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逃げて逃げてたどり着いた40代

Instagramのフォロワー数49万人のアカウントを持つ私は、今SNSを運営して生計を立てている42歳のシングルマザーです。

子ども3人を抱えてシングルになったどん底の数年前から今では信じられないくらい大きく生活が変わり、自分でも何がどうなってこうなったのか未だに振り返ることができないくらい、怒涛の人生の転機を通り過ぎてきました。

今では従業員を抱える小さな会社を経営する立場になった私ですが、野心に燃えて独立起業したわけではなく、将来こうなりたいという夢があったわけでもなく、ただただあの頃の自分から逃げたくてジタバタしていたらいつの間にかここにいた、という感じです。

こう言うと必死で努力されている方々からお叱りを受けそうですが、私はどう考えても会社員にも向いておらず、3人の子どもの母親になるキャパシティもなく、自分自身を向上させたいという情熱もなく、毎日をただ静かに怯えずに過ごしたいという逃げのマインドだけで起業したのです。

営業職の仕事をしていた時代の話ですが、ひとり親ですから子どもの体調不良があると休むのは当然自分です。そうなると会社の上司だけでなく、取引先やアポを取っていた関係各所に頭を下げて連絡をするわけです。そうして数日後やっと熱が下がったと思ったら、次は別の子が体調不良…。よくあるワーキングマザーの悩みですが、そんなことが何度も何度も続き、私はどうしていいかわからないほど参ってしまいました。有給休暇が尽きてしまい、どうにか熱が下がって欲しくて嫌がって泣く子どもに座薬を入れる自分が鬼のように思え、何のために仕事をしているのか、この子たちはこれで幸せと言えるとかずっと悩む日々。そして、会社に子どもの体調不良の連絡をする早朝になると決まって自分が嘔吐してしまうように。
月曜日の子どもの体調不良を恐れて週末も遊びに連れていくのが怖くなり、引きこもって過ごす日も増えました。このとき本当に何のために仕事をしているのかわからなくなっていました

こんな日々を続けていた私ですから、Instagramを生活の柱とする形が整い退社が決まった瞬間、心の底からホッとしたのを今でもはっきりと覚えています。
退社した翌日2020年7月1日の朝、子どもたちを保育園に連れて行ったあと、その日から私はフリーランス。もう子どもが熱を出しても、腹痛を訴えても、鼻水がひどくてもアデノウィルスをもらってきても誰にも「申し訳ありませんが子どもが体調不良で…」と連絡をする必要がないんです。電話越しの大きなため息も、遠回しに言われる迷惑そうな言葉も聞かなくていい。
何より思う存分家で子どもの看病ができるし、慌てて救急に駆け込まなくても診療時間内に病院に連れていくこともできます。夜中の看病で寝不足になっても、子どもとゆっくり家でお昼寝してリカバリーすることも自由にできるんです。

涙が出るほど、人生でとてもとても嬉しい瞬間でした。

会社員という安定を捨ててフリーランスに逃げた私ですが、得られた心の余裕は何物にも代えがたいとても大きいものでした。
この大きな時間の余裕は私の母親としての余裕にも繋がり、一時期自信をなくしていた母親の役割もまた少しずつその手に戻ってきたように思います。

会社員の仕事を辞めてしばらくは毎日のように沖縄のキレイな海を眺め、好きなお茶を飲んで好きな音楽を浜辺で聞き、そして自分のペースでゆっくりとInstagramの仕事をしながら自分自身を回復していくことができました。
幸いにも私はSNSという場がとても好きな人間でしたので、そこで発信し続けていくことは全く苦にならず、日々楽しく自分のペースで仕事を続けていくことができ今に至ります。

向上意識を持ちながら独立起業することは大変素晴らしく、私みたいな凡人にはとてもできない偉大なことだと思います。ですが私のような逃げの姿勢から起業して、大きな成功ではなくともひっそりとささやかな生活を送ることができる例もあります。子育てがまるで苦行のように思えるこの社会で、仕事に家事に育児に心も体も疲弊している人たちに、そんな道もあるよということを知っていただけたらとても嬉しいです。


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