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好きな表現、言葉遊び集

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#詩

境界

境界

溶けてゆくことができなくなってしまった。

前のわたしなら入りこめたはずの隙間が

ただの黒い影に見えて

無関係なただの黒い影に見えて

溶けてゆくことができなくなってしまった。

溶けてゆくことでわたしの皮膚はどこまでなのか

臓器は痛むのか

匂いはどこまで他人なのか

わかることができたけれど



溶けてゆくことができなくなったから

ちょっとだけ自分が分かんない。

溶けてゆくことが

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まる

まる

めいめいが、おのおのが、そろそろと、そうやって、さらさらと、するすると、流れていけばこその有害。さらには確実な、まるまるとした、さまざまな、ほし。

ほしがまるく見えるのは、きみがやさしいからだよって教えてくれた時は、どうもありがとう。廃藩置県でなくなったほしに住んでたね。日本語と日本語だけど、違うんだよ。日本語と日本語を使ってるだけで、あとは違うんだよ。ほんとは日本語って違うんだよ。きみは違うん

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佐々木の真ん中とかくかく

佐々木の真ん中とかくかく

どうぞよろしく、そう、佐々木の真ん中です。かくかくしてるようでしていない、佐々木の真ん中です。ぼく自身に気持ちはないよ。挟まれただけの佐々木の真ん中。ただそれだけの存在として、居場所を与えられたのです。

これからどうするんですか?と聞かれても、佐々木の真ん中をやるより他にありません。意味あるの?ぼく意味あるの?と聞いたって、佐々木はただただ微笑むだけだ。

意味あるの?意味ないの?意味あるものは

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雰囲気のしりとり

雰囲気のしりとり

幻の幻のその彼方まで飛んでいった宇宙の端の塵たち。わたしがそこにいてもいなくても塵は巡るし地球は回る。地球に似た星があるって教えてくれた友達はくだらぬ事故で死んだんだって。親より先に死ぬのは逆縁だって教えてくれたのは縁結びの神様だっけ。お寺と神社の違いが時々わからなくなるのは日本人失格だったとしても、日本人であることは消せないんだから、失格とか失格じゃないとか、どうすべきとかそうすべきとか、迫害み

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連判状の詩

連判状の詩

ホールニューワールドだかウィーアーザワールドだか知らないが、みんなで手を繋いで丸くなりたがるのは平和じゃなくて連判状に近い。誰が犯人か分からないように。誰がリーダーか分からないように。誰が産んだせいで誰が苦しんでるのか分からないように。丸くなることは生きることの誤魔化しなんだよ。優しくなることは生きる辛さへの誤魔化しなんだよ。生まれたことはマヤカシ。

今日の恋愛短歌

今日の恋愛短歌

①今までの恋きっと全て偽物だ 君で初恋やり直させて

②好きな人ご近所にいるこの奇跡 小2の「かずまさ君」思い出す

③「はじめて」を4つくらい奪えたら 「とくべつな人」になれる気がする

自分でも40点くらいだなぁと思うけれど、質にこだわらず発信できてしまうのは一種の才能なので、公開します。

私の中では詩人と歌人に大きな違いはなくて、どちらも「絵に限りなく近い文章」「感情を濾過して、さも綺麗に

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今日の短歌④:冬、14歳の娘の怒り

今日の短歌④:冬、14歳の娘の怒り

「出て行け」と母さん気軽に言うけれど外寒いからお腹に戻せ

【コメント】

母と喧嘩した娘の気持ちの歌。

自分で産んだくせして「家から出て行け」なんて無責任すぎる。

社会で生きるのは難しいし

家もいづらいし

母さんうるさいし。

外じゃなくて

もういっそ

お腹の中の胎児時代に戻りたい。

お腹の中にいれば

あたたかいし

うるさいことも言われないし

みんなが待ち望んでくれるし。

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今日の短歌③

今日の短歌③

好きな曲聴くより 私 「好きな人の好きな曲」を聴く方が好き

【コメント】

区切れが謎で読みづらいけど、一応短歌です。575(6)77になってるはず。

音楽なんて、たいていは「自分の好きな曲」を聴く。

だけど

「好きな人の好きな曲」を知ってしまったら

YouTubeで検索して聴いちゃうでしょ。そのアーティストの曲、聴いちゃうでしょ。

そしていつの間にか

「好きな人の好きな曲」が「私の

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雨の日の短歌②

雨の日の短歌②

「梅雨。短歌始めました」と店先に夏を先取るアレ真似してみた

【コメント】

雨が降って気持ちが沈む。そういう時こそ文章が描きたくなる。晴れや星に憧れる気持ちで文章が描ける。

夏のはじめ、近所のラーメン屋さんや定食屋さんに貼られる紙。「冷やし中華始めました」。

アレみたいに、梅雨の間は「短歌始めました」アジサイ風味の趣をあげる。

※詩や短歌は、文章としてではなく、絵の一部としてかいてるつもり

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雨の日の短歌

雨の日の短歌

雨憂鬱、世界がこわい、こんな日は あなたひとりのなかで生きたい

【コメント】

雨が降って気分が憂鬱になると、気が滅入って滅入って、神経質になりすぎて、全部の人間関係が怖く見えてくる。気遣いも「面倒臭い性格の私を腫れ物扱いしてるのかも」って思えるし、無表情な挨拶は「ななさんのことが嫌いです」ってメッセージに見えてくる。

部屋のベッドで、好きな人に抱っこされて雨の日を過ごしたい。

世界が広いか

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センター試験の詩

センター試験の詩

「顔が小さくてかわいいね」って言葉はきっと、「君は脳みそが小さいからばかなんだよ」って意味だから好きじゃない。眠くて、お腹が空いて、しかも君がいないから心が寂しくなって、頭の中が「偏差値2」のときもあるけれど、洗濯しててもやかんの火を覚えている僕は賢い。

前橋市がどこにあるのか答えられない君の住所は宇宙。地球暮らしが初めてだから仕方がないよねって慰める。「月に土地を買ったんだ」って自慢してくるお

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奪われた

奪われた

きみに何かを奪われた。

寂しくない人だったのに

寂しい人になっちゃった。

寂しくならないことには定評があったのに

こんなに寂しい人になっちゃった。

「二人で一つ」になっちゃって

人間としての成分が

50%になっちゃった。

奪った何か

どこにばらまいた。

返して。

ルールについて

ルールについて

ルールを守るのが苦手で

そもそもルールを覚えるのが苦手で

そもそもそのルールがどうして生まれたのか理由が知りたくなって

理由が分かると「このルールいらなくない?」ってなっちゃって

結局

ルールを【守る】ってところに辿り着けない人間。

僕がルールを守るには

ルールは僕が作るしかないんじゃないかって、思う。

ルールを作る人になりたいです。

ルールを作る人って、どういう人ですか、どうい

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流動的なデフォルト

流動的なデフォルト

「最近気持ちが定まらないんだ。春だからかな。春の嵐かな。心がざわざわする。」

「そりゃ血液が毎日毎秒流れ続けてるから、気持ちも移り変わるよ。温かい血液が心臓に流れた時は優しくなれるし、冷たい血液が心臓に流れた時は人当たりも悪くなる。心臓は冷ましちゃだめなんだよって、心筋梗塞で亡くなったおじいちゃんが言ってた。言ってたっけ?」

「きみのおじいちゃんの話はあんまり好きじゃないし、見たこともないし、

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