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リベラル系

 先日、元プロ野球選手の桑田真澄氏による言葉を紹介した。

 すると数日後、これを読んだという学生から話しかけられた。

学生「やっぱり、野球ってヤバいですよね」

 彼は中学・高校とハンドボール部に所属していたと聞いている。おそらく、ハンドボール部にもヤバい指導者はいただろうと思うのだが、彼の目は真剣である。

立田「『やっぱり』ってことは、ほかにも野球にはヤバいところがあるの?」

学生「大谷選手関連ですかね。テレビをつけると、どこの局でも大谷選手のニュースばっかりやってるじゃないですか。あれは異常でしょう」

立田「たしかに、他のニュースを流したくないから、大谷選手の話題で番組を埋めているようなかんじもするね」

学生「でも、大谷選手自体は好きなんですけどね。・・・それと、なんで野球はインターハイの種目に入ってないんですか?」

 私に訊かれても困るのだが、たしかにそのとおりだ。インターハイが行われる時期が「夏の甲子園」と丸かぶりなのが理由なのだろう。「夏の甲子園」の歴史は、インターハイよりもずっと長い。

 しかし、それは理由ではなく言い訳というべきなのかもしれない。既得権とか特別扱いと言い換えてもいい。「夏の甲子園」をインターハイの一種目にするという選択肢だってあるはずなのだから。

 けれども、すでに夏の風物詩になっている「甲子園」というブランドのもつ力がそれを許さないのだろう。

 ・・・この学生は、別の課題も指摘する。

学生「インターハイも全国大会は真夏にやりますよ。でも、県の予選は4月から6月にかけてです。なのに、野球は県予選から炎天下でやるじゃないですか」

 どうやら高校生のときの彼は、7月の炎天下で行われた野球部の県予選に、全校応援という名目で動員されたことがあったらしい。それを未だに根にもっているようだ。

 一方、ハンドボール部の応援に野球部の関係者が来たことがあるのかといえば、「3年間で一度もなかった」というから、根にもつのも仕方ないのかもしれない。

 この「炎天下の地区予選」については、たまたま昨夏のテレビでこんな映像が流れた。高校野球の試合中継に、

「熱中症対策 日中の運動は控える」
「熱中症に厳重警戒」

 というテロップが添えられていたのである。

 著作権法上は好ましくないことだが、
「歴史に残る『笑えない画像』」
 として紹介させていただく。

 考えてみれば、地区予選の1回戦から地方局がテレビ中継をするというのも野球以外にはないだろう。また、夏と比較して存在感の薄い「春の選抜」も、他の競技に比べれば破格の扱いだ。

 すでに、高校生の競技人口ではサッカーが野球を上回っているし、バスケットボールにも追い上げられていると聞く。それにもかかわらず、マスコミの扱いは不公平極まりない。

立田「ちなみに、主催者は『春の選抜』が毎日新聞、夏が朝日新聞だ。どっちもリベラル系の新聞社なんだけどね」

学生「ヤベエな、それ」

 ・・・この学生が「リベラル系」という言葉の意味を、
「本音と建前を使い分ける人たち」
 と誤解しなければよいのだが。

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