SF映画を創ったら、ホラー映画祭の審査を通過したって話。

Nakasoneは自主制作映画を、ごく稀に制作する。
端から見れば妙なレクリエーションだが、本人は微塵も楽しんでいない。
「つれぇ。」彼の撮影前夜の発言である。
続けて「撮影、怖いわ。」とつぶやく。
神経質なまでの細かいチェックリストにチェックを入れながら「大丈夫かな。」と不安になる。
チェックリストを何度も確認し、バッテリーというバッテリーを充電する。
そうして迎えた撮影当日は朝から倦怠感に包まれている。
胃薬とは親友になり、滋養強壮剤で強がり、飴を舐めて脳に糖分を送り込む。
生きるのが不器用じゃないかNakasoneよ。

よく「趣味は楽しまなきゃ!!」と、キラキラした目で語る人がいらっしゃるが、Nakasoneには楽しめるような趣味は皆無である。
撮影中のNakasoneは汚れてもいい服装で安全靴を履いている。
中敷きは踏み抜き防止のもので、クッションが効いているヤツ。
手元はくたびれた作業用の手袋。
ぱっと見キラキラしていない。

「クリエイターって最近よく耳にするけど、私はそんなんじゃないよ。ほら、靴下に穴も空いてるし。」
と、後輩に愚痴をこぼす。

片っ端から映画祭に出品するも審査で弾かれまくるNakasone作品。
ほぼ弾かれる。
たまに「映画作ってるんスよ」と言ってみるも「だからなんなんだよ」と返される事は少なくない。

初めてNakasoneが創った自主制作映画はセリフの無いサイレント映画であった。
その映画については「よくわからん」「ホラーかよ」「演出が気持ち悪いんだよ」という感想を頂いたが、それでも自主制作映画を創ることはやめていない。
そして初作品にホラー映画を創った覚えもなければ、むしろ逆にすがすがしい青春モノを創ったのにな…と、Nakasoneは思い返す。

「続けたいから、やるだけなんよ」
Nakasoneはそう語る。

ある時のNakasoneはSF映画に興味を持った。
「SF!SF映画つくろ!サイエンスのフィクションなヤツ!」
知人にそう話した所、奇特なその人は協力してくれると言う。
そうして諸々があり、NakasoneのSF映画は完成した。

はて、完成したはよいけれど、どの映画祭に出そうか。
と、インターネットをサーフィンしているとホラー映画祭に行き着いた。
もしかしたら引き寄せられたのかもしれない…なんて。
応募規定の制限時間に収まっている事もあり、なんとなくで応募することにした。

「え、ホラー映画祭に出したん?SFって言ってたやん。」
「ボクはSFだと思ってるんですけど、第三者目線で判断してもらいたいじゃないですか。」
「なんか迷惑なヤツやな。」
「ボクが思いつく話ってよくホラーめいてるって言われるんで…」
「君ホラー見ないやろ。」
「はい。怖くて見れないんですよね。」
「なんなんやろねぇ。」
「なんでだろ、根暗だからかしら。」
「まぁ、通るといいね。」
それからしばらくして運営からメールが届く。

通りました。
第三者目線でホラーと認定されました。

(((ありがてぇ…けど、何だこのモヤモヤは…)))
と、Nakasoneは少し思ったが、めちゃくちゃに喜び関係者全員でご飯に行った。

心が軽くなった思い。
財布は軽くなった現実。
でも気にしない。

これで沢山の人に見ていただける。
本当に嬉しかった。
受け付けてくれて、審査してくれて、判断してくれて、本心から運営さんに感謝した。
その節はありがとうございました。

しかし、コレは通過点である。
ドコへ行くのか、ドコまで行けるのか。
そんな事は考えない。
ただ、進んでいくしかない。
「続けたいから、やるだけなんよ」
そう語り続けるNakasone。

ちょうど今、新作の構想を練っています。
次に撮影しようと考えているのはホラー映画です。
純然たるホラー。
ホラー映画は怖くて見たことが無いけれど、ちょっとずつ見ながら勉強していきたいと思っています。

机の上で考える事も好きだけれど、ホラー映画は構想するだけでも少し怖い。
やはりNakasoneは、汚れてもいい服装で安全靴をはいて現場を走り回るのが似合っている気がする。

ではまた。

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