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NS-089(日本新薬)

Duchenne型筋ジストロフィー治療の新たな可能性日本新薬のNS-089を掘っていきます!ちなみにブレイクスルーセラピー指定品です!


Duchenne型筋ジストロフィー

まずは疾患の簡単な解説からです。Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は、遺伝性疾患として知られ、筋肉の弱化と進行性の筋力低下を引き起こします。この疾患はジストロフィンタンパクの不足で引き起こされます。

ジストロフィンタンパク質は、筋肉細胞の細胞膜を安定させ、筋肉収縮に伴うストレスから細胞を保護する役割を果たします。

DMD遺伝子変異は、ジストロフィンの正常な生成を妨げ、結果として機能的なタンパク質が産生されなくなります。

この変異は、通常、遺伝子の一部が欠けるか、または余分な部分が挿入されることで起こり、これによりタンパク質の生成が中断されるか、非機能的なタンパク質が生成されます。

ジストロフィンの不足により、筋肉細胞は収縮時の物理的なストレスに耐えられず、徐々に損傷し、死に至ることがあります。これがDMD患者における筋肉の弱化と進行性の筋力低下の主な理由です。

作用機序

NS-089はアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に分類される薬剤で、特定の遺伝子の発現を変更することを目的としています。

具体的には、DMD遺伝子のエクソン44のスキッピングを誘導することで、機能的なジストロフィンタンパク質の生成を促進します。これにより、患者の筋肉機能の維持や改善が期待されます。

開発元の日本新薬には全く同じ作用機序のDuchenne型筋ジストロフィー治療薬ビルテプソがあります。

ビルテプソの作用機序動画をみてもらうと、作用機序がよく分かるかと思います!

ビルテプソとNS-089の違い

え?同じ会社が同じ作用機序の同じ対象疾患の薬つくってんの?って話なんですが、もちろん違いはあります。

ビルテプソとNS-089の主な違いは、彼らが対象とするDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)の特定の遺伝子変異です。

ビルテプソはエクソン53のスキッピングを促進し、NS-089はエクソン44のスキッピングを促進します。

両方ともASOに分類され、ジストロフィンタンパク質の生成を改善することを目的としていますが、彼らが効果を発揮するDMD患者のグループは異なります。要は読み飛ばす遺伝子の場所が違います!

臨床試験

つづいて臨床試験をみていきます。

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