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IT先進国スウェーデンの学校が「紙と鉛筆のアナログ教育」に回帰⁉︎

 学校教育へのICTの活用に関して、北欧諸国は総じて先進的だと言われている。スウェーデンもそうした国の一つであり、その取組は日本でも紹介されてきた。

 しかし現在、それに逆行する動きがあるようだ。

 今年の8月中旬に始まったスウェーデンの新学期では、全土の学校で、印刷された本の活用や静かに本を読む時間、手書きの練習に重点が置かれているそうだ。
 その分、タブレット端末を使った主体的な学習、キーボード操作のスキル習得に割く時間は削減されている。

 この施策を主導している学校担当大臣のロッタ・エドホルム氏は、以前からテクノロジーの全面的な導入に反対してきた人物である。
 エドホルム大臣は今年8月、「幼稚園でのデジタル機器の使用を義務付けるという教育委員会の決定を覆す」と発表するとともに、6歳未満の子どもたちのデジタル学習を完全に止める計画であることを明らかにしている。

 こうした動きの背景には、近年の「国際読解力調査(PIRLS)」において、同国の子どもたちの成績が毎年低下していることがあるようだ。

 以前から、「学校教育のデジタル化が学力の低下につながっているのではないか」という声は政府関係者や教育関係者などのなかからあがっていた。エドホルム大臣の決定はこうした声に応えたかたちとなっている。


 国際的な学力調査の結果を踏まえて、それまでの教育施策を大幅に見直す。それは、過去にどこかの国でもあったような話である。

 だが、学力低下の要因は、それほど単純なものではないだろう。たしかに、
「ICTの活用によって学力が低下した」
 と言うことはできる。しかし、
「ICTの活用によって学力の低下がこの程度で留まっている」
 という見方だって成り立つのだ。


 私たちの現代の生活がICT抜きでは成り立たない以上、それを学校教育で活用しないという選択肢はあり得ない。
 あとは、何を、どこまで、どのように活用するのかについて、エビデンスをもとに議論し、判断をしていくしかないだろう。

 記事は次のような言葉で結ばれている。この言葉は、どこかの国の教育施策にもそのまま当てはまると言えるのではないだろうか。

関与する教育関係者の政治的立場や思い込みではなく、事実に基づいた検証と議論を重ねることで、教育の中心である子どもたちに最高の学習環境を提供することが、大人としての責務ではないだろうか。

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