メンタル不調な職員と「やることリスト」を回す肝は、伴走にある
メンタル不調になってしまった職員さんをフォローするために、「やることリスト」を一緒に作ったことを書きました(こちらの記事)。
うつ症状というのは、エネルギーの枯渇状態です。
例えば、マラソンを走り終わってエネルギーが枯渇している時には、何も考えずに、ただただ歩きたいものです。
仕事で言えば、エネルギーが枯渇している時は、あまり考えずに、簡単な作業を淡々と進めることしかできない状態です。
一方、「今、何をすべきか」という判断は、けっこうしんどいものです。
変わっていく状況に対して、優先順位を決めるのは、エネルギーを必要とします。
エネルギーが枯れている時には、向かない作業です。
だから、あらかじめ、優先順位付きの「やることリスト」を作っておくことで、エネルギーが枯れてる状態になっていても、立ち止まらずに淡々と仕事を進められます。
僕は、軽度のうつ症状であれば、なるべく止まる(病休を使う)べきではないという考えを持っています。
一度立ち止まると、また動き出す時に、大きなエネルギーが必要になってしまうからです。
ゆっくりトボトボ歩きながら、居場所や自尊心を確保し、徐々に気力・体力が回復するようにガイドしていくのが、メンタル不調になった職員のケア方針です。
マラソンでも同じです。エネルギーが枯れたら、止まらずに、トボトボ歩くくらいがちょうどいいと思います。
さて、先日の記事でご紹介したように、「やることリスト」を一緒に作ることで、職員の気持ちをずいぶん楽にすることができました。
ここで、フォローする側の気持ちも無視できません。
メンタル不調になった職員をフォローする側は、フォローするからと言って、仕事が減るわけではありません。
むしろ、「職員をフォローする」という仕事が、一時的に増えている状態です。
普段から余裕なんてあるわけないですから、想定外の仕事として、メンタル不調の職員と一緒に、「やることリスト」を作り上げた。
ここで、一安心したいところです。
しばらくは、自分の力で、なんとか歩いていってもらいたい。
そう願うことが多いでしょう。
しかし、その願いは、まだ早いものだと思っています。
優先順位がついた「やることリスト」を作ることは、助けられる本人にとって、とても助けになるものです。
もう一つの面としては、それ自体は、本人にとって、新しい試みでもあるのです。
新しい試みというのは、ストレスがかかるもの。
エネルギー枯渇状態の人は、ストレス増になるものは、基本的に意識が向かないものです。
本人の助けとなるものを作った。でもそれは、新しい試みでもある。
そこで、どうすべきかというと、しばらく伴走することです。
”伴走こそ、メンタル不調な職員をフォローするタスク管理の真骨頂”と言えます。
「一緒に、やることリストが作れた。よし、もう大丈夫だろう。」ではなく、それがうまく回るように、しばらく伴奏してみる。
そこまでがワンセットとして、フォローしてみてください。
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