見出し画像

目を焼く人(2024/02/07)

 飛蚊症は幼い頃からあったけれど、一昨日から急にひどくなった。何だかふわふわしたゴミみたいなものが左目の前を漂っている。多分、壊れかけのロボットの視界はこんな感じだろうと思っていたら、今日になって全てが霞んで見えてきた。

 これはさすがにタダゴトではないので仕事を休んで眼科に行ったら、網膜剥離の一歩手前とかいう話で、やっぱりタダゴトではない。
 網膜剥離なんて、ボクサーがやるものだと思っていたから随分意外な気がした。何しろ殴り合いなんて中学校以来やっていない。一体何が原因でしょうかと医師に訊いたら、加齢ですと云われて大いに腑に落ちた。

 そうして、放っておけばいよいよひどくなるからと今日のうちに手術をやることになった。
 医師の説明では、手術といっても切ったり縫ったりではなくレーザーで目の奥を焼いてくっつけるのだそうだ。
 随分早口で質問する隙もなかったが、切らないと聞いて少しは安心した。切られたり縫われたりはあんまり好きではない。

 手術のレーザー光は甚だ眩しくて、太陽を直に見るような鈍痛があったけれど、それよりも焼かない方の右目を開けておくのが大変だった。麻酔のせいか何だか眠いようで、気を抜くと閉じそうになる。左目の手術だから右は閉じたっていいだろうと思ったら、医師が事務的に「右目も開けといて」と言う。それで大いに力を入れて見開いていた。
 そのうちに手術が終わり、「随分上手くできた」と言うのを聞いて安堵した。
 わざわざそんなことを言うぐらいだから、上手くできない時もあるのだろう。

この記事が参加している募集

今日やったこと

3行日記

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。