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防犯、格好いい先輩

 娘が、小学校から使っている防犯ブザーを直してくれと持って来た。試しに鳴らそうとしたら音が出なかったのだそうだ。 

 自分が子供だった頃には防犯ブザーなんて誰も持っていなかったけれど、今はみんなが持っている。時代が進んで悪いやつが増えたのかと思ったけれど、悪いやつをメシのタネにする人が増えたのかも知れない。

 小学生の時分に近くの公園で連れ去り未遂があった。隣家のお姉さんが謎の男に腕を引っ張られたのである。友達も一緒になって手を振りほどき、家まで走って逃げ帰ったそうだ。
 あの時には近所中で随分な騒ぎになったと記憶している。自分も、不審者をみんなで袋叩きにする場面を想像しながら随分興奮したが、結局当該不審者は捕まらなかった。

 このお姉さんには妹がいた。妹さんは自分より一つ上だった。中学の時に同じクラスの女子が二人でもそもそ寄って来て、「妹先輩、カッコえぇよねぇ」と言った。部活の先輩なんだそうだ。
 そんな事をこちらに云われたってしようがない。「そうか」と言ったら、二人とも変な顔をして去って行った。

 とりあえずブザーの電池を交換してみたが、試してみるとやっぱり鳴らない。こうなると自分の手には負えないから、新しいのを買うことにした。
 ブザーにも色々あって、単に音だけがするのもあれば光を発するのもある。光るものは懐中電灯の代わりにも使えるらしい。
 向後は塾や部活で遅くなることもあるだろうから、光るのを選んでおいた。

 家に帰って試してみたらそこそこ大きな音が鳴ったけれど、これを聞いて子供が危ない目に遭っていると認識する人がどれだけあるか、甚だ疑問である。


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