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スタン・ロス(Mr.3000)パワナンバー【パワプロ2022】

スタン・ロス(Stan Ross)

ミルウォーキー・ブルワーズ(1978 - 1995, 2004)

栄光の「ミスター3000」

 先日このMr.3000という映画を見たんですがめちゃくちゃ面白かったです。あんまり評価が高いという感じじゃないんですがそれにしてはめちゃくちゃ好きな映画で個人的に野球系映画の中でかなり上位の映画だと思いました。なのでこのMr.3000の主人公であるスタン・ロスをパワプロで査定していきます。

 ブルワーズが誇ったスーパースター、スタン・ロス。3年連続首位打者を獲得したこともある彼は球界屈指の安打製造機、そして球界屈指の嫌われ者として通算2999安打を積み重ねた。そして通算3000本目のヒットを投手強襲の内野安打で記録。しかし相手チームとの口論から3000本目のヒット記念打球をスタンドに投げ込まれてしまう。そしてスタン・ロスはそれを取った観客の子供から強引にその記念ボールを奪い、大ブーイングを浴びる。
 その後の記者会見では記者たちに暴言を浴びせると唐突に「俺は3000安打を打ったんだからどんなに嫌われていようとも殿堂入りは確実だ。だから俺は今日引退する。」と唐突に引退を宣言した。困惑する記者とチームメイトを尻目に彼は引退を決めた。通算3000安打ぴったりで。

 そして引退から9年がたった2004年、スタン・ロスは「ミスター3000」を名乗りミルウォーキーで様々な事業を展開、3000種類のドリンクが飲めるバーやなにが3000なのかはよくわからないケータイ屋さんなどを経営していた。経営者としては優秀なのか経営に苦しんでいるような様子はなかった。
 しかし殿堂入りについては毎年じわじわ票を伸ばしてはいたもののなかなか届かない。彼は殿堂入りを後押しするために一計を案じる。ブルワーズで背番号21を永久欠番とし、そのイベントで人を集めようと思ったのである。
 ファンサービスも決して良くなかったスタン・ロスだったが地元ファンからの人気は絶大だった。観客席を埋め尽くしたファンに対し、そのイベントに来てくれた元チームメイトは皆無だった。「殿堂入りがファン投票なら俺はとっくに殿堂入りしていた」とすら叫びいつものスタン・ロス節が炸裂してイベントは終わる。

 殿堂入りの投票に当たり成績の確認をしていた関係者がある事実に気づく。スタン・ロスのキャリアで1試合延長になり別日に振り替えとなった試合。その試合彼は3安打を放っているが、5月の試合と8月の振り替え試合両方でその3安打が記録されていた。つまりスタン・ロスの通算安打数は2997安打となり、看板に偽りありとなってしまったのである。
 これにより得票を大幅に減らしたスタン・ロスは殿堂入りが遠ざかってしまう。これを見て奮起した彼は47歳にして再びメジャーリーグに復帰し残り3安打をなんとか打って殿堂入りしようとするのであった。

パワナンバー : 10600 40971 10855

 右投げ左打ちの一塁手らしい。当時ブルワーズにはDH制もなく47歳のベテランが復帰することに関してかなり批判的な声もあった。しかしロス自身の必死のトレーニングもあり、そして何より永久欠番セレモニーでの圧倒的な集客力から地区5位と低迷するチームの収益源としてスタン・ロスを使おうという目論見があった。
 47歳、キャリア22年目のシーズンの挑戦です。3安打を何とかして打たなければいけません。

査定について

 結果的には開幕27打数無安打という醜態をさらすことになりメディアでも批判されまくる結果に。本人も復帰したことを後悔し始めたもののそれでも彼は諦めず打席に立ち続けた。
 ミートFは正直かなり高い数字です。もっと低くてもいいとは思うんですが打席数も少ないし慣れてくればもう少し打つだろうという僕の期待値込みです。
 パワーDに関してもまあ過剰かもしれません。でもホームラン1本打ったしね。47歳にしてメジャー復帰を球団が認めるぐらいの選手ですからただのヘボでは困ります。
 走力ですが彼は本当に全力疾走を辞めない。どんな時も全力プレー、全力疾走でチームを引っ張っていた。内野ゴロで諦めてちんたら走る若手を嫌い、牽制であっさりアウトになるような若手にブチギレる。嫌われ者ですが野球に対してはひたすら真剣だった。
 守備力ですが別に守備が悪いという話を聞かないですね。基本的に8番一塁とかいう本当にアレな打順で起用されていますが一塁手としてはまずまずなんじゃないでしょうか。一応守れる程度の守備力をつけておきました。

安打製造機

 栄光のミスター3000だぞ。安打製造機つけなくて誰に付けるんだよ。

火事場の馬鹿力

 どれだけ批判されても彼は諦めなかった。現役選手でも27打数無安打なんかやれば相当な批判なのに彼は9年ものブランクで復帰して27打数無安打してるんだからそれはもう相当な批判だったはず。しかもブルワーズのことを「リトルリーグ」呼ばわりして復帰したし。逆境に強いスタン・ロスこそ2004年のスタン・ロスでしょう。

人気者

 球界屈指の嫌われ者とか言われてましたけど、それでもファンはスタン・ロスが好きだった。永久欠番セレモニーには観客が詰めかけるし、27打数無安打、58打数2安打とかいう終わりの打撃成績であったとしてもスタン・ロスを見るために球場に詰めかけた。人気者以外の何物でもないでしょう・

内野安打〇、走塁C、盗塁C、ヘッスラ

 復帰後初ヒットもサードへの内野安打。とにかく全力疾走を欠かさない。そしてヘッドスライディングで一塁へ飛び込む。47歳になっても全力プレーを辞めない姿はまさにヒーロー。
 走塁Cは現役序盤の頃からの引継ぎ要素。盗塁Cも同じくですが、さらに言うと初めて見た2年目若手投手の癖を一瞬で見抜いて打撃に生かしている。その癖を盗む技術は盗塁で培われたものなのではないでしょうか。

いぶし銀

 復帰後の記者会見で「いぶし銀の打撃を見せてやるよ」と言ってたし。実際いぶし銀が似合う感じの選手になったしね。

リベンジ

 やっぱりメジャー復帰を諦めない気持ちの強さですよね。そしてインコースをえぐられたとき報復にピッチャー返しを打つという気持ちの強さ、リベンジです。

扇風機

 とまあ気持ちの部分は本当に素晴らしいのですが肉体的な衰えは本当に厳しい。どんなに集中してもプロのボールにバットは空を切る。さらに空振りの悪夢まで見始めるんだから彼のメンタルはかなり追い込まれた。ニュースでもスタンの空振りの様子が晒されるほどには扇風機してました。でもたぶんこれ若いころのスタン・ロスがあんまり空振りしなかったから見たいなのもありそうだなあと思いましたね。

対変化球〇

 さすがにもう直球をはじき返す元気はあんまりなさそうなところなんですよね。でも変化球にはある程度ついて行ったりしてる。直球打てない要素としての対変化球〇。

怪我しにくさB、回復F

 さすがに肉体的な衰えは隠しきれなかった。必死のトレーニングで体づくりをしたとはいえさすがに年齢には勝てないでしょう。回復Fです。でも47歳がヘッドスライディングしたり全力疾走したりして怪我するような描写はない。体が丈夫なんだと思います。怪我しにくさB。

ムード〇

 かつては球界屈指の嫌われ者だったスタン・ロス。でも年を経て丸くなったロスはチームの腐った空気を変えるため必死に頑張った。個人記録にしか興味のないチームメイト、もはや試合に興味がないチームメイト、打ち込まれてクビにされることを恐れている日本人、そんなバラバラの彼らがスタン・ロスの下に一致団結しチームは快進撃を始める。偉大なるしくじり先生です。

意外性、サヨナラ男

 そもそも47歳でのメジャー復帰が意外性でしかないからね。サヨナラ男については何があったのかぜひ本編を見てください。

おまけ

 じつはスタン・ロスについては野球カードが作られていてそれのおかげで正確な成績を見ることができます。だからめちゃくちゃ査定が捗りました。なので他のバージョンのスタン・ロスも作ったのでぜひ。

1979年 21歳/2年目のシーズン

パワナンバー : 10300 20991 09356

1979年成績 .320 11HR 59打点(成績設定の方を間違えました) 32盗塁 193安打

 まだ2年目なのでアベレージヒッターです。そしてどちらかというと俊足・出塁寄りのバッターで一番バッターとかやってたんじゃないでしょうか。アマチュア時代はセンター守ったりしてたらしいのにプロで一塁になったのは外野失格だったというのもありそうです。肩は基本弱め、外野の適性も低めにしてます。
 193安打も打ったし固め打ちは必須でしょう。そして彼の47歳でのプレースタイルを見ても走塁、足で撹乱する野球というのが彼の根本にありそうです。なので機動力はかなり高めに。ブルワーズに突如現れた新星というイメージです。
 3000本も打つので今後は左投手を克服していくんでしょうがまだ若手の頃なので左投手を苦にしているイメージです。打点もまだあまり多くなくて若手という感じが強いですね。この後ホームラン10本台で100打点とかやるクラッチヒッターに育つわけですからね。

1992年 34歳/15年目のシーズン

パワナンバー : 10900 10991 10045

1992年成績 .306 26HR 106打点 11盗塁 147安打

 1995年に引退することを考えると彼のキャリアの中ではかなり後半のシーズンです。34歳となったロスですがこの年は前年のスランプを打破し打撃スタイルをパワー寄りに変更して成功したシーズンです。打率.306は彼の通算打率.314を考えると低めのシーズンですがキャリアハイとなる25本塁打を記録。しかしこれ以降彼は肉体的な衰えから再びヒットメーカーに転身、パワーを見せつけた最後のシーズンとなった。
 1994年には打率.370を記録しているのでその後も実力は十分。引退した1995年もシーズン130試合の出場で.341の活躍で普通に戦力として機能している。だからこそ唐突な引退で大ブーイングとなったわけでもあるが。

 このシーズンですでに通算2500安打を超えています。安打製造機を付けても何の問題もないでしょう。この次の年が.328 20HR 137打点とかいうシーズンだったので悩みましたがアベレージ型のスタン・ロスはいくらでもいるのでパワー寄りだった中から一番いいシーズンを選びました。
 逆襲はとにかくヘイトを集めていたなかでそれを跳ね返したというところ、ピッチャー返し要素も含めリベンジの上位特殊能力を付けました。
 そして彼の強さはとにかく出塁能力が高くて三振をしないという点です。粘り打ちでもいいかなと思いましたが粘り打ちというよりは追い込まれてから強さを発揮する方が彼らしいような気がしました。球筋を見て癖を盗んで配球を読んで打つような、そういう職人らしさを再現するために窮地〇です。
 25HRで100打点を超えるという勝負強さ、出塁能力の高さの選球眼、一塁手としても十分な守備力を持っていますがムード×です。この頃の彼はもうマスコミへの愛想が尽きて個人成績しか興味がない時期でしょう。3000本打ったら引退というのもこのころにはすでに決めてそうです。チームプレイも×。そらそうよ。でもムード×でも使いたくなっちゃう選手だよね彼は。

総評

 なんでこいつが一塁手なんだよ感はすごいんだけどね。外野でも守ってたらもうちょっと評価も変わってくるような気もする。
 とはいえ稼働したたったの21年間でほぼ3000本安打を積み重ねたっていうのは普通にバケモンなんだよね。もし嫌われ者だったとしても現実だったら殿堂入りしてたんじゃないかな、なんだかんだで。実際その辺検証してる人いたけど、スタン・ロスが実在したら歴史に残る大打者であることは確定らしい。イチローが19年で3000本余り打ったけど、ほぼほぼイチローと同じぐらいのペースって考えたらエグいよ普通に。

最も重要なのは、スタン・ロスのキャリアWAR(Wins Above Replacement)が105.4であり、これはヨントのキャリアWAR77.3を大きく上回るだけでなく、メジャーリーグ史上6番目の高WARであることが判明したことである。
Bernie Mac’s character in ‘Mr. 3000’ is (statistically speaking) the best Brewers hitter of all time

 一塁というハンデを背負ってもこれだけのWAR稼いでたわけだから本当にすごいよ。すごいよスタン。スタンの活躍に敬意を表してこの記事は終わりとさせていただきます。

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