今将增加输气量达每年200亿立方公尺。

欧洲的石油主要依赖中东国家,中东地区向来被称为“欧洲之灯”。德国长年支持的北溪2号被美国视为眼中钉,在俄国2月入侵乌克兰后已在压力下割舍。此时,为了保障供应,欧洲开始在全球范围内寻找新的“气源”,非洲成为“首选目标”。
非洲能源是远景 难解近日之渴

非洲能够满足欧盟天然气的需要吗?

根据睿咨得能源的统计数据,过去10年间,非洲虽然也一直向欧洲出口天然气,但年均出口量仅占到欧洲天然气进口总量的18%,相比俄罗斯天然气62%的占比,仍有不小的差距。非洲虽然坐拥海量天然气储藏,多年来一直被视为“高风险”区域,项目开发进程缓慢。以阿尔及利亚为例,据《卫报》报道,2015年-2019年期间,阿尔及利亚国家石油天然气公司在天然气领域的投资仅为220亿美元,申请的31个油气项目中更是只有4个获得开发许可。

睿咨得能源在其报告中指出,开发成本高昂、融资困难、当地政局不稳等因素,是“拖累”非洲天然气开发的主要原因。另外,非洲多国缺乏输气管道、LNG终端等相关基础设施,也将成为影响非洲天然气大规模增产的主要障碍。

就算一切按照欧盟的计划走,等待运输问题解决的这段时期,欧盟因能源短缺,面临“去工业化”的困难时期。早在8月31日,德国经济部长Robert Habeck表示,近几个月来,工业界通过改用石油等替代燃料,提高流程效率并减少产量等方式,努力减少天然气消耗,但一些公司还是“完全停产”,“这可能意味着相关行业不仅在重组,而且正在经历破裂——一种结构性破裂,一种在巨大压力下发生的破裂。”
瑞信集团全球短期利率策略分析师Zoltan Pozsar说,当前欧洲正面临由过度金融杠杆引发的“明斯基时刻”:从供应链的角度来看,当前欧洲正暴露在过度的经营杠杆之中:在德国,2万亿美元的经济附加值取决于来自价值200亿美元的俄罗斯天然气,这是100倍的杠杆——比雷曼兄弟破产时的杠杆水平要高得多。[3]

中俄能源合作:全球化从此成为双中心运行

自从中国在2003年成为石油净进口国以来,对能源安全的考虑一直放在经济安全首位。与美国交恶之后更是如此。

BP数据显示,截至2020年底,俄罗斯的油气煤储量都居世界前列:天然气探明储量占全球储量的20%,位居全球榜首;煤炭探明储量占全球储量的15%左右,位居第二,仅次于美国;石油探明储量占世界总量的6.2%,居全球第六位。在生产方面,俄罗斯是世界第二大石油和天然气生产国、第六大产煤国。在出口方面,俄罗斯是全球第一大天然气出口国、第二大石油出口国和第三大煤炭出口国——这些数据,势必使中国将俄罗斯当作能源安全持续性保障的一个重要来源。

中国是全球最大能源消费国,全球占比超过26%,总体对外依赖度已经从2000年的5.71%快速上升至2020年的18.07%。其中石油和天然气的对外依赖度分别在70%和40%以上。在21世纪初期,中国对于中东地区油气有较大依赖,但后来意识到该地区存在难以控制的军事和安全风险,这种高度不安全感让中国意识到不能把鸡蛋放在同一个篮子里,于是全世界范围内寻找能源。从2004年开建中国-哈萨克斯坦输油管道至今,中国已与周边国家合作,建成了包括中国-中亚油气管道、中俄输油管道、“西伯利亚之力”输气管道、中缅油气管道在内的多条陆上油气管道。中国已经形成海上、东北方向(指中俄油气管道)、西北方向(指中国-中亚油气管道)和西南方向(指中缅油气管道)四大能源战略通道。

这场突如其来的全球能源危机背后,发生了什么?

从2014年开始的中国能源安全调整,对中国确实有利。2014年,向中国出口原油的主要国家依次是沙特阿拉伯、安哥拉、俄罗斯联邦、阿曼、伊拉克和伊朗等六个国家,占进口总量的68%。[4]向中国出口天然气的22个国家,前四位依次为卡塔尔、澳大利亚、印度尼西亚与马来西亚。[5]到2021年,中国进口原油共51298万吨,前十名当中居首位的是沙特阿拉伯(占中国当年原油进口总额的17%)。其次是俄罗斯(15.5%)。第三为伊拉克(11.1%)。第四名:阿曼(8.7%)。[6]这四国总量约占原油进口量的50%以上,没有一个国家与美国是友好国家。天然气的供应国也有很大变化,2022年前五个月的数据显示,中国自俄罗斯进口的天然气占比大幅增加,自美国进口的天然气占比大幅下降。土库曼斯坦、乌兹别克斯坦、哈萨克斯坦、俄罗斯及缅甸是主要进口国家。其中,俄罗斯向中国输送的管道气量在不断增加。[7]

直到俄乌战争发生之前,全球化-大重置(全球化2.0版)都是以美欧西方同盟为中心,其他的国家无论政治还是经济,基本都围绕美欧运行,中国在政治上不足以形成一极。目前俄乌战争还未结束,但世界多极化趋势已经非常明显,这一多极化的基础就是围绕能源,世界重组经济并进行市场分割。仅从能源供给来说,欧洲将自身置于巨大的不稳定当中并引起去工业化过程;中国则因苦心经营多年,现处于相对安全位置。

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