ある人間に興味を持った侵略者3
私はなにが男にとって幸せなのか、長生きをするのかを考えた。
向上心や好奇心があれば一人で生きていくことも可能であろう。しかし今の男にとってはそれが致命的に欠けていた。もはや失われていた。
金をたくさん与えたらいいのだろうか、しかしそれでも男は幸せにならない。
試しに世界軸を変えて男の口座に3億円ほど与えたのであるが、男は仕事を辞めることなく続けており結果的に死んでしまった。
もしくは男の性格はがらりと変わり、金を使いまくり結果的に五十代くらいの時に金を使い果たしていた。なので、その時にまた三億円与えたのであるが、男は破滅的な使い方をしそれは結果的に自傷行為であった。男の心を癒されることはなかった。
「人間を飼うことにしたのか?」
仲間たちにそうよく尋ねられた。しかし私の中で人間を「飼う」というのはなにか違った。そういうつもりではなかった。観察対象であり、興味対象であるが皆が言うところの「飼う」とはなにか違う。
もっと男が幸せになることがしたかった。男には長生きをしてほしかった。
こういときに人間にとってなにが最善なのかを私は考えた。やはり心のよりどころであろう。労働はしなくて済むならそれで良いだろうが、男にとって今心の大半を占めているのは労働でありそこを壊すと心の破壊にもつながる。
しかし休むことも大切である。
とりあえず一日八時間程度寝かせる必要がある。朝から晩まで働く生活はそのままで一日の時間を男のいる間だけ少し引き延ばした。とりあえずは男の異常に少ない睡眠時間は確保することが出来た。
男は不思議がっていたが、男の寝覚めは大分良いものになった。しかしそれでも私は男に対しての不安がつきなかった。もっとなにかしなければいけない、なにかをしなければいけない。
もっと見ていたい。傍に居たい。
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