水星の魔女（フレディ・マーキュリー）　　川柳49句

水星をふくむ水星論理学

天丼をパンチカードに読みあげる

ドラクエに変化してゆく螺子ひろい

魚拓する王子と乞食相撲部屋

環八に造影剤をまく芝居

サスペンス映画につよきあるまじろ

箱庭の渥美清を悪として

けづめなどなくした印度放浪記

粘菌とたがいちがいの反映画

マルケスの豚に埋もれる千社札

イメージの本にも加藤茶の三字

都市批判ふくみミクロの決死圏

真実のにんにくドームひらかれて

千代田湖がない病んでゆく鯨たち

鱈子わりキンゼイ博士死に給う

弟のごぼうを洗うサイボーグ

地球圏たそがれの餅うつくしく

入城後餅にかんする詩語ためて

寂聴がいなかった日の電算機

影のびてどの漆黒も撞木鮫

差延するおとこどこまでとらばさみ

奏法がかわる研究室くずれ

神の名のひとつブタクサ揺れながら

グミ錬ってマリヤ閉経する日記

詠みびとがひらくハレンチ学園史

しょんべんが地球におちる右大臣

卵剥く夢を一生みざるまま

土瓶蒸浅田彰のめがね塗る

うさぎ老い町に換喩の雑貨店

夏の豆まきつつ日ユ同祖論

ひが大に熊のモザイクとりのぞく

夕ぐれてキャピタリズムの針ふれて

夜に来てノスタルジアの鯰刺す

わかめ剥ぎ人種主義者を風刺せず

座頭市倶楽部がくばるはなめがね

斜塔みなくずれて妻の眉ふとし

かまぼこをまっすぐ立てる超妊婦

猿の星小樽運河に猿しずむ

システムのなかに血まみれ人力車

パーマンを知らない街の貯水場

被愛者とパーコーメンをさばきあう

蛾を書いてずうっとながい自慰の果て

メンデルがあらわれるまで夢芝居

遺伝子に遺伝子ふれず猿まわし

星座剥げはこばれてゆく熱帯魚

天使魚をヨーゼフ・Ｋがつれまわす

焼菓子をならべなかった蝿の王

さみだれて機動警察洗面器

無季句にてアプリケーションかきなおす

#川柳 #エンターテインメント #詩歌 #文芸 #日曜日の日暮れ