めっちゃ歩くンゴ

初めまして!出版サークル、ザ・ワセダ・ガーディアン2年の鍋島優奈です。サークル、100ハイ共に肩書きはありませんが縁あって体験記を書かせていただいています。


ガーディアンは毎年100ハイのパンフレット作成を担っているサークルなので、「せっかくだしみんなで歩こう!」という雰囲気が他サーよりも強いのではないかと思う。

特に去年は、当時の幹事長が自主的に京都~熊本700キロハイクを敢行している奇特な人だったこともあって(何故なのかはよくわからない)、ガーディアンの参加者は多かったし私もその1人だった。

きついきついと聞いてはいたものの、体力には多少なりとも自信があったし女子の同期、先輩もいるから大丈夫だろうと100キロをかなり甘く見ていた……。



まず1日目。


暑い。とにかく暑い。


先頭ダッシュはおろか普通に歩いているだけでも汗が止まらない。帽子を持っていなかったせいでダイレクトに日差しが当たるので、片手に日焼け止め、片手に飲み物を持ちながら延々と歩いていく。

100kmとはいえひたすら歩けばいいだけではないかと思っている方もいるかもしれないが、100ハイの「歩く」は「早歩き」のことである。

ある程度のスピードで歩かないと1日で60km歩くのは到底不可能なので。(ちなみに100kmハイクという名称に騙されてはいけない。実際に歩く距離は120kmだ。)

にも関わらずガーディアンの男子部員たちが出発地からすぐのコンビニでいきなりのタバコ休憩。

「ガーディアンって浪人とか留年が多いからか、100ハイでもスタートの時点で他の人より遅れてるよね〜〜〜。ガーディアンの人の人生みたい。」

と先輩が一言。あまりにもパンチが効きすぎている。

1日目は全日埼玉を歩き続けるのでそもそも景色が変わり映えしないし、お世辞にも都会ではないため歩いていて涼しい場所はない。

暑さから気を逸らせるものとしては、縛りプレイをしている人やコスプレで歩いている人。のどかな本庄の風景では特に目立つし目が楽しい。ただしこれを楽しんでいられるのは1日目までである。

1区と2区はまだ外も明るいし、一緒に歩いている友達もしゃべる体力があるのでなんとかなる。



問題は3区である。5月とはいえ歩いているうちにだんだん外が暗くなってきて、疲れも相まって全体の士気が落ちてくる。

3区後半のながーーーい一本道をひたすら歩き続け、途中の標識の「入間まで〇〇km」を見て、「全然減ってないじゃないか……」と絶望するまでがワンセットである。

だいたいここらへんでみんながガンギマリ始める。

私が一緒に歩いていたガーディアンの先輩は、あまりのキツさに空から聞こえてくる鳥の鳴き声に、

「あーーーーうるせぇーーー!!!」

とブチギレていた。

落ち着いてください。鳥です。


実は100ハイが始まる前から「23時までに到着できなければ100ハイからパージされ強制送還」と聞いていたのだが、3区を歩き始めてから間違いなくこのペースでは間に合わないことが確定。60kmしか(しか、という時点で感覚がバグっている)歩かずに東京に帰るのはあまりにももったいないので、ガーディアン同期の青木くん(後の編集長である)と2人で3区の後半を休み休み走っていった。

この青木くん、かなりのボンボンらしいが、別の女子の荷物を持って歩いていたり私の体力の心配をしてくれたりと非常に良い人なのでもっと株が上がってくれると嬉しい限りである。

お互いに励まし合って走った時間は、体はボロボロではあったが、仲間との絆を深められるという点で100ハイの醍醐味を味わった時間と言っても過言ではないと思う。

結局、1日目のゴール、入間市体育館に着いたのは23時半ごろ。

去年は定刻に着かなければパージの制度はなかったようでほっと一安心……。

したのも束の間、寝床である体育館の中に入って呆然とした。

目の前に広がっていたのはブルーシートの上に男女の別なくぎゅうぎゅうになって寝っ転がる早大生たち……。

さながら中学校の社会の教科書で見た奴隷船である。


「え、ここで寝るん?」


と思わないはずはないのだが、人生で最高潮に疲弊していたので一旦就寝。



2日目の朝は昂揚会員の鍋を叩く音から始まる。

かなりの音量なのですぐに目は覚めるのだが、起き上がれない。

体が痛すぎて、体を起こすための力が入らないのである。

自分を含めみんな生まれたての子鹿のようにプルプルしながらなんとか出発の準備を進める。



4区を歩いている間はまだ涼しいので、意外にもあっさり所沢キャンパスに到着。

ここではなぜか体育館で運動会と称してラジオ体操やうさぎ飛び、シャトルランなどをやらされる。私は女子の先輩と体育館の隅で見学していたが、参加された方、本当にご苦労様です。


5区。

しんどい。西東京市に入ってからが特にしんどい。

田無、東伏見のあたりをまっすぐ進んでいくのだが、右に曲がれば自宅に帰れるので

「もう早稲田キャンパスとかよくね……?」

という気持ちではあったが、サークルのみんなでなんとか東伏見キャンパスへ到着。


6区。

ここが地獄のような2日間で1番の感動ポイントである。ゴールなので当たり前かもしれない。

普段ネズミやゴキブリが跋扈しているロータリーも100km以上歩いたあとに目にすると輝きが違う。

2日間で初めて心から「歩いてよかった」と思える瞬間だと思う。

そこからはいつもの馬場歩きの要領で歩を進めていく。


そして見えてきた早稲田キャンパス。

「やっと……!やっと着いた……!」

と泣きそうになっていると、

「走って走ってー!!!」

と声をかけてくれたスタッフの方々。

その瞬間疲れが吹き飛び、一緒に歩いていた先輩と南門通りを走り抜け、ついに本当のゴール、早稲田キャンパスへ。


閉会式の会場について、完歩証をもらって、これまでの人生で感じたことがないレベルの達成感に包まれていた。

もし参加を迷っている人がいるなら、絶対に参加をおすすめする。体力が必要な戦いではあるが、友達と歩く時間、励まし合う時間、そして一緒にゴールする瞬間。

きっと感じたことのない、そして100ハイ以外では感じることのできない達成感を味わえるはず。


これを読んでくれたみなさんが参加してくれることを祈っています。今年もみんなでたくさん歩きましょう!




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