はじめからなかった

「今年は夏が無かったね」
「夏がない一年だったね」

君と通り抜けたはずの夏ごと
みんなに
無かったことにされた

枯れ木を紅葉と崇めて嬉しがる
花見て喜んで
枯れ葉見て喜んで
僕が生きても死んでも喜んで
心ない人みたいに生きているのクラスメイト

枯れ葉集めて燃やして
東南アジアにばらまいた偉い人
どうして
無から苦悩を産み出して
誰かを釜に入れたがる
要らない苦悩が国の二酸化炭素みたいに生まれる
切り取っちゃいけないものまで切り取るから
ねぇ
偉い人も
呼吸が苦しそうだよ

酸素が足りないわけないよ
でも現に水が足りない
生まれたときに与えられたOがわたしの全て
すり減らしながら生きるはずの
人生を思い描いていなかった
空白があまりにも多い
君の光が届く頃
軒下から見つかる僕の日記帳が
研究対象になってくれたらいいな

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