見出し画像

 天頂に伏流する弁明と戯れるつぐみが、小暗おぐらい曲がり角で遺失された信憑と予
期せず際会し、いかがわしい密林に陥った
 頑是無い星鴉は揮発した因果律を悼み、不揃いな回文を不朽の砕氷へ嘉納
する

 萌葱色の偏差

 アルゴルが放散する加護を育む蓮角は、にぎにぎしい黒曜石をまばゆい暗
渠で後見している
 やましい入江からの送電が、切迫した浮氷をアムールトラに披露した

 蒲葡えびぞめの悔恨

 掩蔽された理法を褐色の続け字で紡ぐ口さがない鸚哥

 あられもない無限級数に満ち足りた濁世で、線形の昔日を偲ぶ鶺鴒せきれいと、出
典が訝られる長剣を操る雷鳥は、燎原の火柱を贈与する
 拙い涼気に充たされた火口から到来するはいたかが不眠の光度を測定し、目覚
めた深更に幕引きを謀った

 執拗な遺恨に決別できるのは幾夜後か
 名付け得ぬ慙愧を掃滅させる岐路の選び方を指南する者は何処に

 天藍石のあでやかさ

 ゆかしい周波数に込められた黄泉比良坂よもつひらさかへの回路
 杜撰な迂路を経て天中に漂着した木葉梟このはずくが、月の裏側を花水木の束で満た
した

この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?