しがみつく後ろ姿は…|武蔵村山市歴史民俗資料館
お尻を向けている2体の女性像。
左は東京都武蔵村山市の
「縄文土器に貼り付く人形」.
右は長野県茅野市の
国宝土偶「縄文のビーナス」。
ボリューミーなお尻にくびれたウエストは、
完璧な女性美を表しているようです。
縄文土器に貼り付く人形は、土偶装飾付土器や人形装飾付土器と呼ばれる「縄文土器の一部」です。
土器は欠けて失われてしまい、現在はこの人形部分だけが残っています。
土器にしっかりと手をまわし抱きついている。
両手でしがみつくこの姿…愛らしい。
実はこの背面を見せて土器に貼り付くポーズは、とても珍しいものなのです。
殆どの土偶装飾付土器は、「正面を向いて」貼りついています。
そしてこの土器に貼り付いた人形は、長野・山梨県の土偶と何らかの関係があると推測されています。
とりわけ後ろ姿は、国宝「縄文のビーナス」にそっくり!
これらの土偶や土器の出土地を確認してみると、それぞれ県が違えども案外と近い位置にあることが分かります。
今から約5000年前の縄文時代中期、長野~山梨県で縄文文化が大きく花開きました。
人口は増え多くの集落が誕生し、そこでは数多くの土偶や創造性豊かな縄文土器が作られました。
人々の往来も盛んになり、それに伴って土偶や独特な土器の文化が各地へと伝わったと考えられています。
この頃の長野~山梨県は言わば日本の中心地、流行の発信地。そこで作られた目新しい土偶や土器は憧れの的であったのかもしれません。
それらを手にしたり、真似て作ったりしているうちに、大きな文化の輪が確立されていったのではないでしょうか。
※武蔵村山市立歴史民俗資料館で現在「武蔵村山の遺跡」展が開催中です。
参考図書
令和5年度特別展解説書「武蔵村山の遺跡」
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