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自分のためのご自愛ごはん

家庭料理といえば、家族や友人のために作るイメージがある。家族の日常のため。友人をおもてなしするため。パートナーにちょっといいところを見せるため。

誰かのために作り、それが誰かの健康や喜びに繋がるのが家庭料理といったイメージがある。

だけど生まれてから死ぬまでずっと共に暮らすのは、家族でも友人でもパートナーでもなく、自分だ。自分からは逃れられない。

そんな特殊な関係にある、自分のためだけに作る料理を楽しんでもいいはずだ。

自炊をしてきた中で「これは自分のためのご自愛としか言えないなぁ」と感じた料理をピックアップして、何をもってご自愛としているのか考える機会にしたい。

「ご自愛だなぁ」と思った料理を①質素・滋味深系、②つながり系、③手間系の3つに分けながら振り返る。

ご自愛ごはん〜質素・滋味深系〜

生命の源スープ
これも生命の源スープ

生命の源スープとは、圧力鍋に水と塩、それから骨付き肉、大きめにカットした野菜を煮込んだ簡単なスープのこと。わたしが勝手に「生命の源スープ」と呼んでいる。

生命の起源は海の中で生まれたと聞いたことがあるので、水と塩を火にかけて作ったこのスープのことを「生命の源スープ」と呼び始めた。

骨付き肉をかじると「生き物を食べているんだ」と思わされるので、骨付き肉も生命の源スープには欠かせない。生命感あふれる食材、骨付き肉。

次は生理の時に食べたご自愛ごはん。

蒸し野菜とおかゆ、おかゆのトッピングがメインのごはん
おかゆに味噌、自家製梅干し、昆布、ゴマを乗せたごはん
ご飯と味噌汁、長芋のステーキ、にんじんラペなど動物性食材なしのごはん

生理痛がひどい時は、「質素だけどていねいっぽいごはん」が食べたくなる。

おかゆをメインにしたり、動物性食材(肉・魚・卵・乳製品など)なしのごはんにしたり。質素ながらもていねいで、自分をいたわっている気持ちになれるから好きだ。

生理中だからこそ鉄分やタンパク質を摂取した方が良い気もするが、こういう時はあくまでも自分をいたわっている気持ちが欲しい。栄養はあまり気にしない。

こちらは生理中に食べた発酵パラダイスごはん。

具なし味噌汁、自家製梅干し、自家製ヨーグルト、自家製甘酒

発酵食品、特に自分で手を加えて作った発酵食品を摂ると全ての不調が治ると思い込んでいる節がある。

タニカのヨーグルティアという機械を使い、甘酒やヨーグルトを作る。

時間を経過させることでしか生まれない食品を摂ることは、自分に豊かさの矢印を向けまくっているように思えるから完全にご自愛。

ヨーグルティアでは納豆まで作れてしまう。機械を使ったとしても、納豆を作るには24時間以上かかる。時間を経過させるしかないごはんは、問答無用でご自愛レベルが高い。

自家製納豆。茹でた大豆にねぎを入れて保温するだけで納豆ができる。
自家製納豆ごはん
自家製納豆ごはん+自家製たくあん

納豆が健康食品なのは言うまでもないが、その納豆を自分で作るとなると、健康に健康を重ねるようで大変誇らしい気持ちになる。

ご自愛ごはん〜つながり系〜

自然とのつながりを感じられるごはんもまたご自愛である。

畑で収穫したスナップエンドウ
さっきのスナップエンドウが食卓に並ぶ

1時間前まで畑に生えていた野菜を食べる。これほどまでに豊かさを感じる出来事はない。

種を植えて水やりをして、育ててきた野菜。野菜への愛情とも言える。

その野菜がちゃんと大きくなり、収穫して食べる。自分は自然の循環の中にいることを再確認できて、自然に包まれながら自分に優しく生きている気分になれる。

お隣さんが栽培した紫玉ねぎをもらう
その紫玉ねぎの甘酢漬けと、去年漬けたらっきょうを合わせて出す

自分で育てた食材はもちろんご自愛ポイントが高いけれど、お隣さんが作ったものをもらって食べるという行為もまた愛情に満ち溢れている。

お隣さんがかけた手間を受け取り、自分の身体に取り入れる。優しい行為だ。

収穫したニンニクを編んで干す
そのにんにくのホイル焼き
そのにんにくでペペロンチーノ

素材の味が目立つ食べ方をするのもまた、自然のエネルギーを直に感じられる行為だ。

にんにくを収穫できた記念にホイル焼きを食べ、ペペロンチーノを食べる。においなどは気にしない。

新鮮なにんにくは、シャキシャキとして、香りもフレッシュだ。

収穫した大根
その大根で大根ステーキ

やはり収穫したてのものは主役としていただきたい。では大根ステーキにしよう。

大根に切れ目を入れて、ごま油や醤油、みりんなどで味付けしたシンプルなメニュー。

ステーキといえば豪華な牛肉が思い浮かぶけれど、野菜のことを「ステーキ」と呼びながら食べると、「野菜がメインのご馳走ですけど?」という雰囲気を出せるから好きだ。

ご自愛ごはん〜手間系〜

ひとりなのにおせち

この日は一人分のご飯を作ればいいだけだったのに、律儀におせちを作った。祝い事なんて、まさに人のためにあるようなものだ。そこであえて自分のために行事食を作る。面倒くささに打ち勝つ、自分へのいたわり、ねぎらい。

鶏胸肉をソミュール液につけて柔らかくしてから揚げる
揚げた

揚げ物は面倒くさい。油が飛び散るし、油の処理が面倒だし、衣をつけるために皿をたくさん使うので洗い物が増えるし、見えない手間が多い。

そんな中でも面倒くささに打ち勝って、自分の食べたいものを自分のために作ってやる。ひとりなのに揚げ物をする時点で、自分のためのご自愛確定である。

餃子をたくさん

餃子も面倒くさい。タネを作って包むところから手間がかかる。焼く時も揚げ物並みに油が飛び跳ねる。これをやってのけたということは、ご自愛である。

庭で収穫するブルーベリー
それで作ったタルト(こぼれすぎ)

ブルーベリーのタルトについては、自然とのつながりも感じる上に手間もかかるので、ご自愛としては最高峰である。ご自愛のポイントを2つもおさえている。

タルトを作るにはタルト生地、タルトの中の生地、カスタードクリームの3つが必要なのでシンプルに時間がかかる。これをやってのけるのは完全にご自愛。

ご自愛ごはんの振り返り

ご自愛ごはんにあえて定義をつけるとしたら、こうなるだろう。

・自分の身体の調子を見ながら作った滋味深い料理
・自然やご近所さんとのつながりを感じられる料理
・手間がかかってでも自分の食べたいものを自分で作った料理

誰かのための料理もいい。自分のための適当料理もいい。

でも、自分に優しく接するような態度で、自分のためだけに作るご自愛ごはんからエネルギーチャージできることもある。

栄養重視でもない、見栄え重視でもない、節約重視でもない、味重視でもない。

ただ自分の心身に寄り添っただけのご自愛ごはんで、明日も元気に生き抜こう。

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