悪口・批判・反論に対して「話は終わった?」「気が済んだ?」と応じることで、まともに取り合う気がないと示唆する ~映画「ラストベガス」の場合
◆概要
【悪口・批判・反論に対して「話は終わった?」「気が済んだ?」と応じることで、まともに取り合う気がないと示唆する】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「ラストベガス」
▶1
本作の主人公はビリー(70代頃の男性)。
彼は大変なプレイボーイであり、長年独身を貫いてきた。
ところがこのたび、
・Step1:ついに結婚を決意した。相手は……なんと31歳の女性!
・Step2:友人たちは呆れる。こいつ、自分の半分以下の年齢の女と結婚するのか!?
というわけで、
・Step3:ビリーのバチェラー・パーティ(独身さよならパーティ)がラスベガスで開催された時のことだ。
・Step4:ビリーはスマホを取り出すと、「じゃあ未来の嫁さんとちょっと話してくるから」と友人たちに言った。
・Step5:すると、友人Aがしごくまじめな顔で「嫁さん、ケータイ持ってるの?」。
・Step6:ビリーは訳がわからない。彼は困惑する「ああ、ケータイぐらい持っているだろ……」。
・Step7:すかさず友人Bが「おもちゃじゃなくて?」。さらに友人Cが「最近はお子ちゃまもケータイにパソコン。低年齢化が進んでいるんだ」。再び友人Bが「ああ、赤ちゃんモニターとかな」。
つまり――
・Step8:「ビリーの結婚相手は31歳 → 俺たちの子どもよりもさらに年下じゃないか! → ビリーはお子ちゃまと結婚するロリコン野郎だ!(笑)」ということで、皆でビリーをからかっていたのだ。
・Step9:自分がからかわれていると気づいたビリー。彼は大げさに肩をすくめてみせた「もう終わったか?」。
・Step10:直後、友人Cが叫んだ「まだだ!」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「もう終わったか?」というビリーのセリフである。
要するに「おい、からかうのは止せ」「いつまでからかえば気が済むんだ?」「お前らガキかよ」と抗議しているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白みを欠く。
そこで【悪口・批判・反論に対して「話は終わった?」「気が済んだ?」と応じることで、まともに取り合う気がないと示唆する】という技法の出番だ。
改めてビリーのセリフをご覧いただきたい。
真正面から抗議するのではなく「もう終わったか?」と応じることで、「こいつらは本当にもう……付き合いきれねーよ!」というビリーの気持ちが伝わってくるセリフになったといえるだろう。
とはいえ、もちろんこれは本気で愛想を尽かしているのではない。「長年の友人ならではの雑なコミュニケーション」というやつだ。
友人Cの最後のセリフ「まだだ!」も、いかにも悪友同士の悪ノリという感じで最高だ。
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