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それは持続可能か?

 前回の記事では、4月に行う入学式や始業式の日程を少し先に延ばすことによって、新年度の教職員の忙しさが緩和されるということについて書いた。

 この記事を読んだ現職の小学校教員から、次のようなコメントをいただいた。ちなみに、この方は校内で情報関連の業務を担当している。

学校現場は、年度更新と呼ばれる様々な作業が年度末年始に多岐に渡り発生している今です

ここ数年で、学校現場に様々なシステムやデバイス、コンテンツが取り入れられています

どれも教育効果を高めることにつながる素敵なものです

ただ、その運用や管理などがほぼ全て学校現場で行なわなければならなく、また、これまでの教師としての専門性や経験では、全く対応できないことばかりです

出欠席などの情報のやり取りを行うシステム、学力・学習状況を測るシステム、子どもたちが学習の共有や発信を行えるシステム、それらを一元管理するアカウントの管理、児童及び職員の端末の管理、などなど、これらは、教師の業務でしょうか

本来、新たなシステムやコンテンツが入ることで校務の効率化がはかられるはずなのに、新学期、子どもたちと出会うまでに教師として準備しておくことに十分に時間がなくなってきています


 これは全国の学校関係者、特に校内で情報関連の業務を担当する教職員に共通する本音だろう。

 「GIGAスクール構想」がスタートしたことにより、学校で管理する端末やアカウントの数は、以前よりも1桁多くなっている。年度末から新年度にかけては、これらの更新作業が必須になっているのだ。

 それに加えて、校務支援システム、各種調査等のシステム、教職員用の端末やデバイス、職員室内のネットワーク等についても、年度の切り替えに伴う作業が発生するのだ。

 トータルの作業量は、10年前とは比べものにならないほど増えているはずだ。

 「学校にはICT支援員が配置されているんでしょう?」
 と思う方がいるかもしれない。しかし、個人情報を扱う業務や校務に関する内容については、契約の関係でICT支援員には依頼できないという自治体も多い。

 大きな企業であれば、こうした作業には専門の部署が対応をしたり、外部委託をしたりするのが普通である。これだけの業務量が新たに発生している以上、予算を確保してヒトやカネを付けるのが当然なのだ。

 教職員の善意に頼っている今のやり方が、果たして持続可能なのかと問われれば、答えは明らかに「ノー」だ。このことは、声を大にして言い続けていく必要がある。

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