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何清漣★「『習近平思想』で中国はどこへ行く?」 2022年11月7日

 中国共産党第20回全国代表大会では習近平国家主席の任期制限が延長されました。習近平が3期目を迎えることは、第2期での主要な政治目標でした。一方、経済分野ではこれに先立って進められており、20回大会以後、直ちに実施の運びとなりました。

 しかし、状況は人々が思っている以上に早く変化しています。西側の政界やメディアは胡錦濤元主席の安否を気にしていますが、渦中にいる中国人はもうすでに毛沢東時代の「毛式供給消費社会回帰」を通じて、計画経済復活のプレッシャーを深く感じています。実のところ、これは「習近平経済学」の一政策に過ぎないのです。

 ちょっと先に言っておくと、この10年ほど西側メディアは「アベノミクス」に始まって「バイデンミクス」「習近平ミクス」みたいな指導者の名前を経済政策につけたがりますね。「習近平経済学」もただそれに習っただけです。

 ★「習近平経済学」は「習近平思想」の分枝

 中国政府関係では「習近平経済学」ではなく「習近平思想」という言葉がよく使われます。理由は簡単で、中共の政治文化で最高レベルは「思想」で、これこそ「マルクス主義」や「レーニン主義」のように、社会主義の「殿堂入り」する言葉です。エンゲルスではマルクスのおまけだからダメなのです。

 次が「思想」です。毛沢東も今に至るまで「思想」レベルです。文革の時一部の紅衛兵が「毛沢東主義」と言い出しただけです。

 習近平はマルクス・レーニン主義の流れを組むわけで、越権行為にならないようにこの点を理解しておりますから、毛沢東と同様に「思想」レベルです。「習近平経済学」というのはその経済政策原則を明確にしただけです。

 中共プロパガンダで「習近平思想」という文句は山ほど使われているわけではありませんが、少なくとも毎年更新されています。プロパガンダの法則によれば、新しいものほど範囲が広いので、第20回全国大会を選んで説明しましょう。

 中共中央委員会党校の張湛斌教授は今年9月、人民日報オンラインに習近平の経済思想の科学的把握における「いくつかの主要な問題」を発表しました。 以下、その概要を紹介します。

:『党の経済工作を指導者のもとに統一して強化する』

 これは、鄧小平の改革開放以来、胡・趙両氏の下での党と政府の分離、特に趙紫陽氏の下での政府と党、政府と企業の分離に対しての、一種の理論的回帰といえます。

 実質的回帰は国営企業への等委員会指導の強化、私企業と外資企業内部への共産党支部設立の実現で果たされており、20回大会はただその理論を完成させただけです。

:『人民中心の発展思想の堅持』

 今年からの「人民経済」の導入は、実は中共のシンクタンクグループが、習近平の「人民中心発展理念」の理解を踏まえて行ったものです。習近平の「人民のために人民に依拠し、発展の成果は人民と共に味わう」という言葉からきたものです。

 ;『イノベーション、グリーンエネルギー、開放、新たな発展を共に享受すべきだと言う理念に関する明確な提案』

 これは、西側国家が露宇戦争によってロシアの石油の輸入を抑制したために、自分たちが長年、提唱してきた「緑のエネルギー計画」が挫折して、石炭や木材など大気汚染の原因となる燃料を使わざるを得なくなったことを理解する必要があります。

 これによって中国が「緑のエネルギー計画を堅持する」という主導権を取ろうという政治的目的です。

 もちろん、もう口には出せない経済目的の理由もあります。それは中国はこの15年間、「緑のエネルギー」設備を生産し続けてきて、風力発電や太陽光エネルギー設備の生産分野で全世界の6割以上のシェアを持っており、もし「緑のエネルギー」がポシャってしまったら、大変な生産過剰になってしまうということです。

 ;『社会主義経済の基本システムを堅持・改善し、公有制を主軸とし、多様な所有経済の共同発展を図り、労働分配を主軸とし、多様な分配方法の共存を図るという明快な提案』

 これはなんとも大げさなことばですが、詳しくみてみましょう。

 :『生産と需要の関係についてのマルクス主義的な政治経済理論の展開を深め、供給側の構造改革の明確な提案』

 これは「改革理論」の目下の最大の本質であり、供給消費社会体制の復活でしょう。

 ;『人類という運命共同体の構築、経済のグローバル化の健全な発展、マルクス主義政治経済学の世界経済理論に関する深化と発展」

  これは、「大リセット時代」のグローバリズム2.0バージョンにおける指導権争いです。

 ちょっと以前のことを言うと、2016年11月にトランプ大統領が当選した時、世界中の左派は深く失望してしまい、ニューヨーク・タイムズ紙やファィナンシャル・タイムズ紙が「グローバリズムの旗手は中国が努めるべきだ」などと言い出したことがあります。
 
 その時は、さすがに中国もあえてそんなことは言い出さなかったのですが、2020年上半期になると、米国ではいろんな大騒ぎ事件が起こってしまいました。

 で、北京はついに「東昇西降」が世界の大勢であると判断しました。そこで9月の国連総会の席上、習近平が正式に「人類の運命共同体の構築」と提起したのです。

 以上のことから、「習近平思想」は「道」と「術」の二つのレベルがあることがわかります。中国では古くから「形而上では『道』といい、形而下では『術』という」といわれます。

 「人民経済」「人類の運命共同体」「緑のエネルギー」はつまり「道」であり、「世界のリーダー」の地位を争うための理論的ツールです。この点では習近平は毛沢東の衣鉢を継ぎ「天下に志を述べ」ようとするものです。

 「党の経済分野の工作に対する指導強化」「公有制度を主体として、供給側を改革する」のは「術」です。鄧小平理論を習近平が受け継いでいる部分です。「術」は適時調整でき、「川底の石をさわりながら渡る」「草鞋を作る時はゆっくり作ってだんだん形になっていく」やり方で試行錯誤だからです。

 例えば、経済における公有と私有の比率とか、党の経済指導の強度とか、供給と消費の社会体制における「古い瓶」にいれる「新しい酒」の割合は半々か四分六か七三かなどは調整できるものです。

 ★中共政権下における公私変換サイクル

 習近平が育ったのはおもに文革の毛沢東時代と文革後です。中共のハイレベルの家庭に生まれた人々の共通の特徴として、毛沢東への極度の崇拝があります。自分たちの両親や家庭が毛沢東によってめちゃめちゃにされても毛沢東を崇拝する気持ちがあるのです。

 習近平も当然例外ではありません。習近平が権力を握って以来、最初の2年間は権力掌握につとめるために、鄧小平の改革開放路線を強く否定することはありませんでした。しかし、権力基盤が安定するや、たちまち毛沢東体制への偏愛を表し、経済分野では公有制への執念となって現れました。

 2015年、中国政府は胡温の時代から温めていた「国有企業改革の深化に関する中共中央委員会と国務院の指導意見」(通称「SOE改革プログラム」)の導入を開始しました。

 当時、海外の一部の人々はこれをよく読まずに、「国有財産を分割するための最終決起集会だ」「政府は市場化を通じて民営化を進めたいのだ」などと主張したものです。

 当時、私は「国営企業改革法案」の目的地は『公』か『私』か?」を書きこの誤解を指摘しました。http://heqinglian.net/2015/10/12/soe-reform-2015/

 その理由は、この方案は極めて習近平色の強いもので、毛沢東と鄧小平の施政の特徴、左右を融合させて、多くの矛盾に満ちていたからでした。

 しかし、そのキモは国有企業を大々的に強化しようとするもので、最初に「国有企業は全人民所有であり…我らの党と国家事業の発展における重要な物質的、政治的基盤である」ことを肯定していました。明らかにポイントは「混合所有制」にあったのです。

 いわゆる「混合所有制」というのは私企業は国営企業の株を購入して株主になれるけれども、株券の所有比率は国有が最大であり、私企業は従属的地位であって、決定権も発言権もなし、ということです。

 端的に言えば、上述の国営企業改革方案と2015年9月に発表された国務院の「監督の強化と規制に関する指導意見」は、企業及び他の機関に内通者制度を作り、内部から違法行為のタレコミを奨励するものでした。それ以後、中国政府は私企業の弱点を一手に握ることになりました。

 興味深いのは、最近、テンセント、アリババ、京東が国有企業によって「混合所有」されるという噂が流れた時、政府メディアがこれを虚報だと報道したことです。

 11月3日、CCTVは「テンセント、アリババ、京東が国有企業によって混合される? 誤訳で市場が騒然となった」と報道しました。これは「さらに多くの国有企業がインターネット大手と手を結んだだけで、国営企業が『混合所有』にしたわけではない」という曖昧なものでした。

 私は、これは「混合所有」という呼び方があまりにも不評だったために、言い方をあいまいにしたのだと思います。こうした情報産業は中共政治の安全と信用に関わりますから、国有化は遅かれ早かれ起きることだったのです。

 ずっと昔から言ってきたことですが、簡単に言えば、中共は建国の初めから暴力革命によって資本を奪い、そのお金で私企業を公有化して、国有、集団所有制の社会主義公有経済を築いてきました。

 1978年以後は、権力の市場化によって、公の富を個人のものにして、権力にたずさわる集団とその関係者を最大の受益者としました。習近平が政権を握ったあと、2015年からは、中共はまた私企業を公有化する富の再配分のサイクルに入ったということです。

 このすべては習近平の第一期、第二期の任期内におこなわれたことで、西側の認識は5年から7年は遅れています。

11月2日にBBCは「中共20回大会、習近平の新時代、米国はどうする」という記事で、実際は西側がいかに中国との関係をやっていくかをテーマにしていました。

 しかし、私に言わせれば米・中関係、西側と中国の関係の構造は、中国の状況がどうであるかというよりは、西側自身によって決定されるものなのです。(終わり)

评论 | 何清涟:"习近平思想"将中国导向何方?
2022.11.07

二十大解决了习近平的任期限制问题,解除这一限制,是习的第二个任期的主要政治目标。经济方面的准备工作有些已先期预热,二十大开完之后立即付诸实施。但形势变化远比人们认识转换要快,西方各国政界与媒体还在关心胡锦涛的安危,身在其中的中国人已经通过“毛时代供销社回归”深感“计划经济”复归的压力。其实,这只是“习近平经济学”的一项政策而已——在此必须预先说明:近十年以来,西方媒体喜欢将一些大国领导人的经济政策冠以“XXX经济学”之名,“安倍经济学”开创先河,此后“拜登经济学”与“习近平经济学”相继问世,本文使用这个词,只是从俗。

“习近平经济学”是“习近平思想”的分支

中国官方不用“习近平经济学”,好用“习近平思想”。原因说穿了很简单:在中共政治文化中,最高档次是“主义”,一被奉为“主义”就进了共产-社会主义的万神殿,因此,马克思、列宁有主义;恩格斯只能附从马克思门下,不能自立门户;次则为思想,毛泽东至今只有思想,只有文革时一些红卫兵组织号称“毛泽东”主义。习近平算马列宗的后起之秀,不能僭越,因把握了这点分寸,至今还与毛一样,只称“习近平思想”,“习近平经济学”就是习近平阐述其经济政策的原则。

中共官宣中,解释“习近平思想”的文字虽然没到汗牛充栋的程度,但至少每年都在翻新。按照宣传定律,越新的越全面,因此我挑二十大前后的说明。中共中央党校教授张占斌今年9月发表于人民网上的《科学把握习近平经济思想的几个重大问题》,该文的前面三大节全是从不同方面涂饰金粉,最后一节才是破题。以下述其大纲,引文用黑体标出。

明确提出加强党对经济工作的集中统一领导——这算是对邓小平改开以来胡赵时期尤其是赵紫阳时期党政分开、政企分开的一种理论回归。实质回归,已经通过国企中加强党委领导、私企与外企建立党支部实现,二十大只是完成了理论回归。

明确提出坚持以人民为中心的发展思想——今年以来“人民经济”的提出,其实就是中共智囊群体根据自己对习近平“以人民为中心的发展思想”的体会,从习那几句“必须坚持发展为了人民、发展依靠人民、发展成果由人民共享”发挥而来。

明确提出创新、协调、绿色、开放、共享的新发展理念——理解这点需要了解以下事实:西方国家今年因乌克兰战争抵制俄气俄油,导致自身倡导多年的绿能计划受挫,只好将煤炭、木柴等原定为污染源的能源洗绿(Washing Green),重新启用。因此,中国坚持绿色能源的政治目的在于争夺话语主导权。当然还有一个经济目的未便说出,那就是中国近15年发展绿能设备生产,风能、太阳能设备生产几乎占了全球市场供应的60%以上,如果不提倡绿色能源,这些行业的产能将严重过剩。

明确提出坚持和完善社会主义基本经济制度,坚持以公有制为主体、多种所有制经济共同发展,按劳分配为主体、多种分配方式并存——这是一篇天大的文章,接下来我将详细阐述。

明确提出供给侧结构性改革,深化发展了马克思主义政治经济学关于生产和需要关系的理论——这一“改革理论”目前的最大结晶,应该就是供销社体制的回归。

明确提出构建人类命运共同体,强调推动经济全球化健康发展,深化发展了马克思主义政治经济学关于世界经济的理论——这是与“大重置”势力争夺全球化2.0版的领导权。这里得提一件旧事,2016年11月川普当选美国总统之后,全球左派深度失望之余,美国《纽约时报》、英国《金融时报》都发过专题专栏文章,期望中国勇扛“全球化经济领军大旗”。当时中国还不敢接这面旗帜,但等到2020年上半年美国发生很多大事之后,北京终于判定世界大势“东升西降”,于是在这年9月的联合国大会上,习近平正式提出“构建人类命运共同体”。

以上分析,可以看出,“习近平思想”分“道”与“术”两个层面。中国有古话云:“形而上者谓之道,形而下者谓之术”。“人民经济”“人类命运共同体”“绿色经济”这是“道”,用来争当“世界领袖”的理论工具。这点,习近平继承了毛的衣钵,志在天下、寰宇。加强党对经济工作的领导、坚持公有制为主体、供给侧改革谓之“术”,这是习对邓小平理论的继承,因为“术”可以随时调整,可以“摸着石头过河”,“草鞋没样,边打边象”,允许试错,比如经济中的公有私有比例、坚持党对经济领导的强度大小、供销社体制这只“旧瓶”装的酒之新旧比例,是新旧各半还是新四旧六或者新七旧三,均可相机调整。

中共统治时期的公私轮回之变

习近平的成长经历主要是文革的毛时代与文革后,中共高干家庭出生的人有个共同特征,对毛的极度崇拜,哪怕自己的父母与家庭被毛整得惨不可言,但对毛却保持佩服之情,习近平自然也不例外。习正式掌权以来,只有最初两年因为一切要服从于权争大局,对邓的改开路线没有多加否定,但权力一旦稳定,立刻表现出对毛体制的爱好,在经济方面就是对公有制为主体的执念。

早在2015年,中国政府就推出在胡温时期就开始酝酿的《中共中央、国务院关于深化国有企业改革的指导意见》(通称为《国企改革方案》)出台。当时海外有人没仔细读,就称这是瓜分国有资产的最后集结号, 政府要通过市场化推进私有化。我当时就写了篇文章《【国企改革方案】的风,姓私还是姓公?》,指出这是误读,原因在于这个方案有极强的习氏色彩:意欲融合毛泽东、邓小平两人的治国特点,左右逢源,因此出现了许多互相矛盾的表述。 但这个《方案》的关键点就是做大做强国有企业,这在文件开头就肯定:“国有企业属于全民所有,……是我们党和国家事业发展的重要物质基础和政治基础”;《方案》的亮点是混合所有制。所谓“混合所有制”,就是私企可以拿钱购买国企股份,成为股东。但股权配置比例是以国有资本为大头,私企只能处于从属地位,没有决策权与话事权。

长话短说,与上述国企改革方案同在2015年9月发布的还有国务院《关于加强和规范事中事后监管的指导意见》,规定在企业及其他机构建立吹哨人制度,鼓励内部人揭露供职机构的违法违规行为;从那以后,中国政府一直通过寻找私营企业的污点将其一一收归囊 中。

有趣的是,最近网上流传腾讯、阿里、京东将被国企混改的消息,官媒奉命辟谣,央广 网在11月3日发表的《腾讯、阿里、京东将被国企混改?一场误读引发市场喧嚣》一文里,解释得不清不楚,说这只是“更多国有运营商与互联网巨头牵手”,不是被国企混改。我读了之后,相信这是因“混改”名声太臭而采取的障眼法。这些信息产业关系到中共政治安全与信息安全,国有化是迟早要发生的事情。

简言之,就如我多年前总结过的,中共建政之初,用暴力革命开展了一轮化私为公——抢来本钱做买卖,建立了国有、集体所有的中国社会主义公有制经济;1978年之后,通过权力市场化开始化公为私,权势集团及其关系人成了最大受益者;习近平执政之后,从2015年开始,中国又将经历一轮化私为公的财富再分配过程。

这一切相继发生于习近平第一、二任期之内,西方对此的认识整整迟到了5-7年。11月2日,BBC发表一篇《中共二十大:习近平的新时代,美国要如何走下去?》,谈的其实就是西方将如何处理与中国的关系,但我认为,决定中美(西方)关系格局的不在于中国情况如何,而在于西方自身。

 

 

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