立田 順一

横浜市在住。教育関連のことを中心に書いていきます。

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45歳・教員の「越境学習」 ~日本財団での1年間~(1)

突然の電話「立田さんには、4月からの1年間、企業等への派遣研修に行っていただきます」  教育委員会の担当者から学校に電話がかかってきたのは、3月中旬のことだった…

立田 順一
3年前
184

リベラル系

 先日、元プロ野球選手の桑田真澄氏による言葉を紹介した。  すると数日後、これを読んだという学生から話しかけられた。 学生「やっぱり、野球ってヤバいですよね」 …

立田 順一
13時間前
15

もったいない・・・

 岡山市内の市立小学校に勤務する20代の女性講師が、「ツイキャスで自身の歌声を5年間にわたってライブ配信し、地方公務員法に違反する副業収入約162万円を得ていた」と…

立田 順一
1日前
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同じサイズの靴

 日本人男性の足の平均サイズは26.0cmだという。  では、その平均サイズに合わせて26.0cmの靴だけを大量に生産したらどうなるだろうか?  もちろん、サイズがピッタリ…

立田 順一
2日前
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これで終わりではない

 公立学校教員の長時間労働の是正や給与制度の改正などについて議論してきた中央教育審議会の特別部会が、5月13日に具体案を盛り込んだ「審議のまとめ」を了承した。  …

立田 順一
3日前
18

『失敗の本質』〜急いで口で吸え!〜

 給特法に基づく教職調整額の在り方などについて審議する中教審の特別部会(第12回)が4月19日に開催された。その結果、 「給特法の教職調整額を少なくとも10%以上とす…

立田 順一
4日前
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キーホルダー

 母は3年前に亡くなった。  実家で遺品の整理をしていると、母の財布の中から古いキーホルダーが出てきた。  直径1センチほどの太鼓型のキーホルダー。その片面には…

立田 順一
5日前
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私もマイクを切っていたかもしれない

 今月1日、水俣病の犠牲者を追悼する慰霊式の後に、環境大臣と患者や被害者団体の代表者との懇談会が行われた。その際、被害者団体のメンバーが発言をしている途中で、制…

立田 順一
6日前
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誰が「ゴジラ」と戦うのか?

 遅ればせながら映画『ゴジラ-1.0』を観た。今から70年前の1954年に公開された第一作と同様に、今回のゴジラも核兵器による破壊を象徴しているのだろう。  終戦直後を舞…

立田 順一
7日前
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どこまで本気になれるのか

 前回の記事では、5月7日付の「教育新聞」に掲載された立教大学の中原淳教授と(一社)ライフ&ワークの妹尾昌俊代表理事による対談の前半の内容について紹介をした。 …

立田 順一
7日前
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「見舞金」で切り崩されてはならない

 5月7日付の「教育新聞」に、立教大学の中原淳教授と(一社)ライフ&ワークの妹尾昌俊代表理事による対談が掲載されている。  対談の内容は、中教審「質の高い教師の…

立田 順一
8日前
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嘘ではないが・・・

 昨日(2024年5月6日)の立教大学・中原淳教授のブログに、「中途採用者の採用」にまつわる企業のマネジャーの話が紹介されていた。その一部を抜粋して載せさせていただく…

立田 順一
10日前
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運動会の大小?

 町内会の回覧板に、近所にある小学校の年間行事予定表が挟んであった。それによると、今年の「春の大運動会」は5月の最終土曜日である25日に行われるそうだ。  最近は…

立田 順一
11日前
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「サバイバー」と「逃げ切り隊」〜【長時間労働の是正】にブレーキをかける者たち〜

 教員の「長時間労働の是正」に向けた中教審・特別部会の審議内容については、「不十分」「本格的に議論を深める必要がある」との批判が集まっている。  しかし、「長時…

立田 順一
12日前
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新任指導主事が直面する「リアリティショック」(後編)

 2回にわたって新任の指導主事が直面する「リアリティショック」とその原因について書いてきた。  だが、指導主事の業務には様々な困難がある一方で「やりがい」も大き…

立田 順一
13日前
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新任指導主事が直面する「リアリティショック」(中編)

 前回の記事では、新任の指導主事が直面する「リアリティショック」と、それが「学校」と「行政」との組織や文化の違いに起因するということについて書いた。今回はその続…

立田 順一
2週間前
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45歳・教員の「越境学習」 ~日本財団での1年間~(1)

45歳・教員の「越境学習」 ~日本財団での1年間~(1)

突然の電話「立田さんには、4月からの1年間、企業等への派遣研修に行っていただきます」
 教育委員会の担当者から学校に電話がかかってきたのは、3月中旬のことだった。
 私は大学を卒業後、すぐに横浜市立小学校の教諭として働きはじめた。それから20数年間、何度か市内での異動はあったものの、小学校以外の職場で働いたことはない。私にとって、その連絡は晴天の霹靂だった。
 と言いたいところだが、予感がまったく

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リベラル系

リベラル系

 先日、元プロ野球選手の桑田真澄氏による言葉を紹介した。

 すると数日後、これを読んだという学生から話しかけられた。

学生「やっぱり、野球ってヤバいですよね」

 彼は中学・高校とハンドボール部に所属していたと聞いている。おそらく、ハンドボール部にもヤバい指導者はいただろうと思うのだが、彼の目は真剣である。

立田「『やっぱり』ってことは、ほかにも野球にはヤバいところがあるの?」

学生「大谷

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もったいない・・・

もったいない・・・

 岡山市内の市立小学校に勤務する20代の女性講師が、「ツイキャスで自身の歌声を5年間にわたってライブ配信し、地方公務員法に違反する副業収入約162万円を得ていた」として同市の教育委員会から戒告の懲戒処分を受けた。この女性講師は依願退職をしたという。

 ・・・勤務時間外の配信だから服務専念義務違反というわけではなく、無許可で副業収入を得ていたことが地方公務員法違反に問われたようだ。

 もともと、

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同じサイズの靴

同じサイズの靴

 日本人男性の足の平均サイズは26.0cmだという。

 では、その平均サイズに合わせて26.0cmの靴だけを大量に生産したらどうなるだろうか?

 もちろん、サイズがピッタリだという人も何割かいるだろう。

 少しキツい、あるいは少し緩いけれども「履けないことはない」という人もいるはずだ。

 だが、キツくて履けない、逆にブカブカで歩けないという人も少なくないに違いない。

 当たり前である。

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これで終わりではない

これで終わりではない

 公立学校教員の長時間労働の是正や給与制度の改正などについて議論してきた中央教育審議会の特別部会が、5月13日に具体案を盛り込んだ「審議のまとめ」を了承した。

 この特別部会における審議の焦点となっていたのは、公立学校の教員に残業代を出さない代わりに、基本給の4%相当の「教職調整額」を一律に上乗せすることを定めた「教員給与特措法」(給特法)の是非についてである。

 結果として「審議のまとめ」に

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『失敗の本質』〜急いで口で吸え!〜

『失敗の本質』〜急いで口で吸え!〜

 給特法に基づく教職調整額の在り方などについて審議する中教審の特別部会(第12回)が4月19日に開催された。その結果、
「給特法の教職調整額を少なくとも10%以上とする」
 という方向で決着をすることが濃厚になっている。

 しかし、これは「教師の長時間労働の是正」を抜本的に図るための方策にはなり得ず、むしろ「定額働かせ放題」と揶揄される働き方を定着させることになってしまう可能性が高い。

 人材

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キーホルダー

キーホルダー

 母は3年前に亡くなった。

 実家で遺品の整理をしていると、母の財布の中から古いキーホルダーが出てきた。
 直径1センチほどの太鼓型のキーホルダー。その片面には華厳の滝が、反対側には陽明門が描かれている。
 それは今から50年ほど前、私が小学校6年生のとき、日光へ修学旅行に行った際のお土産として母に渡したものだった。
 キーホルダーの中には小さな鈴が入っていて、叩くと音が鳴った。

 小さい頃は

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私もマイクを切っていたかもしれない

私もマイクを切っていたかもしれない

 今月1日、水俣病の犠牲者を追悼する慰霊式の後に、環境大臣と患者や被害者団体の代表者との懇談会が行われた。その際、被害者団体のメンバーが発言をしている途中で、制限時間を超過したとして環境省の職員がマイクを切ったことが問題になっている。

 問題が表面化した後、8日には伊藤環境大臣が懇談会のあった熊本県水俣市を改めて訪れ、関係者に謝罪をした。また、環境省に水俣病対策専属の担当を新たに設けるなどして体

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誰が「ゴジラ」と戦うのか?

誰が「ゴジラ」と戦うのか?

 遅ればせながら映画『ゴジラ-1.0』を観た。今から70年前の1954年に公開された第一作と同様に、今回のゴジラも核兵器による破壊を象徴しているのだろう。

 終戦直後を舞台にした今作のなかでゴジラに立ち向かっていくのは、政府ではなく民間の人たちである。戦争によって傷つき、多くのものを失いながらも、彼らは愛する人たちのために立ち上がるのだ。

 作品のなかに貫かれているのは「政府は信用できない」と

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どこまで本気になれるのか

どこまで本気になれるのか

 前回の記事では、5月7日付の「教育新聞」に掲載された立教大学の中原淳教授と(一社)ライフ&ワークの妹尾昌俊代表理事による対談の前半の内容について紹介をした。

 翌8日の「教育新聞」には、対談の後半の内容が掲載されている。

 お二人によって後半に語られたのは次のような内容だ。

 いずれも、頷くことばかりである。

 教員の長時間労働を抜本的に是正するためには、次のいずれか(もしくは両方)を実

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「見舞金」で切り崩されてはならない

「見舞金」で切り崩されてはならない

 5月7日付の「教育新聞」に、立教大学の中原淳教授と(一社)ライフ&ワークの妹尾昌俊代表理事による対談が掲載されている。

 対談の内容は、中教審「質の高い教師の確保特別部会」の「審議まとめ案」に関することだ。

 この「審議まとめ案」のなかには、教職調整額の引き上げ案が盛り込まれている。しかし、中原教授はこの引き上げ案に対し、一貫して「手段と目的が整合的ではない」と批判をしている。

 中原教授

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嘘ではないが・・・

嘘ではないが・・・

 昨日(2024年5月6日)の立教大学・中原淳教授のブログに、「中途採用者の採用」にまつわる企業のマネジャーの話が紹介されていた。その一部を抜粋して載せさせていただく。

 ぜひ、ブログ本文をお読みいただきたい(中原教授のネーミングのセンスには脱帽である)。

 ・・・これに似たことは、学校現場でもある。

 私がまだ20代だったころ、勤務先の小学校に4月の人事異動で2人の男性教員が着任した。年齢

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運動会の大小?

運動会の大小?

 町内会の回覧板に、近所にある小学校の年間行事予定表が挟んであった。それによると、今年の「春の大運動会」は5月の最終土曜日である25日に行われるそうだ。

 最近は全国的に、運動会を秋ではなく春に実施する小学校が増えている。私が勤めていた横浜市では、1990年代の後半あたりから、他の学校行事が集中する秋を避けて、運動会の実施時期を春に移す学校が多くなったようだ。

 また、近年は10月中旬ごろまで

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「サバイバー」と「逃げ切り隊」〜【長時間労働の是正】にブレーキをかける者たち〜

「サバイバー」と「逃げ切り隊」〜【長時間労働の是正】にブレーキをかける者たち〜

 教員の「長時間労働の是正」に向けた中教審・特別部会の審議内容については、「不十分」「本格的に議論を深める必要がある」との批判が集まっている。

 しかし、「長時間労働の是正」に向けた取組が「不十分」で、「本格的に議論を深める必要がある」のは、一部の学校現場についても同様だろう。特に現職の校長のなかには、この問題に対して十分に向き合おうとしていない者がいると言わざるを得ない。

 そうした校長のな

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新任指導主事が直面する「リアリティショック」(後編)

新任指導主事が直面する「リアリティショック」(後編)

 2回にわたって新任の指導主事が直面する「リアリティショック」とその原因について書いてきた。

 だが、指導主事の業務には様々な困難がある一方で「やりがい」も大きい。今回は指導主事のそうした一面についても書いておきたい。

 ・・・新任の指導主事が戸惑う最大の要因は、
「目の前に子どもがいないこと」
 ではないだろうか。

 これまで教員として、直接に子どもたちの反応を見たり感じたりしながら仕事を

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新任指導主事が直面する「リアリティショック」(中編)

新任指導主事が直面する「リアリティショック」(中編)

 前回の記事では、新任の指導主事が直面する「リアリティショック」と、それが「学校」と「行政」との組織や文化の違いに起因するということについて書いた。今回はその続きである。

 教育委員会の指導主事というと、
「授業研究会や研修のときに講師をする人」
 という程度のイメージしかもっていない教員が大半だと思う。

「指導主事って、こんなことまでやるのか⁈」
 という具体的なことについては、実際に自分が

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