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驚きの連続!知られざるメキシコの古代文明

遠い遠い国、メキシコ。
思い描くのは、陽気でリズミカルなラテンミュージックやタコス、サボテン、アメリカに越境してくる人々、歴史で言えばマヤ文明とスペンの征服。私が知っているメキシコはあまりにも乏しい…。

そのメキシコの古代文明を紹介する展覧会が東京国立博物館で始まりました。
この公式サイトを見て、一瞬で目が釘付けに!
何が何だか分からない、が、とにかく見てみたい!
早速足を運びました。


予想通り、多くの人で溢れている展示会場。
そこにいるだれもが興味深々!という気合いが漂う中、最初にメキシコの軌跡をざっと頭にいれます。

約1万3000年以上前、シベリアからアメリカ大陸へ足を踏み入れた人々が、アメリカ大陸を南下したことから始まります。
紀元前15世紀頃、現在メソアメリカと呼ばれる(メキシコの大部分とグアテマラ・ベリーズ・エルサルバドル・ホンジュラス・ニカラグア・コスタリカの一部)に、マヤ・アステカ、テオティワカンに代表される古代文明が築かれ始め、16世紀のスペイン侵攻まで約3000年間に渡って栄えました。
その文明には60ほどの多民族集団が存在し、階級社会が構築され、巨大なピラミッドの建設、天文学や文字を発展させた古代都市を形成していました。

あまりにも奇想天外な造形!
古代の遺物がこんなにユニークで良いのかしら、と思うほど。

この興味深い造形を
ほんの一部ですが見ていただきたい!
説明は…会場と企画展図録の解説を全面的に参考にしています。




「ジャガーの土器」マヤ文明 600~950年
ジャガーは〝王や先史の権威の象徴であり、神秘的な力を持つ〟として多くの美術品のモチーフになってます。一方で〝生贄いけにえ〟として捧げられたり、毛皮をとるために狩られたりすることもあったといいます。
このジャガーの表情に、権威や神秘が潜んでいる⁉のですね。

高さ24.8㎝、幅23.1㎝


「貴人の土偶」マヤ文明 600~950年
墓の副葬品であった土偶。マヤでは、織物、染色、革細工、羽細工などの技術が発展し、王侯貴族はそれらで美しく着飾っていました。
繊細で奇麗なブルーの色彩は技術の高さを物語っているようです。

高さ27.2㎝、幅10.5㎝


「チコメコアトル神の火鉢」(複製)
アステカ文明 1325~1521年

「チコメコアトル」とは〝7の蛇〟を意味し、熟したトウモロコシの女神を表現しています。
雨、豊穣、生命の維持に関連する神々の1つで、巨大な頭飾り、赤く塗られた顔に黒い線、トウモロコシのしゃくが特徴。個人の家から宮殿まで多くの場所で見られます。
今私たちがタコスを食べられるのも、この女神の存在があったからかもしれませんね。

高さ104㎝、幅73.2㎝


「死のディスク石彫」テオティワカン文明 300~550年
テオティワカン最大の「太陽のピラミッド」の正面広場から出土した謎の石彫。骸骨のまわりの放射状の装飾は、地平線に沈んだ(死んだ)夜の太陽を表していると言われています。
夜中になると骸骨から光が放たれそう…。

高さ126㎝、幅102㎝


左:「シパクトリ神の頭飾り石彫」
右:「羽毛の蛇神石彫」
テオティワカン文明 200~250年

背景の「羽毛の蛇ピラミッド」の四方の壁面を飾っていた大石彫。「シパクトリ神」は時(暦)の始まりを、「羽毛の蛇神」は金星と権力の象徴する、創造神。
これらが全体に配置されたピラミッドはメソアメリカで最初のモニュメント、その迫力を直に味わってみたくなります。

左:高さ82㎝、幅145㎝、右:高さ61㎝、長さ185㎝


「香炉」テオティワカン文明 350~550年
装飾の無いくびれた胴部に、動物や幾何学、仮面の装飾で覆われている蓋からなる土製の香炉。亡くなった戦士の鎮魂の儀式に使われたと考えられています。鷲と蝶、矢や盾が散りばめられているそうですが、幾つかの〝眼〟以外は判別が難しい…。

高さ57.9㎝、幅40.4㎝


「猿の神とカカオの土器蓋」マヤ文明600~950年
蓋に描かれたのはカカオを首飾りにした猿の神。メソアメリカで飲料として好まれた〝カカオ〟は各地へ輸出され、スペイン進入時には通貨としても使われた重要な農産物でした。
猿がカカオを好んで食べることから、カカオと結び付けられることが多かったといいます。〝神〟をこのように表現する…面白いですね。

高さ18.3㎝、口径33㎝



「赤の女王(レイナ・ロハ)のマスク」
マヤの黄金時代を築いたパカル王(在位615~683年)の妃とされ、赤い辰砂に覆われて見つかった女王。女王が付けていたマスクや冠、胸飾りが修復・復元され、葬られた当時の姿が再現されています。そこに魂があるような緊張感と神聖な雰囲気に包まれています。


「鷲の戦士像」アステカ文明1469~86年
イヌワシと思われる衣装をまとった男性像は、宗教上でも重要な役割を持つ勇敢な軍人、戦死した後に鳥に姿を変えた魂の表現であるとも考えられています。今にも飛び出そうとしているポーズは、何を意味しているのでしょうか。

高さ170㎝、幅118㎝


「トゥーラのアトランティス像」トルテカ文明900~1100年
王座を支えていたと思われる像で、綿の防具を付けた戦士を表しています。このような像はメソアメリカ各地で共有され、彩色されていないもの、官邸人の服装をしているなど、都市によって違いが見らます。
どこか日本の埴輪を思い起こさせる、ポーズと可愛らしさ。

高さ80㎝、幅41㎝




再現展示や写真、音楽、映像と臨場感溢れる展示空間、作品を見ているうちにすっかり古代メキシコに酔いしれてしまいました。

熱帯雨林の多様な気候に起伏がある土地が広がり、多くの部族が存在した〝メソアメリカ〟。そこに王権が生まれ戦いが起こり、人々は祈り、時には畏怖の念を抱きながら生活してきました。

その精神性や世界感を表す、ピラミッドや巨大モニュメント、生贄儀礼は、そう簡単に理解することができない〝知らなかった世界〟。
驚きと謎多き〝古代メキシコ〟、この興味は当分は尽きることがないように思えます。

秋には福岡、来年には大阪と巡回されますので、機会があれば〝古代メキシコ〟を体感してみてはいかがでしょうか。


参考資料
特別展 古代メキシコ図録
トランジット第48号 講談社 

最後までお読みくださり有難うございました。

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